愛犬がいつもより落ち着きがないと感じたら

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落ち着きがない状態とは

興奮気味の犬

 

こんにちは、横須賀市にある「つだ動物病院」院長の津田航です。

 

ワンちゃんの様子がいつもと異なり、なんだか落ち着きがないなぁと感じることがあるかもしれません。一過性の場合もあれば、心配になるくらい長く続くことも…。

 

落ち着きのない行動とは、例えば下記のようなものです。

・部屋の中をいつまでもウロウロと歩き回っている

・なかなか寝付けずに何度も体勢を変えたりクンクン鳴いたりしている

・飼い主様の指示が耳に入らない様子で言うことを聞かない など

 

ワンちゃんの様子がいつもと異なる場合、そこには必ず理由があります。落ち着きをなくしている原因を知ることで、ワンちゃんを穏やかに過ごさせてあげることができるはずです。また、裏に病気が隠れている可能性も考えられます。

 

そこで今回は、ワンちゃんの様子がいつもと違って落ち着きがない時の原因や裏に隠れている可能性のある病気などについてお伝えしたいと思います。

 

精神的な原因

不安げな犬

 

<不安>

何らかのストレスを受けて不安を覚えている場合、ワンちゃんはよく落ち着きをなくします。私達人間も、問題を抱えていると安眠できなかったり、仕事中も心ここにあらずといった状態になったりすることがありますが、ワンちゃんも同じなのです。

ただしワンちゃんの場合は、部屋の模様替えをした、知らない人が家にやってきた、いつになく長時間の留守番が続いたといった、飼い主様にはほとんどストレスに感じないような理由でも原因となるため、注意が必要です。

ちょっとした変化であっても、アフターフォローが必要です。スキンシップを心掛け、落ち着かせるようにしましょう。

 

<興奮>

興奮している場合にも落ち着きをなくします。

例えば、飼い主様が帰宅されると嬉しくて興奮してしまい、飛びついてきたり嬉ションしてしまったりするワンちゃんもいるようです。

しかしワンちゃんを興奮させるのは、あまり好ましいことではありません。飼い主様も一緒になって「お留守番、お利口だったね〜!」と興奮気味に声をかけて激しく撫でてしまうような対応をしてしまうと、ワンちゃんの興奮はさらに高まり、しばらく落ち着かなくなってしまうでしょう。

ワンちゃんが興奮している時には、飼い主様が冷静に対応することで、ワンちゃんの気持ちをクールダウンさせるようにしましょう。

 

<飼い主様への共感>

ワンちゃんは、とても敏感に飼い主様の気持ちを察知し、共感します。そのため、飼い主様がストレス・不安・興奮といったものを感じていると、それがそのまま伝わって、ワンちゃんも同じような状態になってしまうことが多々あります。

飼い主様は、どんなにストレスや不安を感じたり興奮したりしていても、ワンちゃんの前ではその気持を表に現さないように努力しましょう。

 

肉体的な原因

落ち着かない様子の犬

 

私達人間もそうですが、ワンちゃんも体のどこかに痛みや不快感、違和感を覚えると、落ち着かなくなります。ただしワンちゃんの場合、体調が良くない時にはじっとして痛みや不快感に耐えるというのが一般的な行動です。自分の体調が良くないことを、周囲に知られないようにするためです。

 

したがって、体の痛みや不快感、違和感が原因で落ち着きのない様子をしている場合は、感じている痛みや不快感、違和感が相当ひどいと考えられます。裏に、重篤な病気が潜んでいる可能性もありますので、精神的な原因に思い当たる節がないにも関わらず、落ち着きのない様子を継続的に見せている場合は、できるだけ早く動物病院に連れて来てください。

 

では、犬が落ち着きなくウロウロと部屋の中を歩き回ったり、落ち着いて眠らずに寝床で頻繁に体勢を変えたりクンクン鳴いたりしている原因として疑える病気について、次章でご紹介します。

 

疑われる病気

診察を受ける犬

 

<胃拡張胃捻転症候群>

胃の中で大量なガスが発生して胃拡張が生じると、胃が風船のように膨らんで強いねじれが起こり、胃の出入り口となる部分が塞がれてさらに胃が拡張していきます。痛みのため、最初のうちは落ち着きのない様子で部屋の中をウロウロと歩き回ったり、吐こうとしても吐けなかったり、息が荒くなったりといった様子が見られます。

そのままにしてしまうと、やがて胃や他の臓器に壊死が起こり、多臓器不全で死に至る病気です。

特に、グレート・デーンやジャーマン・シェパード・ドッグ、アイリッシュ・セター、秋田犬などの胸腔の深い大型犬や超大型犬に多く見られる症状です。

 

<異物誤飲>

消化できない、本来口にすべきではないものを飲み込んでしまった場合、胃腸に不快感を覚えて落ち着きがなくなることがあります。異物を誤飲してしまった場合、しばらくすると便と一緒に排出されるケースもありますが、胃や腸の中に詰まってしまい、腸閉塞を起こしてしまうことがあります。そうなると命に関わる状態にもなり得ます。

異物誤飲をしたことが分かっている場合は、ワンちゃんの様子に異変が見られなくても動物病院で検査を受けることをおすすめします。

 

<てんかん>

脳神経系の伝達がうまく行われなくなり、発作を起こす病気です。倒れて気を失い全身をけいれんさせる全身発作を起こすこともあれば、焦点発作と言って体の一部だけにけいれんが見られる場合もあります。

いずれにしろ、発作を起こす前や後に落ち着きがなくなり、ウロウロと動き回ることがあります。発作は突然起こるため、飼い主様が見ていない時に発作を起こしている場合もあります。その場合、よだれを垂らしているとか失禁した跡があれば、てんかんの発作を起こしたことが疑われます。

 

<認知症>

高齢な犬に多いのが、認知症です。認知症に多く見られるのが、同じ方向にグルグルといつまでも回り続けるとか、昼夜が逆転して一晩中クンクンと鳴き続けるといった症状です。

認知症になった場合、治療で治すことはできませんが、進行を遅らせたり症状を緩和させたりすることは可能です。「年だから仕方がない」とそのままにせず、認知症が疑われる場合も動物病院に連れて来てください。

 

ポイント

甘える犬

 

ポイント

・ワンちゃんの様子がいつもと異なる場合、そこには必ず理由があります。

・落ち着きをなくしている原因には、精神的なものと肉体的なものがあります。

・精神的な原因は、ストレス、不安、興奮です。

・肉体的な原因は、痛み、不快感、違和感です。

・落ち着きをなくしているように見える裏には、病気が隠れていることがあります。

・疑われる病気には、胃拡張胃捻転症候群、異物誤飲、てんかん、認知症などがあります。

・肉体的な原因が疑われる場合は、できるだけ早く動物病院に連れて来てください。

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