ドッグランで注意したいトラブル

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ドッグランの活用と注意点

走るシェルティ

 

こんにちは、横須賀市にある「つだ動物病院」院長の津田航です。

 

ワンちゃんと長く暮らしておられるベテラン飼い主様にとっては、ドッグランでのルールや注意事項も自然と身についておられるかもしれませんが、まだワンちゃんを迎えて日が浅いという飼い主様にとっては、ちょっと敷居が高いかもしれません。

 

特に都市部で暮らしておられる場合、ワンちゃんを自由にのびのびと運動させたり社会性を身につけさせたりするには、ドッグランはとても役に立つ有益な施設です。しかし、ドッグランには見知らぬ犬やお子さん、見知らぬ人がたくさんいます。また施設によってルールもまちまちです。

 

実は、ドッグランでは見知らぬ犬同士や人と犬、また人と人の間でさまざまなトラブルが起こるリスクが潜んでいます。せっかくワンちゃんと楽しいひと時を過ごそうと利用しているのですから、トラブルなく安全に活用したいものです。

 

そこで今回は、ドッグランを利用する際に注意したいトラブルについてお話したいと思います。

 

犬の3密もリスクを高める

密な子犬たち

 

新型コロナ感染症のパンデミックが起こり、感染症予防の呼びかけとして「3密」ということばが生まれ、今やすっかり定着しました。3密とは、「密閉された空間」「密集した場所」「密接な接触」のことを表しています。この3つは感染リスクを高める要素ですが、人に限ったことではありません。犬にとっても同じです。

 

そして、ドッグランでは見知らぬ多くの犬が「密接な接触」をする可能性が高い場所です。犬の場合は、仲良くなってお互いに舐めあったり、逆に相性が悪くてケンカをして噛みついたりといった、私たち人間とは比べ物にならないほどの密接な接触をしてしまうことが多いのです。

 

ドッグランは、リードを外してワンちゃんを自由に遊ばせてあげられる代わりに、こういった密接な接触やケンカによる咬傷を通して、ウイルスや細菌が感染してしまい、思わぬ病気にかかるリスクが高い場所でもあるということを知っておきましょう。

 

犬の場合は、「うがい」「手洗い」「マスク」といった三種の神器で感染症を予防することができません。その代わりに、飼い主様が注意をすることで、犬同士のケンカや愛犬と人とのトラブルを予防しなければなりません。

 

では、ドッグランで起こりやすいトラブルや感染しやすい病気の症状などについてご説明していきましょう。

 

ドッグランでのトラブル

飼い主様がしっかり管理

 

<犬同士のケンカ>

ドッグランのルールとして、おもちゃやおやつの持ち込みを禁止しているところが多いのですが、中には知らずに持ち込んでしまう方もおられるようです。犬は所有欲が強いため、自分のものではなくても相手のおもちゃやおやつに興味を持ってしまうと、激しい取り合いのケンカになってしまうことが少なくありません。そしてケンカが起き、お互いに噛みつきあって咬傷を負ったり負わせたりしてしまうことがあります。

またヒート中のメスを連れて行ってしまうと、そのメスを取り合ってオス同士がケンカをすることもあります。

たとえ小型犬だったとしても、噛む力は相当なものですので、仲裁に入る場合は決して手を出さないようにしましょう。飼い主様がケガをしてしまいます。

 

<子どもと犬のトラブル>

ドッグランに小さな子どもが来ている場合、悪気なく犬を追いかけたり乱暴を働いたりして、犬を怯えさせてしまうことがあります。怯えた犬は、子どもに反撃して噛みついてしまうこともありますので、子どもと一緒にドッグランに行くときや、ドッグランに子どもがいた時にも、愛犬が被害者になったり加害者になったりしないように、常に目を離さず監視している必要があります。

 

<飼い主様同士のトラブル>

ケンカをしてしまった犬の飼い主様同士の間にトラブルが生じることもあります。不意なトラブルで気が動転されているとは思いますが、相手の方に対して誠意ある行動をとるように心がけましょう。

またこちらが被害者の場合は、念のため狂犬病や混合ワクチンを接種しているかどうかの確認を行いましょう。

さらにどちらがケガをした場合でも、医療費などしばらくは連絡を取り合う必要が出てきますので、連絡先についてもお互いに交換し、禍根を残さないようにしましょう。

 

こんな症状には要注意

ワクチン接種

 

<こんな症状が出た場合は動物病院へ>

喧嘩をした場合、咬傷から唾液とともに病原菌やウイルスが体内に入り込み、感染症にかかるリスクが非常に高まります。ワンちゃんには、必ず狂犬病や混合ワクチンの接種とノミ・ダニの予防をしておきましょう。

咳、くしゃみ、鼻水といったごく初期の風邪症状が見られる場合はしばらく様子を見ていても大丈夫な場合がありますが、膿が混ざったような鼻水や目ヤニ、発熱といった更に進んだ風邪症状、また嘔吐や下痢などの消化器症状が見られる場合は、速やかに動物病院に連れて来てください。特に抵抗力が弱い子犬や老犬の場合は要注意です。

 

<ドッグランの選び方>

ドッグランによってルールはさまざまです。狂犬病や混合ワクチンの接種や害虫駆除を義務付けている施設も多く、入場にはワクチン接種証明書の提示が必要な施設もあります。入場時に面倒だと思われるかもしれませんが、万が一犬同士がケンカをしてしまった場合のことを考えると、こういった厳格なルールで運用されている施設の方が安心できるでしょう。

ドッグランに入ると、小型犬、中型犬、大型犬と、犬の体格によりエリアを分割している施設もあります。大型犬と小型犬のケンカでは、当然小型犬が大ケガをしてしまうリスクが高いため、こういった配慮がなされている施設を利用する方が安心できるでしょう。

 

<入場しないという判断も大切>

ドッグランに相性の悪い犬がいる、興奮状態の犬がいる、小型犬も大型犬も仕切りがなく同じエリアを利用しているといったような状況が確認できた場合は、そのまま入場せずに帰ってくるという判断も大切です。

また、一緒に暮らしているワンちゃんが非常に攻撃的である、興奮しやすい、臆病であるといったような性格の場合や、「マテ」「コイ」「フセ」などのしつけがまだしっかりと定着していない場合は、ドッグランを利用しないという判断も大切です。

飼い主様がしっかりと判断し対応することで、大切なワンちゃんを被害者にも加害者にもさせないようにしましょう。

 

ポイント

走るチワワ

 

ポイント

・愛犬を自由に運動させたり社会性を身につけさせたりするためにドッグランは有効です。

・ドッグランは、愛犬が見知らぬ犬と密接な接触をする機会が多い場所です。

・ドッグランでは、犬同士、犬と子ども、飼い主様同士の間にトラブルが生じやすいです。

・おもちゃやおやつを持ち込むことで犬同士のケンカが発生しやすいです。

・ヒート中のメス犬を取り合ってオス同士のケンカが発生しやすいです。

・小さい子どもと犬の間でもトラブルが生じやすいです。

・不意なトラブルで気が動転しても、飼い主様としての冷静な対応が大切です。

・狂犬病や混合ワクチンの接種、害虫駆除薬の投与は必ず行いましょう。

・風邪症状や下痢症状が見られたら、動物病院に連れて来てください。

・リスクが高い状況が見られた場合は、入場しないという判断も大切です。

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