愛犬愛猫と節分を楽しく過ごしましょう!

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2月は旧暦で1年の始まり

2月のカレンダー

 

こんにちは、横須賀市にある「つだ動物病院」院長の津田航です。

 

2月は、旧暦では如月といわれていました。この如月には、寒い冬が終わり春に向かって万物が動き始める時期という意味があるそうです。地球から見た太陽の位置をベースにして1年を24の節気に分けた「二十四節気」も、2月4日頃の立春から始まります。旧暦では、立春が1年の始まりとされていたのです。ちなみに今年の立春は、まさに2月4日です。

 

立春の前日は、季節を分ける日であることから「節分」とされています。節分では、1年の穢れを祓い清めるために豆まきをするのが古くからの風習です。最近は、関東でも関西発祥の恵方巻きがすっかり有名になりました。しかし、恵方巻きを食べなくても豆まきはするというご家庭も多いのではないでしょうか。それくらい、節分の豆まきは現在の日本でもスタンダードな家庭行事になっています。

 

豆まきの際に使われる福豆は、生の大豆を煎ったものです。無病息災を願いながら、年齢の数だけ食べるというのが定番になっています。スーパーでは、1月の終わり頃から福豆が陳列棚に大量に並びます。

 

ワンちゃんや猫ちゃんと一緒に暮らしているご家庭でも、一緒に節分の豆まきを楽しまれているかもしれません。しかし、福豆はワンちゃんや猫ちゃんが口にしてしまうと、トラブルのもとになってしまう可能性が高い食べ物です。今回は、ワンちゃんや猫ちゃんと一緒に、節分を安全で楽しく過ごすための注意事項などについてお話したいと思います。

 

福豆は犬猫にも大丈夫?

鬼の面と福豆

 

まず大切なことは、生の大豆をワンちゃんや猫ちゃんに食べさせてはいけないということです。大豆に含まれるトリプシン・インヒビターという成分は、膵臓から分泌される消化酵素を阻害する働きを持っています。そのため、大量に食べると膵臓に負担をかけてしまうのです。もちろん、人間と比べて体が小さいワンちゃんや猫ちゃんにとっての大量は、人間の感覚よりもずっと少ないですから注意が必要です。

 

トリプシン・インヒビターは、長時間の加熱処理や発酵されることにより、なくなります。しかし売られている福豆は、加熱時間がどの程度か分かりません。また固くて小粒なので、ワンちゃんや猫ちゃんがそのまま丸呑みしてしまい、喉などに詰まらせてしまう、消化不良を起こすといったトラブルも考えられます。さらには、お腹いっぱい食べてしまった福豆が、胃や腸内で膨張して動けなくなるほどお腹がパンパンになるといった症例もあるのです。やはり基本的には、ワンちゃんや猫ちゃんの口には、福豆を入れないようにするべきです。

 

十分な時間加熱処理されたり発酵して作られた加工食品であれば、ワンちゃんや猫ちゃんに大豆を食べさせても大丈夫です。栄養もありますし、消化しやすく胃腸への負担も心配するほどではありません。食物繊維が豊富なため、整腸作用を期待することもできます。

 

特におからや豆腐であれば、ウェットフードに混ぜてかさ増しし、ダイエット食にすることができます。もちろん、あげすぎれば消化不良を起こす可能性があります。特に完全肉食性の猫にあげる時には注意しましょう。

 

一緒に節分を楽しむ工夫

猫のぬいぐるみと福豆

 

ワンちゃんも猫ちゃんも、ボールを投げると追いかけて走っていき、それを咥えて戻ってきたり、そのままじゃれたりして遊びます。節分の豆まきでも、同じようにまいた福豆を追いかけていって遊んだり、そのまま食べてしまったりするでしょう。福豆は生ではないとは言え、ワンちゃんや猫ちゃんに食べさせるべき食べ物ではありません。

 

豆をまく時には、ワンちゃんや猫ちゃんには別室にいてもらうか、ケージに入っていてもらいましょう。そして、まいた豆を全て回収してから、ワンちゃんや猫ちゃんを自由にしてあげてください。これが、節分の最も安全な過ごし方です。

 

ただし、ワンちゃんや猫ちゃんも家族の一員なので、一緒に豆まきを楽しみたいというご家庭もあるでしょう。その場合は、福豆の代替品を使って豆まきを楽しむということもできます。例えば、小型犬や猫ちゃんであれば、殻付きの落花生を使うのも良いでしょう。ただし、この場合もワンちゃんや猫ちゃんから目を離さないようにし、終わったら速やかに片付けるようにしましょう。

 

食いしん坊なので殻付きの落花生もバリバリとかじって食べてしまいそうだという場合は、ボーロやひとくちサイズのチーズなど、犬・猫用に売られているおやつを使うというのも良いでしょう。いずれにしろ、食べ過ぎやはしゃいで喉につまらせてしまうようなことのないように注意をし、終わったら速やかに片付けて回収漏れがないように注意してください。

 

如月は行事もたくさん

柊鰯

 

旧暦で1年の初めとなる2月には、節分以外にも「事八日(ことようか)」「初午(はつうま)」「バレンタイン」など、行事が多い月だといえます。

 

事八日とは、2月8日と12月8日に行われる行事で、2月8日は「事始め」、12月8日は「事納め」と呼ばれることが一般的なようです。家の軒に、疫病神や魔物、怪物などが家に訪れるのを防ぐためのものを掲げたり立てたりします。地域によって異なり、目籠(めかご)を高く掲げたり、門口に柊や鰯の頭、にんにくを取り付けたり、餅や団子を木に挿して門口に立てたりするなどがあるそうです。

 

初午とは、2月最初の午の日に行われる稲荷神のお祭りで、豊作や商売繁盛、開運、家内安全などを祈願します。稲荷神のお使いである狐は油揚げが大好物なので、初午の日には油揚げや油揚げにすし飯を詰めたものを奉納したそうで、これがいなり寿司の始まりだといわれています。ちなみに、東日本のいなり寿司は俵型、西日本のいなり寿司は三角が主流ですが、それぞれ米俵や狐の耳に見立ててその形になったのだそうです。

 

2月14日のバレンタインデーは、ウァレンティノス司祭が処刑された2月14日の記念日と、この季節に木々が芽吹いて小鳥が発情することとが結合した風習で、バレンタインとはウァレンティノスの英語読みだということです。ウァレンティノス司祭は、当時のローマ皇帝クラウディウスが遠征する兵士の結婚を禁じたことに反対し、処刑されたそうです。

 

ヨーロッパでは、男女が思いを伝えるメッセージカードや花束をお互いに贈り合うようですが、日本では1958年に東京の洋菓子メーカーが始めたバレンタインセールをきっかけに、女性が男性にチョコレートを贈る風習が始まり、徐々に盛んになっていったのだそうです。ワンちゃんや猫ちゃんに対してチョコレートが危険な食べ物であることは、前回のブログでお話した通りです。

<愛犬愛猫にチョコレートを食べさせないで!>へのリンク

 

今回ご紹介したように、年中行事の中には食べ物が登場するものがとても多いです。ワンちゃんや猫ちゃんと一緒に楽しく、かつ安全に年中行事を楽しむためには、食材そのものや口にする量などを含めて、飼い主様がしっかりと管理することが大切です。

 

万が一行事の後などにワンちゃんや猫ちゃんの様子がおかしいと気が付かれたら、どうぞすぐに動物病院に連れて来てください。その際、口にしたかもしれない食材や量、その前後の様子などをお知らせいただけると、迅速で精度の高い診断に役立ちます。

 

ポイント

鬼の面をかぶった犬

ポイント

 

・旧暦で2月は年の始まりだったためか、2月は行事が多い月です。

・節分には、1年の穢れを祓い清めるために豆まきをするのが古くからの風習です。

・生の大豆を犬や猫に大量に食べさせると膵臓への負担が多くなりすぎます。

・長時間加熱や発酵した大豆製品であれば犬や猫に食べさせても大丈夫です。

・節分でまく福豆は、加熱時間や形状等を考慮して犬や猫には食べさせないでください。

・一緒に豆まきを楽しみたい場合は、殻付き落花生や犬猫専用のおやつを代用しましょう。

・豆まき後は、速やかに片付けてまいた福豆を全て回収しましょう。

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