横須賀つだ動物病院
フェレットの専門診療

フェレットの健康をサポートする専門診療

活発で愛らしいフェレットですが、犬や猫とは異なる特有の体質や、かかりやすい病気があります。つだ動物病院では、フェレット特有の生態や病気を深く理解し、それぞれの個体に合わせた専門的な診療を行っています。日常の健康管理から、重要な疾患の早期発見・治療まで、大切なフェレットの健やかな毎日をサポートいたします。
当院で特に多く診察するフェレットの病気や、注意すべき点についてご紹介します。

フェレットに多い副腎疾患の診断と治療

フェレットは、犬や猫に比べて副腎疾患の発生が非常に多い動物です。副腎とは、腎臓の傍に左右一つずつある小さな内分泌器官で、血糖値やイオンの調整など、生命維持に不可欠な様々なホルモンを分泌しています。
フェレットの副腎疾患には、過形成（細胞の過剰な増殖）、腺腫（良性腫瘍）、腺癌（悪性腫瘍）などの種類があります。これらの疾患では、異常に増殖した副腎細胞から性ホルモン（エストロゲンやテストステロンなど）が過剰に分泌されることが多く、それが全身の様々な症状を引き起こす原因となります。副腎疾患が起こる詳しい原因はまだ完全に解明されていませんが、傾向として中年齢以降の個体で多く発生が見られます。

主な症状

副腎疾患を持つフェレットの多くで見られる症状です。早期発見のためにも、日頃から以下の症状がないか注意して観察しましょう。

脱毛

尾の付け根から始まり、腰背部にかけて左右対称性かつ進行性に毛が抜けてきます。皮膚の痒みを伴うこともあり、ひっかき傷で発見に至る場合があります。

外陰部の腫大

女の子（避妊済み・未避妊に関わらず）の半数以上で外陰部が大きく腫れる症状が認められます。

排尿障害

男の子では、前立腺の腫大により尿道が圧迫され、頻尿や尿漏れ、トイレ以外での排尿といった排尿障害がみられます。

その他

体臭の変化、行動の変化（活動性の低下など）、多飲多尿（水をたくさん飲む・おしっこの量が増える）、筋肉の萎縮（特に後肢）などが挙げられます。

当院の診断アプローチ

当院では、副腎疾患の診断のために、以下のような検査を組み合わせて総合的に評価します。

身体検査・触診

副腎の腫れがないか、脱毛や皮膚の状態、外陰部の腫大などを確認します。

画像診断

• レントゲン検査： 副腎の石灰化や、他の臓器への影響を確認します。
• 超音波検査： 腫大化した副腎を確認するのに非常に有用です。フェレットの正常な副腎のサイズ（左が5.4〜9.8mm × 2.3〜3.6mm、右が5.8〜10.5 × 2.2〜3.8mm）を基準に、詳細な評価を行います。

血液検査

全身状態の把握や、他の病気との鑑別のために行います。

当院の治療法

副腎疾患の治療法は、病状や副腎の状態によって異なります。

外科的治療（副腎摘出術）

基本的には、異常な副腎を切除する手術が第一選択となります。左側の副腎は比較的摘出しやすいですが、右側の副腎は後大静脈に近く、腫大が著しい場合は摘出が難しくなることがあります。

内科的治療（ホルモン抑制療法）

手術が困難な症例や、体力的に手術が難しい高齢・衰弱したフェレットに対しては、定期的に性ホルモンの分泌を抑える注射（例：リュープロレリン酢酸塩注射など）を行うことで、症状の改善が期待できます。これは根治治療ではありませんが、症状をコントロールし、フェレットのQOLを維持するために有効な選択肢です。

フェレットの日常ケアと健康診断の重要性

副腎疾患以外にも、フェレットはインスリノーマ（膵臓の腫瘍）や心臓病、インフルエンザなど、かかりやすい病気がいくつかあります。フェレットの健康寿命を延ばし、病気の早期発見・早期治療に繋げるためには、日頃のケアと定期的な健康診断が欠かせません。

日常の注意点

フェレットの食事（良質なフェレットフードの選択）、清潔な飼育環境、適度な運動、体臭の変化や活動性の変化など、日々の観察ポイントについてアドバイスさせていただきます。

お気軽にご相談ください

フェレットのことで気になることがあれば、お気軽にご相談ください。フェレットの体調や飼育に関するご不安な点がありましたら、どんな小さなことでも構いませんので、お気軽にご来院またはお電話にてご相談ください。フェレットの専門知識を持ったスタッフが、大切なフェレットとご家族に寄り添い、丁寧に対応させていただきます。