子猫を保護したら

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もしも子猫を保護したら…

捨て猫

 

こんにちは、横須賀市にある「つだ動物病院」院長の津田航です。

 

毎年今頃の時期になると、「子猫を保護したので診て欲しい」という保護者様のご来院が増えます。空き箱の中に閉じ込められて弱った声で鳴いていたり、元気そうでもひとりぼっちで心細そうに鳴いていたりする姿を見かけたら、思わず保護される方も多いでしょう。

 

ただし気を付けていただきたいのは、明らかに捨てられていると分かるわけではない場合です。一匹だけでいる子猫が必ず野良猫だとは限りません。もしかしたら、母猫は他のきょうだい猫を連れて移動中で、すぐに戻ってきてこの子猫も移動させようとしているかもしれません。また、もしかするとどなたかの飼い猫で、何らかの拍子に外へ出てしまい迷子になっているのかもしれません。

 

親きょうだいがいるのであれば、引き離すべきではないでしょう。まずは見つけた子猫をすぐに保護してしまうのではなく、しばらく離れたところから様子を見て、近くに母猫やきょうだい猫がいないことを確認してから、保護しましょう。

 

保護したもののどうして良いか分からずにいたら、手に負えなくなってしまったということのないように、子猫を保護したらすべきことや考えるべきことについてお伝えしますので、参考になさってください。

 

最初にやるべきこと

子猫の診察

 

親きょうだいがいる子猫を引き離すべきではないのと同じように、保護した子猫が迷子なのだとしたら、元の飼い主様に返すべきでしょう。

 

そのため、まずは保健所や動物管理センター、そして警察署に連絡し、迷子の届け出が出ていないかを確認しましょう。具体的には、地域の保健所や動物管理センターに「保護届」を、警察署に「拾得物」の届け出を出します。そうすることで、その子を探している飼い主様の元へ返してあげられる可能性が高まります。

 

そして、できるだけ早く動物病院に連れて来てください。もしマイクロチップが装着されていれば、動物病院でマイクロチップを読み取り、飼い主様の情報を得ることもできます。そして何よりも、動物病院で下記のチェック等を行うことが、とても大切です。

 

・健康状態

・おおよその年齢(週齢)

・性別

・寄生虫の駆除

・可能な週齢に達していればワクチンの接種 など

 

まず健康状態をチェックします。弱っていれば、体力を回復させるための処置を優先します。体力的に問題がなければ、検査や寄生虫駆除・ワクチン接種などの必要な処置を行います。

 

何よりも、子猫の場合は週齢によってお世話の仕方が異なりますので、その子が何週齢なのかがとても重要になります。動物病院では、子猫の週齢を確認し、ご自宅に戻ってからのお世話の仕方などについてのアドバイスを差し上げます。

 

週齢の見分け方の目安を簡単にご紹介しておきましょう。

2〜3日齢:まだへその緒がついていて、目も開いていない状態

1週齢:目が開いていてもよく見えていないし、音も聞こえていない状態

2週齢:目が見えるようになり、音も聞こえるようになってきます

3〜4週齢:歯が生え始め、歩き始め、排泄も徐々に自力でできるようになってきます

5〜7週齢:歯が生え揃います

 

3週齢以前の子猫は自力で排泄できません。そのため、排泄の介助も非常に重要なお世話になります。動物病院では、健康状態だけではなく、このような見極めやアドバイスも行いますので、たとえ子猫が健康そうに見えても、できるだけ早く動物病院に連れて来るようにしてください。

 

また先住猫や犬がいる場合はもちろん、いない場合でも動物病院での寄生虫駆除や感染症有無の確認などが終わるまでは、子猫を隔離して行動範囲を制限しましょう。先住猫や犬、そして保護者様への感染や寄生のリスクが高いからです。保護者様ご自身も、子猫との接触は必要最小限にとどめ、その都度手洗いやうがいを行ってください。

 

なお、動物病院に連れて来られる前に子猫をシャンプーされる保護者様が多いのですが、それはとても危険な行為です。シャンプーをすることで子猫は体力を非常に消耗し、体温低下にも繋がります。保護した直後は汚れているので綺麗にしたいというお気持は理解できますが、シャンプーは避けてください。

 

子猫がとても元気な様子であれば、蒸しタオルで拭いてあげましょう。しかし子猫に弱っている様子が見られるようなら、蒸しタオルも使わずに、乾いたタオルやブラシで汚れを取るまでにとどめてください。

 

自宅でのケア

子猫の哺乳

 

動物病院でいろいろな検査や処置を行った後、保護した子猫をご自宅に連れ帰ってケアをする場合の注意事項をいくつかお伝えしておきます。

 

<体温管理>

子猫は、通常母猫やきょうだい猫達と身を寄せ合って過ごすことで、体温を維持しています。子猫に適した温度は約30℃と、人間の感覚では暑すぎるような温度なので、単独の状態で放っておくと体温が下がってしまい、季節によっては低体温症で命に関わるようなこともあり得ます。

子猫は、毛布・湯たんぽなどの熱源・毛布を重ねて入れた段ボール箱などに入れてあげましょう。その際、暑すぎた時に避難できるよう、半分は熱源のない毛布のみのスペースにしておきましょう。湯たんぽは、空のペットボトルに40℃程度のお湯を入れてタオルで巻いたものでも構いません。

なお、ドライヤーの熱風で体を温めるのは厳禁です。急激に体が温まって心臓に負担がかかったり、熱い空気が充満して呼吸困難になったりすることがあるからです。

 

<栄養補給>

まだ授乳が必要な場合は、猫用のミルクを飲ませます。猫は牛乳の乳糖を消化しづらいため、飲ませないでください。保護した当日でどうしても猫用ミルクを入手できない場合は、牛乳を薄めて飲ませるようにしましょう。

また、自力で飲める場合は哺乳瓶で飲ませますが、自力で飲めない場合はシリンジを使って飲ませてください。焦らずに少しずつ飲ませることが大切です。

飲ませる時は、人間の赤ん坊のように仰向けにしてはいけません。誤嚥の原因になります。腹ばいにさせ、顔を斜め上に向けた状態で固定させ、シリンジや哺乳瓶と口と食道が一直線になるような姿勢で飲ませます。

離乳食を食べられるような年齢の場合は、いつでも新鮮な水が飲めるようにしておくことも忘れないでください。

 

<排泄の管理>

排泄の介助が必要な場合は、食後にぬるま湯で湿らせたガーゼで肛門と尿道口の周囲をやさしく軽く叩いてあげます。おしっこやウンチが出てきたらガーゼで受け止め、最後まで出しきるように刺激を与え続けてください。排泄をさせる姿勢はどんな体勢でも問題ありません。ペットシーツを敷き、その上でやるようにすると良いでしょう。

 

<安心できる環境>

寝床はできるだけ静かで落ち着ける場所を選び、四方が囲まれていて狭くて薄暗い穴蔵のような環境を作ってあげましょう。ケージの場合は、上に毛布を被せると落ち着くでしょう。

先住猫や犬がいる場合は、慌てて対面させるのではなく、先住猫や犬が子猫に興味を示して自ら近付いてくるようになるまでは、基本的にケージの中で過ごさせるようにしましょう。焦り過ぎは禁物です。

 

里親の探し方

保護猫

 

全ての保護者様が、ご自宅で保護した子猫を飼養できるわけではないと思います。先住猫や犬がいる場合は、彼らと保護猫との相性もあるでしょう。あまりにも可哀想で保護したものの、経済的な面も含めて、飼養できる状況ではないという保護者様もおられるでしょう。

 

そういう場合、保護者様が保護猫のお世話と供にやらなければならないことが、里親探しです。以前と比べれば、里親を探すための方法にもいろいろな選択肢が増えてきています。しかし、里親が見つかるまでに必要となる費用は、原則保護者様の負担になることをよく考慮した上で、下記のような選択肢から最もふさわしい方法を選んで、里親探しを行ってください。

 

<動物病院に相談する>

待合室にポスターを貼る、保護者様が必要経費を支払うことで、院内で飼育しながら里親を探すなど、それぞれの動物病院毎にできる方法で里親探しの協力をしているところが多いです。お気軽に、病院スタッフにご相談ください。

 

<動物保護団体に相談する>

団体毎に活動内容等が異なりますので、お住いの地域の動物保護団体を調べて相談してみてください。里親を探すための方法を教えてくれる、必要経費とともに保護猫を団体に預けて里親探しをしてもらう等、それぞれの団体の対応方法を説明してくれるでしょう。

 

<個人として里親探しを行う>

SNS等を通じて保護者様の知人に声をかける、インターネットの里親募集掲示板を利用する、譲渡会に参加するなど、今は里親を探す方法も色々選べるようになりました。ご自身に適した方法を選び、保護猫が幸せに暮らせるような里親を探してあげましょう。

 

可哀想だという気持ちだけで子猫を保護してしまい、その後どうして良いか分からずに途方に暮れてしまうということのないように、お近くの動物病院や動物保護団体に相談してみてください。親身になって相談に乗ってくれるところが多いはずです。

ポイント

幸せに暮らす猫

 

ポイント

・子猫がひとりでいる場合、まずは近くに母猫がいないかを確認しましょう。

・猫の保護届や拾得届を地域の保健所、動物管理センターや警察署に届け出ましょう。

・保護猫が元気そうに見えても、できるだけ早く動物病院に連れて行きましょう。

・健康状態が明確になるまでは、他の動物や人との接触を最小限に制限しましょう。

・子猫の年齢に合わせたお世話を行いましょう。特に若齢猫の場合は体温管理が大切です。

・自力でミルクを飲めない場合、誤嚥させないように注意しましょう。

・自力で排泄できない場合は、保護者様が排泄を介助しましょう。

・保護者様が飼えない場合は、ご自身に合ったやり方で里親を探しましょう。

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