愛犬がご飯を食べない!どうして?

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食欲は健康のバロメーター

食欲不振の犬

 

こんにちは、横須賀市にある「つだ動物病院」院長の津田航です。

 

食欲は健康のバロメーターの一つです。ですが、たとえ食欲が落ちたように見えても、その原因が必ずしも体調不良だとは言い切れません。私たち人間も、体調不良ではなくてもなんとなく食欲が無いときがありますが、それはワンちゃんにとっても同じなのです。

 

気分的な問題であまり食べたくないときだってありますし、もっと美味しいものが欲しいと思っているのかもしれません。また実際に食欲が落ちていたとしても、生理的に問題がない場合もあります。もちろん病気が隠れていて、その症状として食欲が落ちている場合もありますので、まずはワンちゃんの食欲が落ちた原因を見極めて、適切に対処する必要があるのです。

 

ワンちゃんの食欲が落ちたり、口にしなくなったりといったときに考えられるさまざまな理由や対処法、そして可能性のある病気などをご紹介します。ワンちゃんの様子を見るときの参考になさってください。ただし何日も食べない状態が続くと体力が落ちたり、特に子犬の場合は低血糖症を引き起こしたりといったことにもつながりかねません。食べない状態が何日か続いた場合は、できるだけ早く動物病院に連れて来てください。

 

育ち盛りなのになぜ?

食べるのに夢中な子犬

 

人間もそうですが、ワンちゃんも子犬の間はとても食欲旺盛で元気に遊び回り、日に日に大きく育っていきます。ですから、毎日しっかりと栄養を摂って丈夫なワンちゃんに育ってほしいと思うのが、親心でしょう。ところが、そんな育ち盛りの子犬の食欲が落ちてきたなと感じたら、飼い主様が心配されるのはとても自然なことです。

 

一般的に、犬は生後1年でほぼ成犬になります。そのため、1歳になるまではどんどん成長していく食べ盛りの期間であると思われている飼い主様も多いようです。でも実際は、成長のピークが訪れるのは生後4〜5ヵ月頃です。そのため、確かに子犬は育ち盛りではあるのですが、成長のピークを過ぎて自然に食べる量が減ってくる場合もあるのです。

 

この場合、食欲が減ったとはいえ、いつも通りに元気で活発に過ごしているはずです。であれば、特に心配することはないでしょう。ご飯もおやつも全く口にしない、またそういう状態が数日間続いている場合や、実際に体重が減ってきている場合は、動物病院で診察を受けてください。しかし、元気で体重も減っていない、気になるような他の症状も出ていないというのであれば、成長のピークが過ぎたことによる生理現象だと考えても大丈夫でしょう。

 

いつものご飯なのになぜ?

立った姿勢で食べる犬

 

<加齢による食欲の低下>

成犬となり歳を重ねてシニア期に入ってからも、生理現象で食欲が落ちることがあります。歳を取ると、筋肉が落ちてしまって基礎代謝力が低下します。それに伴い、必要とするエネルギー量が減少してくるからです。シニア期に入って食欲が落ちたけれども体重は減っていないということであれば、あまり心配する必要はないでしょう。

ただし、加齢によりよく見られるのが関節炎や歯周病です。また、筋力の低下により頭を低くして食事をする体勢が辛くてよく食べられないということもあります。このように、痛みや辛さから食べられなくなっていることも考えられます。ブラッシングや歯磨きといった日常的なお手入れの際に、全身や口の中をしっかりとチェックし、立った姿勢で食べられるような高さの食器台を使用するなどで、できる限りサポートをしてあげましょう。

 

<いつものフードに飽きてしまった>

いつも美味しそうに食べているフードでもそれがずっと続いたり、年末年始などにもらった美味しい食事を覚えていたりすると、いつものフードに飽きてしまいもっと美味しいものを食べたいという理由で、食べてくれなくなることがあります。特に、以前食べなかったときに美味しいものを出してもらえたという経験をしたワンちゃんは、「食べなければもっと美味しいものがもらえるはずだ!」と考えて口をつけないということがあるのです。

普段から「ワンちゃんのフードはこれ一択!」と決めてしまわずに、フレーバーの異なるフードをいくつか選び、適度なサイクルでローテーションさせるようにすると飽きることを防げるでしょう。

また美味しいものを求めているというケースであれば、『食べなければ片付ける。次の食事時間にもいつものフードを出す。間におやつは与えない。』ということを徹底してください。空腹になればちゃんと食べてくれるはずです。

ドライフードならふやかす、ウェットフードなら電子レンジで人肌程度に温めるといった方法で、食感を変えたりニオイを引き立たせたりすることでも、食べてくれるようになることがあります。

 

<フードの保存状態が悪かった>

フードの保存状態が悪くて風味が飛んでしまったり湿気ってしまったりしたために、食欲が出ないということもあります。犬の食欲は、見た目よりもニオイに強く刺激されます。そのため、風味が飛んでしまうといつもの美味しいご飯だと思えなかったり、「なんか変だ」と警戒してしまったりして、食べなくなることがあるのです。

ウェットフードは基本的にその日のうちに食べきらせること、ドライフードはできるだけ密閉できる容器で保存するとか小袋に分けられている製品を選ぶといったことで、風味の劣化を予防できるでしょう。

 

<ストレスで気分が沈んでいる>

ワンちゃんにも感情があり、いつもポジティブだというわけではありません。人間もネガティブな気分の時には食欲がなくなりますが、ワンちゃんも同じなのです。私たちがストレスだと感じることとワンちゃんがストレスだと感じることは、必ずしも一致しません。そのため、飼い主様にとっては気にならないことでもワンちゃんには強いストレスとなることがあります。

室内の模様替えをした、家族が増えたり減ったりした、近所で工事が始まって大きな音がするなど、ワンちゃんのストレスとなるようなことがあれば、できるだけ刺激を和らげられるような対策をとってあげましょう。

 

もしかしたら病気?

診察中の犬

 

食欲不振だけではなく、同時に他の症状も出ているようなら、病気が潜んでいる可能性が高いです。また特に症状らしきものは見られないけれども体重が減ってきている、痩せてきているといった場合にも、病気を疑ってください。また、予防できる病気もありますので、ワクチン接種や寄生虫予防薬は定期的に行うと安心です。

 

病気の種類別に注意すべき症状を紹介しますので、下記のような症状が見られた場合は動物病院に連れて来てください。

 

<口の中の病気>

主な病気:歯周病、口内炎など

主な症状:食欲不振、歯に歯垢や歯石が沈着している、口臭がひどい、歯茎の腫れなど

 

<消化器の病気>

主な病気:胃腸炎、腸閉塞など

主な症状:食欲不振、嘔吐、下痢、血便、元気消失、衰弱など

 

<内臓の病気>

主な病気:心臓病、肝炎、腎不全など

主な症状:食欲不振、元気消失、咳、呼吸が荒い、黄疸、尿の色の変化、震え、発作など

 

<呼吸器の病気>

主な病気:短頭種気道症候群など

主な症状:食欲不振、いびき、喘鳴、失神など

 ※喘鳴:呼吸の度に喉からゼーゼーとかヒューヒューといった雑音がする症状

 

<寄生虫感染症>

主な病気:フィラリア症、回虫症など

主な症状:食欲不振、咳、呼吸困難、チアノーゼ、腹水、痩せる、嘔吐、下痢など

 

ポイント

食欲旺盛な犬

 

ポイント

・食欲不振の原因には、体調不良、生理現象、飽き、風味劣化、ストレスなどがあります。

・他の症状がなく体重減少もなければ、あまり心配する必要はないでしょう。

・何も食べない状態が何日も続く場合は、動物病院に連れて来てください。

・老化による食欲不振を改善するために、食べ方を工夫してあげましょう。

・フードは複数の風味を定期的にローテーションさせると飽きるのを予防できるでしょう。

・フードの保存状態が悪いと風味が劣化して食欲不振につながることがあります。

・食欲不振が現れる病気には、口内、消化器、内蔵、呼吸器や寄生虫の感染症などさまざまなものが考えられます。

・予防できる病気は、定期的なワクチン接種や寄生虫予防薬の投与で予防しましょう。

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