上手な猫との遊び方

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猫にとって遊びは大切

下を覗く猫

 

こんにちは、横須賀市にある「つだ動物病院」院長の津田航です。

 

猫ちゃんの飼い主様から、よく「せっかくキャットタワーや高いおもちゃを買ったのに、あんまり遊んでくれないんです」というお話を伺います。もちろん猫ちゃんにも好き嫌いがありますが、大抵の場合、タワーの設置場所やおもちゃの使い方を工夫すると、猫ちゃんが興味を持ってくれることが多いようです。

 

ワンちゃんに毎日のお散歩が必要なように、猫ちゃんにも毎日の遊びが必要です。猫にとって、遊びには身体を鍛えるという役割があります。加えて、遊びたいという欲求を満たすことで心の安定を得ることができ、それが問題行動の予防に繋がります。また、脳が活性化され、学習や高齢猫の認知症予防にもなります。

 

なぜ遊びたがるのかというと、猫にとっての遊びは基本的に狩りのシミュレーションで、猫の本能には狩猟欲求が残っているからです。飼い主様は、おもちゃを上手に獲物のように動かして、猫ちゃんを楽しい遊びへと誘ってあげましょう。

 

さらに、大切な縄張りを見渡せる場所も提供してあげましょう。侵入者がいないか、獲物がいないかなどを監視できる高い場所があると、猫は安心できるからです。そういう場所にキャットタワーを設置すれば、猫ちゃんは進んで上ったり下りたりしてくれるでしょう。

 

今回は、猫ちゃんとの上手な遊び方についてお話したいと思います。

 

遊ぶための準備

障害物のないスペースを作る

 

猫ちゃんとの遊びについてご紹介する前に、まずは必要な準備についてお話しておきましょう。主に、遊んでいるときの猫ちゃんの安全確保に関することです。

 

<スペース>

広くて障害物のない空間を確保しましょう。

机や椅子などを部屋の片側に寄せるなど、なるべく障害物のない広い空間を作ってあげましょう。遊びは猫ちゃんにとっては狩りそのものなので、真剣勝負です。獲物に夢中になって家具などにぶつかってしまうかもしれません。角のある家具は、布などで保護しておくと安心でしょう。

 

<おもちゃ>

飼い主様の手や足で遊ばせてはいけません。噛み癖がついてしまうからです。必ずおもちゃを獲物に見立てて追いかけさせ、捕まえさせましょう。

そのため、獲物となるおもちゃは安全なものを選びましょう。噛みちぎられる素材や丸飲みできる大きさでは危険です。付属品も外れやすくなっていないことを確認してから使いましょう。

 

<タイミング>

猫ちゃんにとって、遊びは獲物を得るための狩りです。つまり、食事を得るための行為です。そのため、猫ちゃんと一緒に遊ぶ時間は、できるだけ猫ちゃんの食事の前にすることが望ましいです。遊びの中で獲物を得たという達成感の後で食事を得ることで、満足感を味わわせてあげましょう。

また子猫の場合は、食べた直後に遊ばせると食べたものを吐き戻してしまうこともあるため、避けてください。

 

飼い主様と一緒に遊ぶ

狩りごっこする猫

 

では、まず飼い主様が猫ちゃんと一緒に遊ぶ際の遊び方についてご紹介します。

 

<ストーリーを作る>

しつこいようですが、猫ちゃんにとっての遊びは狩りのシミュレーションです。そのため、猫ちゃんを惹きつけ、夢中に追わせて捕まえさせるというストーリー展開を意識しながら、おもちゃを操っていくと効果的です。

 

<おもちゃを効果的に操る>

猫の獲物は、ネズミ、鳥、昆虫、蛇などです。今回はどんな獲物に見立てて遊ぼうかというアイディを練り、それに見合った動かし方をしてあげましょう。

ネズミであれば、紙袋や家具などを利用して、隠れながらチョロチョロと床を這わせる。鳥なら釣り竿タイプのおもちゃを使って、獲物を地面から飛び立たせて宙を旋回させるなどです。

 

<遊びへの誘い方>

最初は、猫ちゃんに獲物を見つけさせます。物陰からそっとおもちゃを出して、チョロチョロと動かし、猫ちゃんに気付かせましょう。

レーザーポインターによく反応する猫ちゃんの場合は、レーザーポインターを使って惹きつけ、のってきたら途中から実態のあるおもちゃにすり替えるというのも良いでしょう。

 

<夢中にさせる>

猫ちゃんがのってきたら、なかなか捕まらずにできるだけ焦らすようにすると、猫ちゃんは夢中になって飛びついたりジャンプしたりします。飼い主様のおもちゃの操作の腕が問われる部分です。獲物になった気分で、いかに逃げ切れるか頑張ってください。

 

<最後は捕まりましょう>

頃合いを見計らって、捕まってあげてください。獲物を捕まえると、猫ちゃんは達成感を得られます。獲物が捕まったタイミングで、けりぐるみなどの丈夫なぬいぐるみを与えると、前足で抱きつき後ろ足でキックを繰り出してとどめを刺してくれる子もいます。

 

<遊び終わったら食事にしましょう>

狩りごっこが一段落してから実際の食事を与えると、猫ちゃんは体力的にも精神的にも、そして食欲についてもしっかりと満足することができるはずです。特に飼い主様が就寝する前に狩りごっこと食事をさせると、朝までぐっすりとよく眠ってくれることが増えるでしょう。

朝は忙しい飼い主様が多いと思いますが、夜の食事の前に一緒に遊んであげられる方はおられるのではないでしょうか。明け方の大運動会を抑止するためにも、夕食前の狩りごっこはとてもおすすめです。

 

<遊ぶ時間>

遊ぶ時間は、15分程度で構いません。猫は瞬発力には長けていますが、持久力はありません。長時間遊ばせようとしても、途中で寝そべってしまったり鼻息が荒くなったりします。そうなる前に切り上げられるように、上手くストーリー展開してあげてください。

 

<狩りごっこ以外の遊び>

時間に余裕のある休日の昼間などは、狩りごっこだけではなく、「だるまさんがころんだ」も猫ちゃんと楽しく遊べる遊び方です。飼い主さんが物陰に隠れていると近づいてきて、ぱっと顔を出すとピタッと止まるという猫が意外と多いようです。猫ちゃんにしてみれば、物陰に隠れた獲物を狙うハンターの習性に従った行動なのでしょう。

他にも、ボールを投げると追いかけて捕まえるとか、高い場所にいる猫にボールを軽く投げると捕まえようとしてバレーボールのブロックのように打ち返してくるといった、ボール遊びが上手な子もいます。いずれも、狩りになぞらえた動きの遊びです。猫ちゃんが好む遊び方を、いくつか見つけておくと良いでしょう。

 

お留守番時のひとり遊び

窓の外を見る猫

 

最後は、猫ちゃんにお留守番をしてもらう時の、ひとり遊びについてです。朝早くから仕事に出かけてしまい、夜遅くまで帰って来られないという飼い主様の場合、猫ちゃんだけのお留守番は退屈だろうと、おもちゃを出したまま出かける方もいらっしゃるようです。その場合は、くれぐれも誤飲してしまわないような素材、大きさのおもちゃを選ぶようにしてください。

 

ただし、猫は1日の大半をウトウトと身体を休めているのが正常な行動です。無理におもちゃを出しておかなければならないということはありません。窓から外を眺められるような場所にキャットタワーを設置したり、外を覗ける棚の上を開放してあげたりすると、家の前を通る車やベランダの手摺に止まる鳥などを見て、起きている時間もあまり退屈せずに過ごせます。

 

また、普段飼い主様が家の中にいる時にも、上から飼い主様の様子を観察できる場所を開放してあげると、猫ちゃんはその場所をお気に入りの場所として上ったり下りたりして過ごすでしょう。あまり背の高い家具がない、家具の上に猫ちゃんがくつろげるスペースを作りたくないという場合は、市販のキャットタワーやキャットステップなどを設置してあげると良いでしょう。

 

ポイント

おもちゃを捕まえた猫

ポイント

・猫にとって遊びには、筋肉を鍛え、気持ちを安定させ、脳を活性化させる効果があります。

・無関心なおもちゃやタワーも、工夫すれば興味を惹くことができます。

・猫の遊びは、基本的に狩りのシュミュレーションです。

・飼い主様がおもちゃで上手に獲物の動きを再現して遊ばせましょう。

・猫は持久力がないため、1回の遊びは15分程度で十分なことが多いです。

・遊びの最後は獲物を捕まえさせて、達成感を味わわせましょう。

・狩りごっこは食事の前にさせるのが理想的です。

・就寝前にしっかりと遊ばせてから食事にすると、猫ちゃんもぐっすりと眠るでしょう。

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