冬に多く起きる事故に気を付けましょう

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事故の予防は飼い主様次第

雪の中の犬

 

こんにちは、横須賀市にある「つだ動物病院」院長の津田航です。寒い毎日が続いていますが、ワンちゃん、猫ちゃんと楽しくお過ごしでしょうか。

 

ワンちゃんや猫ちゃんと一緒に暮らしておられる飼い主様は、1年を通して彼らの健康管理に気を使われていると思います。しかし、ふとしたタイミングで起こる事故については、「不可抗力」だと諦めてしまわれてはいらっしゃいませんか?

 

もちろん完璧な防衛策はありません。しかし、事故についてはある程度飼い主様のご努力で、防ぐことが可能です。特に、冬ならではといった事故に焦点を当てて、どのような点に注意をすることで、大切なワンちゃんや猫ちゃんをふとした事故から守れるのかについて、お話します。

 

ワンちゃんの注意点

パーカーを着た犬

 

まずは、ワンちゃんに多い冬の事故について考えてみましょう。冬になると、お家の献立に多く登場するのがお鍋や煮込み料理ではないでしょうか。

 

骨付きのお肉を使ったお料理の残りを軽い気持ちでワンちゃんにあげてしまうと、かたい骨を噛んだ歯が折れたり割れたりしてしまうことがあります。これを「破折」と言います。ひどい場合は歯の中の神経がむき出しになってしまって、ワンちゃんにとてもつらい思いをさせてしまうことにも繋がります。

 

普段は人の食べ物をあげないようにしていても、パーティーなどでお客様を呼んでしまうと、悪気のないお客様が与えてしまうこともありますので、お食事中は別の部屋やクレートに入れるなど、注意をしてください。

 

また、寒いからと行き過ぎた防寒対策をすることで、ワンちゃんに辛い思いをさせてしまうこともあります。例えば、防寒のために着せた洋服を着せたままにしてしまうと、皮膚が蒸れたり毛玉ができたりと、ワンちゃんの皮膚や被毛のトラブルの原因になりやすいので注意してください。

 

洋服を着せる場合は、必要最小限の時間に留めるようにして、洋服を脱がせたらしっかりとブラッシングをしながら皮膚の状態を確認するなど、行き過ぎた防寒対策による不要な健康トラブルを引き起こさないように注意をしてあげてください。

 

12月〜3月にかけては、誤飲事故が増える時期でもあります。特にワンちゃんの場合、おもちゃの奪い合いゲームが大好きで、それがエスカレートして口に入れたものを取られまいと飲み込んでしまう子が多いです。誤飲を繰り返す子には、この傾向が強いように思います。ワンちゃんの特性に合わせて普段から安全な遊び方を工夫するようにしましょう。

 

猫ちゃんの注意点

こたつから覗いている猫

 

猫ちゃんの場合は、暖房器具に関する事故が多いです。猫は寒さに弱いイメージがあるかもしれません。しかし、自分で居心地の良い場所を探して移動するため、見方を変えると寒さには強いといえるのかもしれません。

 

それよりも、ストーブに接近してすやすやと眠ってしまい低温やけどを負ったり、こたつに潜ってそのまま出てこずに脱水症状を起こしたりなど、暖房器具の暑さに弱いという表現の方がふさわしいかもしれません。

 

猫は、鼻の内部で温度を感じるため、暖かい空気を吸い込んで温かい場所を見つけるのは得意ですが、被毛に覆われている皮膚ではあまり暑さを感じないようです。しかも、野性時代の習性が残っている猫にとって、狭くて薄暗い場所は安心して落ち着ける場所なので、こたつはとても居心地の良い場所なのでしょう。人間用のこたつを共用する場合は、時々外に出す、温度設定を低めにする、スイッチを「弱」にする等の工夫をしてあげましょう。

 

この猫ちゃんがこたつを好むのと同じ条件が整っているのが、車のエンジンルームです。エンジンルームに外猫が入り込んでしまい、悲惨なことになるという事故が多発するのも冬です。お車にお乗りになる前には、忘れずにボンネットをバンバンと叩いて、猫を逃がすようにしてください。ただし、叩きすぎると怖がって奥へ入り込んでしまうこともあるようです。できればボンネットを開けて確認するようにした方が、安心ですね。

 

ワンちゃんと同様に、猫ちゃんにも誤飲事故は多いです。特に冬の場合は、ニット製品やマフラーなど毛糸を使った製品が身近に置かれるのではないでしょうか。

 

猫ちゃんの舌の表面には、糸状乳頭という棘のようなものがたくさん並んでいて、骨についた肉を削いだりグルーミングをする際のブラシの役目をしたりします。実は、毛糸のような紐状のものを飲み込んでしまった場合、この棘に一端が引っかかったまま、反対側が腸まで届いて絡みつき、腸閉塞になってしまうことがあるのです。

 

こうなると、開腹手術をするしか手立てがないということにもなりかねません。特に猫ちゃんの手の届く範囲には、紐状のもの、噛みちぎって紐状になってしまいやすいものは置かないようにしましょう。

 

共通の注意点

チョコレート

 

冬になると、外で栽培していた植物の防寒対策で、鉢植えを室内に入れる場合もあると思います。しかし、ワンちゃんや猫ちゃんが口にしてしまうと危険な植物は、想像以上にたくさんあります。

 

観葉植物、アヤメ科、キョウチクトウ科、キンポウゲ科、クスノキ科、サトイモ科、ツツジ科、トウダイグサ科、ナス科、ヒガンバナ科、マチン科、マメ科、ユリ科の植物には有害なものが多いです。

 

またキキョウやスミレのように、人にとっては薬用成分であっても、体の小さな彼らにとっては毒性を示すものもあります。植物の取り扱いには十分に注意をしてください。

 

使い捨てカイロの誤飲も多いです。その辺に置きっぱなしにせず、彼らの手の届かないところに廃棄してください。ゴミ箱は、ふた付きのものを利用して、万が一にもいたずらできないようにしておきましょう。

 

2月にはバレンタインがあります。チョコレートに含まれるテオブロミンという成分は、過剰摂取によりワンちゃんや猫ちゃんに中毒症状を引き起こします。チョコレートを手作りされたり、贈られたチョコレートを持ち帰ったりと、お家の中にチョコレートがあふれるようなことのないように、気を付けてあげましょう。

 

ワンちゃんや猫ちゃんと一緒に暮らす場合、彼らにとって危険なものは、彼らの手の届く範囲には置かないことが大原則です。そして、出したものはすぐに片付ける。これを習慣化して、ワンちゃん、猫ちゃんを不慮の事故から守ってあげましょう。

 

ポイント

猫バンバン

 

ポイント

・硬いものを噛ませると歯を破折させることがあります

・行き過ぎた防寒対策でワンちゃんの健康を害することがあります

・猫ちゃんの長時間の暖房器具使用は低温やけどや脱水症状を招く可能性があります

・ワンちゃんも猫ちゃんも誤飲事故に注意が必要です

・ワンちゃん猫ちゃんに有毒な植物の扱いに気を付けましょう

・危険なものはワンちゃん猫ちゃんの手の届かない場所に片付けましょう

・車に乗る前には猫バンバンを忘れずに!

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