一人暮らしでペットと暮らす際に気を付けたいこと

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ペットとの豊かな生活

犬の散歩

 

こんにちは、横須賀市にある「つだ動物病院」院長の津田航です。

 

人は、なぜペットと一緒に暮らすのでしょう。「犬や猫が好きだから」「癒されるから」という答えが多いかもしれません。場合によっては「引き取り手がいなくて可哀想だったから」という理由で保護された犬や猫の里親になった飼い主様もいらっしゃるかもしれません。

 

ペットと一緒に暮らしていると、感情が豊かで明るい性格になったり、ペットのお世話をすることに生き甲斐を感じたりして、豊かな人生を送れるようになると考えられています。実際に、ペットと一緒に暮らして幸福感を感じておられる飼い主様は多く、ペットと一緒に暮らしていない方よりも心臓発作の発生率が30%も低くなるという、健康に良い影響があるという研究結果も発表されています。

 

しかし、よいことばかりではありません。ペット達は、成長しても決して自立した生活はできません。そして十数年という寿命を持っています。一緒に暮らすということは、彼らの一生を、責任を持って世話をするということなのです。

 

ご家族が一緒に暮らしておられる場合は役割分担もできますが、飼い主様が一人暮らしの場合、その責任はたった1人に集中してしまいます。飼い主様が体調を崩された時も、生活に変化が起きた場合も、基本的にはお一人でペットのお世話を続けなければならないのです。そこで今回は、一人暮らしの飼い主様がペットと一緒に暮らす際に気を付けていただきたいことについて、お話ししたいと思います。

 

住環境について

キャットタワーから外を見る猫

 

まず最も大切なことは、これからペットと一緒に暮らそうとされている飼い主様のお住まいが、「ペットの飼育が認められている」環境であるということです。また、入居する際に「ペット可」の物件だったから大丈夫だとは限りません。「ペット可」であればどのような動物でも飼育可能だということではないからです。動物の種類やサイズ、頭数などに制約のある場合が多いので、条件が整ったお住まいをみつけてください。

 

基本的には室内飼育をおすすめします。ワンちゃんにとっても猫ちゃんにとっても、それが最も安全で快適に暮らせる環境だからです。ただし、ワンちゃんの場合はある程度の広さが、猫ちゃんの場合は広さよりも上下に移動できる高さが重要であるということに注意しましょう。その際、ワンちゃんや猫ちゃんにとって危険なものはすべて排除し、かついたずらしたくなるようなものも手の届かない所に隠すようにしましょう。

 

間取りは、できれば2部屋以上であることをおすすめします。ワンルームでは一緒に暮らせないという訳ではありませんが、万が一の場合に隔離が必要だとか、どうしてもいたずらされたくない家具などをしまっておく等、ワンちゃんや猫ちゃんが自由に出入りできない部屋が1つあると便利です。

 

お住まいの近くに動物病院、ペットホテル、ペットシッター、フードやペット用品を販売しているお店や散歩に適した公園やドッグラン、そしてペット同伴可能な避難所などがあるかどうかを確認しておきましょう。特に、ワンちゃんや猫ちゃんを迎えたらすぐに必要になるのがペット用品の調達と動物病院での健康診断やワクチン接種です。この2つは迎える前から確認しておきましょう。特に一人暮らしの場合は、年中無休でできれば夜間も急患の診察を受け付けてくれる病院を見つけておくと安心です。

 

ワンちゃんか猫ちゃんか、またその品種は何か等によって、習性や性格が異なります。一緒に暮らし始めたら、彼らの習性や性格、そして年齢や体調に合わせて、適宜住環境を工夫し、改善してあげる必要があります。

 

一緒に暮らすペットの種類

トレーニング中の犬

 

飼い主様が一人暮らしの場合、ワンちゃんや猫ちゃんのお世話をサポートしてくれるご家族がいないので、可能であれば、穏やかな性格で抜け毛が少ない小型犬や猫ちゃんがお世話しやすいでしょう。

 

もしも多頭飼いをお望みなのであれば、後から2頭目をお迎えするよりも、最初から兄弟姉妹や相性の良い子達をお迎えする方が良いでしょう。ただし、万が一の場合に飼い主様がお一人でも看病したり一緒に避難したりできるということを考えた上で、適切な頭数を見極めてください。

 

ワンちゃんでも猫ちゃんでも、一緒に暮らすためにはしつけが必要です。飼い主様がどんなに忙しくても、そして時間がかかっても、根気よくワンちゃんや猫ちゃんに人と一緒に生活する時に必要なルールを教える覚悟と実践が必要です。

 

また、ワンちゃんも猫ちゃんも、ブラッシングや歯磨き、爪切り、耳掃除など、日常的に体のお手入れや健康状態のチェックをするために身体中のどの部分も触らせてもらえるようにしておく必要があります。ちょっと嫌がられたり唸られたりすると怖くなってやめてしまうといった態度を取ると、それが癖になってしまいます。

 

こういったことを考えると、いきなり「一目惚れ」でワンちゃんや猫ちゃんをお迎えしてしまうのではなく、ある程度の「お試し期間」を経て、飼い主様とワンちゃんや猫ちゃんとの相性を見極めた上で正式にお迎えできることが望ましいでしょう。

 

ワンちゃんも猫ちゃんも、その繁殖力には目を見張るものがあります。特に一人暮らしの飼い主様の場合、望まない妊娠を防ぐためと、彼らの健康のために、去勢・避妊手術を実施することをおすすめします。

 

お互いの関係性について

猫の爪切り

 

ワンちゃんも猫ちゃんも、一緒に暮らしていくうちに飼い主様との間に強い絆が結ばれ、家族になっていきます。しかし、ワンちゃんや猫ちゃんはいつまで経っても自立して生活することはできません。最期まで飼い主様のお世話が必要になるのです。

 

しかし、飼い主様にも飼い主様の生活があります。学生から社会人になる、結婚する、転勤する等、さまざまな事情で生活環境や生活サイクルが変わっていくことでしょう。それでも、家族となったワンちゃんや猫ちゃんと一緒に、彼らを優先した生活を続けていかなければなりません。そのための覚悟と、それを実践するための知恵や工夫が必要です。決して途中で放棄してしまうことのないように、日頃からご近所や友人との間に良い関係を構築し、いろいろな情報を収集し、愛犬愛猫達のためにできることを考えてあげてください。

 

一人暮らしの飼い主様の場合、体調を崩したり出張したりで、思うようにペット達のお世話ができない場合があるでしょう。数日間家を空けなければならないことだってあるでしょう。その場合、全てを一人でなんとかしようとしても限界があります。そういう場合に頼れる先を作ることも必要です。ご近所に住んでいる友人や動物病院、ペットシッターなど、日頃から良い関係を築いておき、いざという時に頼れるようにしておきましょう。

 

また、ワンちゃんや猫ちゃんと長く一緒に暮らしていればいるほど、その関係性は濃くなっていきます。お互いに年齢を重ねることで、場合によってはお互いに対する依存度が高くなり、共依存のような関係になってしまう場合もあります。そうなることで、飼い主様もペットの側も、お互いに相手がいないと穏やかに過ごせなくなり、困ったことになってしまいますので、どんなに強い絆を結んだとしても、適度な距離感を持った関係でいられるように意識してください。これは、飼い主様側の努力による部分が大きいと感じています。決して溺愛といった状態にならないように気を付けましょう。

 

ポイント

老人と犬

 

ポイント

・ペット可のお部屋で室内飼育を基本とする

・犬は広さ、猫は高さを優先し、2部屋以上の間取りが望ましい

・ペットにとって危険なものは排除する

・どんな状況になってもペットのお世話ができるように、頼れる先を作る努力も必要

・ペットと適度な距離感のある関係性を構築し、共依存に陥らないように気をつける

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