膝蓋骨内方脱臼 その②

膝蓋骨内方脱臼の治療は外科療法と内科療法があります。
グレードⅠの膝蓋骨内方脱臼には保存的治療が推奨されています。太らないようにしていただいたり、フローリングなど関節に負担のかかる床を改善していただくなどです。各種サプリメントなども有効ですが減量に勝るものはないでしょう。

過度に太っている場合、運動して減量しようとするとより関節を痛めてしまうことがあります。まず食事制限から始めて少し痩せてきたら運動量を増やしていくのが良いと思います。

グレードⅡ以上で痛めた足を挙上するなどの症状が強いワンちゃんは手術の対象になります。膝関節の屈伸運動に伴い大腿骨から内方に外れてしまう膝蓋骨が関節の軟骨の損傷や摩耗をきたし、関節炎の引き金になります。

手術は 主に以下の3つの手法を組み合わせて行います。

・膝のお皿が収まっている滑車溝という溝をU字型に切り取り、深くすることで、脱臼しにくくします。

・膝蓋靭帯の付着部である脛骨粗面の位置を外側に移動したり、ファイバーワイヤーという医療用の強靭な糸で内側に変位している脛骨を正常な位置に牽引しアライメントを変えます。アライメント(大腿骨、膝蓋靭帯、脛骨の並び方)を正常にするのが目的です。

・縫工筋の移植 縫工筋は骨盤から脛骨の内側につながる細長い筋肉で膝関節を内方へ牽引しています。

この筋肉の付着部を変えることで膝関節の内方への回旋を防ぎます。

グレードⅣになり膝関節の進展が難しかったり、骨格の変形が重度の場合は、大腿骨および脛骨の矯正骨切術が必要になる場合もあります。

写真左は手術前のCT画像 右は術後です。溝が深くなり、脛骨位置が変ったのがお解りになると思います。

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横須賀 つだ動物病院 津田 航

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