犬と猫を一緒に飼う時の注意点

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犬と猫は一緒に飼える?

仲の良い犬と猫

こんにちは、横須賀市にある「つだ動物病院」院長の津田航です。

何らかの理由で犬と猫の両方と一緒に暮らすことになった場合、犬だけまたは猫だけと暮らす場合と異なり、飼い主様は考えたり工夫したりすることが倍以上に増えてしまいます。なぜならば、犬や猫の気持ちになるだけではなく、犬も猫も、そして飼い主様のご家族も、みんなが揃って心地よく暮らせる環境を作り出すためには工夫をしなければならない点が多いからです。

 

そのためには、まず犬と猫の習性を知ることが必要です。それぞれの習性をよく理解した上で、犬と猫がお互いのストレスや問題になりやすい点を見つけ出し、上手に解決策を見つけましょう。犬も猫も飼い主様も、それぞれが快適に過ごせるようになれば、きっと今よりもっと楽しい生活になることでしょう。

 

今回は、犬と猫の両方を迎え入れる場合のリスクや犬と猫の習性の違いによる注意点、それぞれを迎え入れるタイミングによる違いをご紹介します。

 

考えられるリスクは?

喧嘩をする犬と猫

犬の場合は生後3〜16週齢頃まで、猫の場合は生後2〜9週齢頃までが社会化期と呼ばれる時期です。この時期は、母親やきょうだい達と一緒に暮らしながら、他の動物や人間との付き合い方を学ぶ時期です。そのため、それぞれ社会化期の子犬と子猫を同時に迎え入れる場合は、お互いをきょうだいのように認め合い、比較的上手くいくケースが多いようです。

 

しかしそうではない場合は、迎え入れた犬と猫の相性がどうしても合わずに、最後までうまくいかないケースもあり得ます。お互いをライバルや敵とみなしてケンカばかりしてしまうようなケースです。その場合、それぞれを別々の部屋で隔離してすみ分けさせなければならないようになる可能性もあります。

 

犬と猫を同時に迎え入れる場合や、既に犬または猫がいて新たに猫または犬を迎え入れる場合等があると思いますが、いずれの場合であっても最初にある程度のお試し期間を設けてお互いの相性を確認し、最終的な判断を下せるようなスケジュール感で迎え入れられると良いでしょう。

 

少なくとも双方が仲良くなるまでの間は、それぞれを隔離して暮らせるような環境を必ず用意するようにしましょう。

 

犬と猫の違いによる注意点

仲良く眠る犬と猫

<住環境のすみ分け>

犬と猫は、それぞれに自分の縄張りを意識して暮らしています。自分の縄張りを大切に守り、侵入してきたものを不審者とみなして警戒し、追い払おうとします。また縄張り内であっても、四方が囲まれている自分の体が丁度入る程度の狭くて薄暗い洞穴のような空間に入ることで、より安心することができるという共通点があります。

しかし犬は平面的な空間で、猫は立体的な空間で生活をする点が異なっています。つまり同じ室内であっても、犬は床を中心に、猫は床の他に棚の上やキャットタワーの上なども使用することで、うまくすみ分けられます。

犬には部屋の隅などにクレートを設置し、猫には棚の上にクッションを置いたりキャットタワーなどを設置したりすることで、それぞれに落ち着いて過ごせる場所を提供することができます。

 

<トイレの分離>

犬と猫は、それぞれ排泄に関する習性が異なっています。犬には平坦で広めのペットシートを専用のトイレとして使わせ、猫には猫砂を使用する猫専用のトイレを設置し、別々に使わせるようにしましょう。

トイレのしつけについては、犬の方が猫よりも時間がかかるかもしれません。根気よくしつけてください。

猫は比較的簡単にトイレを使うようになりますが、汚れているトイレは使いたがりません。排泄物はできるだけ速やかに片付けることが肝心です。

 

<混食を避けること>

犬は「食べられる時に食べられるだけ食べる」という食べ方をします。そのため、一度に過剰な量を給餌してしまうと食べすぎてしまうことが多いです。しかし猫は、自分で食べる量を調整し、少量ずつ何回かに分けて食べるという食べ方をします。そのため、犬と猫を一緒に飼う場合は給餌の仕方にも注意が必要です。

まず、犬と猫に必要な栄養素が異なるため、犬には犬専用のフードを、猫には猫専用のフードを食べさせるようにしてください。そのためには、食事をする場所や時間を切り離すことがおすすめです。

また同じ空間で生活している場合、猫の餌も食事時間が終わったらすぐに片付けるようにしましょう。そうしなければ、猫が食べ残した猫用のフードを犬が口にしてしまうことになるからです。

 

迎える時期による違い

並んで外を見る犬と猫

<犬と猫を同時に迎え入れる場合>

もっともうまくいきやすいのが、社会化期の子犬と子猫を同時に迎え入れるケースでしょう。ただし、初めてペットを飼われる方が子犬と子猫を同時に飼い始めるというのは、少しハードルが高いかもしれません。周りに協力してくれる経験者がいると心強いでしょう。

同時に迎え入れる場合でも、成犬と成猫のケースは最初の対面が鍵となります。最初にお互いに悪い印象を持ってしまうとそれがトラウマになり、どうしても仲良くなれないということもあり得るからです。

最初はお互いに気配を感じさせる、次にニオイを感じさせる、ケージ越しに姿を見せる、ケージから出して対面させるといったように、焦らずに少しずつ段階を経て慣らしていくようにしましょう。

 

<先住動物が犬の場合>

既に犬を飼っていて、そこに新しく猫を迎え入れる場合について考えてみましょう。犬は集団で生活をする習性があるため、新しく迎え入れた猫についても同じ群れの仲間として受け入れてくれる素養があると考えられます。

迎え入れる猫が子猫の場合は、さらに受け入れられやすいでしょう。特におっとりした性格の犬の場合は、その傾向が強いようです。ただし受け入れられる側の猫が神経質すぎると、いつまでも犬に対する警戒心が解けずにうまくいかない場合があります。

また、飼い主様が迎え入れた猫にばかり気を向けてしまうと、先住犬が嫉妬してしまいます。飼い主様は、とにかく先住犬への愛情に変わりがないということを示すことが大切です。

 

<先住動物が猫の場合>

最も難しいケースかもしれません。猫の基本は単独行動です。したがって、犬のように新しく迎え入れた犬を自分の群れの仲間だと認識することはありません。あくまでも縄張りに侵入してきた不法者として警戒します。

ただし、自分に対して危害を加えない、つまり敵ではないとわかれば、縄張りをうまく共有して暮らすことができます。

やはり、最初の対面でお互いにトラウマを抱えてしまうような出会いをさせないことが鍵になります。対面の段取りは前述の通りですが、先住動物が猫の場合はより細心の注意を払い、時間をかけてゆっくりと慣らしていくようにしてください。少しでも怪しい雰囲気になった場合は、前の段階に戻ってやり直しましょう。

また先住動物が犬の場合と同様に、飼い主様は先住猫への愛情が変わらないことを示すことが大切です。

 

ポイント

子猫を見る犬

ポイント

・犬と猫が最後まで仲良くなれないリスクを頭に入れて準備をしましょう

・犬と猫が仲良くなれるまでは、隔離して生活できる環境が必要です

・できるだけお試し期間を取れるような段取りが望ましいです

・犬と猫の習性を理解して、上手に同じ空間内ですみ分けができる環境を作りましょう

・犬と猫にはそれぞれに適した別々のトイレが必要です

・犬と猫がお互いの食事を口にしないに工夫しましょう

・犬と猫を受け入れるタイミングによって上手くいく率が異なります

・最初の対面が鍵となるため、焦らずに時間をかけて段階を踏んで慣らしていきましょう

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