秋に注意したい犬と猫の健康管理

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夏の暑さで弱った体を冬に向けて備えましょう

こんにちは、横須賀市にある「つだ動物病院」院長の津田航です。

 

9月に入り、まだ暑い日もありますが、それでも徐々に秋の気配を感じられるようになってきました。秋は、夏の暑さで弱った体を、これからやってくる寒い冬に向けて備えていくための時期です。

 

今回は、そんな秋だからこそ注意したい、愛犬や愛猫への健康管理の注意点やポイントについてお伝えします。

 

気温・湿度・天候に関する注意事項

犬小屋で寝る犬

 

まずは、気温や湿度、天候などに関連する注意事項です。

 

寒くなったと思うとまた暑さがぶり返されるといったことを繰り返しながらも、全体的にはだんだんと気温が下がってきます。外と室内の温度差が大きいとそれだけ体への負担も重くなりますので、散歩の時間をなるべく日が差す暖かい時間帯にする等の工夫をしましょう。

 

また、昼と夜の温度差が次第に大きくなっていきます。特に明け方の5〜6時頃の冷え込みは厳しく、室内でもかなり寒くなります。朝が遅めの飼い主様等の場合は、エアコンをタイマーで利用する等、適切なタイミングをうかがいながら対策を施しましょう。

 

特に、今頃の時期にやってくる秋台風は勢力が強いものが多いので、気圧の急激な変化が犬や猫の体調に悪い影響を与えることがあります。人の場合も、気圧の変化で頭痛がひどくなる等の天気痛とか低気圧不調と言われる症状がありますが、犬や猫でも同様です。

 

特に脳や神経系の疾患を持っている場合には注意が必要です。発作を起こすので脳圧を下げる薬を飲ませているというような場合、気圧の状況に応じて薬の量を調整することで、発作をうまくコントロールできる場合があります。飼い主様の勝手な判断は事故の元なのでダメですが、主治医の獣医師と相談し可能となれば、指導の下でうまくコントロールしてあげましょう。

 

食事・予防に関する注意事項

被災直後に散歩する犬

 

次は、食事に関連する注意事項です。

 

夏の暑さで食欲が落ちていた犬や猫も、涼しくなったことで食欲が出てくることも多いと思います。そんな時に気をつけていただきたいのは、急にたくさんの量を食べさせないで欲しいということです。弱っていた胃腸への負担が大きくなり過ぎるからです。下痢や嘔吐などをしないように、様子を見ながら少しずつ増やしていくようにしましょう。1回に出す量を少しにして、様子を見ながら出す回数で全体量を調整するというのも良いでしょう。

 

逆に、涼しくなってもなかなか食欲が戻らない場合には、いろいろと工夫をして食欲を増進させるようにしてみましょう。たとえば、缶詰やパウチのフードの場合、冷たいままではなく、電子レンジなどでほんの少し温めてあげると香りが強くなり、よく食べてくれる場合があります。

 

また、台風などで湿度が高い時期は、傷みやすいのでドライフードを長時間置きっ放しにするのはやめましょう。同様に、保管の仕方にも注意してください。

 

次は、予防関連の注意事項です。

秋になって蚊を見かけなくなっても、安心しないでください。以前ブログでもご紹介した通り、横須賀地区の場合、フィラリア予防は4月末から12月末までの期間中、継続的に行うことが大切です。油断しないようにしましょう。

 

ノミ・ダニも、一般的には3〜12月が活動期なので、まだまだ予防が必要です。また、室内飼いの場合は一年中予防が必要なので注意してください。

 

ワクチンで予防できるレプトスピラ症という感染症があります。これは、台風が通り過ぎた後に発症のリスクが高まると言われています。台風が過ぎた後もすぐには散歩に出ず、水が引く等被害の状況がおさまるまではしばらく様子を見る、散歩コースを被害の少ない場所に変えるなどの安全策を検討してみましょう。

 

やはり以前ブログでご紹介した通り、横須賀地区では過去にレプトスピラ症の感染例がありますので、私は犬には8種混合ワクチンの接種をおすすめしています。まだ愛犬に今年のワクチン接種を行っていないのであれば、今のうちに8種混合ワクチンの接種をしておくことをおすすめします。

 

事故などに関する注意事項

花と猫

 

次は、事故に関連した注意事項です。

室内で冬の鉢花を楽しみたい方もおられるでしょう。11〜4月に花を咲かせ、冬の鉢花の女王とも言われているシクラメンのように、とても美しい花ですが犬や猫にとっては中毒性があるという植物もありますので、花の選び方にも注意が必要です。特に、花に日光を当てるために窓際などに置くことが多いと思いますが、窓際は猫にとってもお気に入りの場所なので注意しましょう。また、肥料や防虫剤の取り扱いにも注意が必要です。

 

だんだん寒くなってくると、電気ストーブなどの普段置いていなかった電気製品を部屋の中に設置するようになるお宅もあるかと思います。特に好奇心が旺盛な子犬や子猫は、新しい物に興味を示し、電気コードに引っかかる、かじって感電してしまうなどといった事故になることもありますので、設置する場所や電気コードの扱いには十分に気をつけてください。

 

ちょっと分類分けが難しいですが、その他にも下記のような注意点があります。

 

寒くて部屋を閉め切ってしまうと、犬や猫が自由にお水を飲んだりトイレに行けなくなったりする場合があります。人と違って汗をかかない犬や猫は、年間を通して飲水量や排尿量があまり変化しません。そのため、いつでも新鮮なお水を飲め、いつでも自由にトイレに行ける環境を整えてあげましょう。部屋のドアに専用の通路を取り付けてあげるとか、常にドアの隙間を開けておくなどの対策が現実的だと思いますが、部屋の中に新鮮な水入れやトイレを設置してあげるという方法もあるでしょう。

 

寒くなってくると、ついついお散歩をさぼってしまう飼い主様はいらっしゃいませんか。寒くても、愛犬は必ずお散歩に連れていきましょう。運動不足は肥満の元です。同様に、猫の場合も積極的に一緒に遊ぶ時間を作ってあげましょう。

 

この時期は冬毛へと変わる換毛期なので、丁寧なブラッシングをこまめに実施してください。ブラッシングは皮膚へのマッサージ効果もあり、肌艶をよくしたり内臓の働きを良くしたりといった付随効果も期待できます。

 

季節の変わり目に伴う環境変化に注意しましょう

室内でくつろぐ犬と猫

 

今回は、秋に注意したい健康管理についてお伝えしました。読んでみると、別に秋に限ったことではないじゃないかと感じられた飼い主様も多いのではないでしょうか。確かに、愛犬や愛猫の健康管理には、一年中通してさまざまな視点での注意が必要ですし、基本的なポイントもそんなに大きくは変わりません。けれども、季節の変わり目に伴うちょっとした環境の変化に注目し、いつもの健康管理にその視点を加える(強化する)ことが大切だと考えています。

 

子犬や子猫、高齢の犬や猫は、酷暑で弱っていたところに季節の変わり目の変化が加わり、よりストレスを受けやすい状態になっています。寒い冬がやってくる前の準備として、まだ今年の健康診断を受けていない愛犬や愛猫に、健康診断を受診させるというのも一つの考え方です。

 

いずれにしろ、愛犬や愛猫に元気で長生きしてもらうためには、飼い主様による健康管理が欠かせません。そのためには日頃からよく観察し、必要に応じて工夫を凝らした改善をしてあげましょう。

 

また、可愛がることと甘やかすことは別物です。食べさせ過ぎないとか、怠け癖がついて嫌がっても散歩に連れ出すなど、必要なことはビシッとしつけることも大切です。

 

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