飼い主様にも積極的に関わってほしい犬や猫との大切な遊び

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ワンちゃん猫ちゃん達には飼い主様との遊びが大切

こんにちは、横須賀市にある「つだ動物病院」院長の津田航です。

 

寒い毎日が続いていますが、元気にお過ごしでしょうか。寒い冬はついつい家に篭りがちになります。そんな中、愛犬や愛猫との遊び時間が短くなってしまってはいないでしょうか。

 

今回は、犬や猫にとって遊びがとても大切なものであること、そしてその遊びに飼い主様が積極的に関わることの重要性について等をお伝えしたいと思います。

 

ワンちゃん猫ちゃんにとっての遊びは学びの場

戯れ合う子犬たち

 

犬は縄文時代から、猫は弥生時代から私たち日本人と共に暮らしてきている、最も身近な伴侶動物です。子犬たちや子猫たちは、放っておいても兄弟同士などで戯れ合って遊んでいます。兄弟がいない場合も、お母さんのしっぽや風に揺れるカーテンに戯れついて、独りでも勝手に遊び始める遊びの天才だと言えるでしょう。

 

しかし、遊びは子犬や子猫時代だけのものではありません。子犬が成犬へ、子猫が成猫へ成長してからも、そしてシニア世代になってからも、ずっと必要なものなのです。

 

子供時代の遊びは、彼らにとってとても大切な学びの場です。仲間同士や飼い主様と一緒に遊びながら、どのくらいの力を出すと相手を傷つけてしまうのかとか、仲間同士のコミュニケーション方法、やって良いことと悪いことなどを学習していきます。成長した後も、遊びを通して犬や猫に本来備わっている能力を伸ばしていくための学びの場になります。

 

また、遊びを通して体を動かすことで、体に必要な筋肉量を維持し、バランス感覚を鍛えます。元々、犬や猫には狩りをベースとした運動欲求が備わっています。狩りをしなければ食物を得られませんでしたから、生きていくために必要な行動が狩りだったのです。特に猫はいまだに野生的な習性を色濃く残していますので、獲物のような動きをするものには敏感に反応し、捕まえようとします。犬も、品種改良の過程で強化されてきたそれぞれの得意分野の能力を発揮したくてたまらないのです。

 

こうした欲求を満たす行為が遊びなのです。つまり、学習の場であり健康な体を維持するためのものだけではなく、「欲求」というメンタル面の満足を得るためにも遊びは幾つになっても必要なものなのです。

 

ただし、独り遊びが得意なのは、犬も猫も子供時代だけです。成長するにつれ、独りで遊ぶことが少なくなっていきます。そこで、飼い主様が愛犬や愛猫と積極的に遊び、いろいろなことを学ばせ、かつストレスを発散させる必要があるのです。

 

一緒に遊ぶ時のルール

アイコンタクトする犬

 

愛犬や愛猫と一緒に遊ぶ時には、ただ遊ぶのではなく、ルールを決めておくことをおすすめします。いろいろなルールが考えられますが、最低限下記のルールは守るべきだと考えています。

 

1.おもちゃを使って遊ぶこと

高価なおもちゃである必要はありません。しかし、遊ぶ時は必ずおもちゃを介して遊ぶことを徹底しましょう。人の手足で遊ぶと、犬や猫は人の手や足を噛んでも構わないと学習してしまいます。タオルで遊ぶと、タオルは遊ぶものだと学習してしまいます。遊ぶときは、必ず専用のおもちゃで遊ぶことが大切です。

 

2.遊びの主導権は飼い主様が握ること

遊びを始めるのも終わらせるのも、飼い主様が主導権を握るようにしましょう。特に犬の場合は遊びを催促してくることが多いと思います。その場合は、何かその子の得意なこと(「お座り」とか「待て」等)をさせて、できたご褒美に遊ぶという形にすると良いでしょう。また、遊びを終わらせる時には、おもちゃが愛犬ではなく飼い主様の手元にある状態で終わらせるようにします。

 

3.興奮しすぎたら中断する

特に子犬に多いかもしれませんが、遊んでいて興奮しすぎてしまうことがあります。そうなったら、一旦遊びを中断してください。そして、愛犬や愛猫がクールダウンしたのを確認して、また遊びを再開します。そうすることで、彼らは「興奮しすぎるとつまらない(よくない)ことが起こる」と学習し、「落ち着いていい子にしていると楽しい(良いこと)が起こる」と学習します。

 

 

また、愛犬や愛猫と一緒に遊ぶ場合は、次のことに注意してあげましょう。

 

1.愛犬や愛猫が得意な遊び、好きな遊びをする

犬は、人と共同作業をすることに喜びを感じるため、遊びに誘うのは比較的簡単かもしれません。しかし、猫の場合はちょっと難しいかもしれません。いずれにしても、愛犬や愛猫が喜び楽しむことが大切です。そのためには、どういうことが得意なのか、どういう遊びが好きなのかを見極めてあげる必要があります。

猫の場合は、同じおもちゃでもその動かし方によってグッと食いついてきたり全く興味を示さなかったりしますので、蛇や鳥、ネズミといった獲物に見立てた動かし方をいろいろと工夫してあげましょう。

 

2.独りきりの時間にも遊べる工夫をする

飼い主様のご家族がお仕事や学校で家を留守にしている間、愛犬や愛猫は独りきりでお留守番をしていることでしょう。この時に何もすることがなくただボーッとさせておくと、彼らは「退屈」というストレスを溜め込んでしまいます。

彼らの留守番中には、独り遊びができるような工夫をしましょう。飼い主様の目が行き届かない状況になるため、頑丈で安全な知育トイを選び、その中に餌を隠しておく遊びがおすすめです。ただし、このおもちゃ用の餌の量も含めて1日の食事量を考えてください。

 

3.安全に遊べる注意を怠らないこと

愛犬や愛猫の遊びにおもちゃは必要なものですが、誤飲や誤食の事故の元にもなるため、飲み込めそうな大きさのおもちゃは人目がない時には出しておかない、独り遊び用のおもちゃは頑丈で安全なものを選ぶ、常におもちゃの状態を確認する等の注意は怠らないようにしましょう。

 

ライフステージに合わせた遊び方をしましょう

猫じゃらしで遊ぶ猫

 

愛犬や愛猫と一緒に遊ぶ時には、彼らのライフステージも考慮する必要があります。子供期、成熟期、シニア期で、それぞれ適した遊び方があるからです。

 

<子供期>

子犬や子猫の時には、とにかくいろいろなことを吸収し学習していく時期だということを意識して遊びましょう。いろいろな物に触れさせ、いろいろな遊びを経験させましょう。

 

その際に、やっていいことといけないことを教えることを忘れてはいけません。この時期に手や足で遊ぶことを覚えてしまうと、成長してから噛み癖などの問題行動に発展してしまいますので注意が必要です。

 

<成熟期>

子供時代は犬も猫も独り遊びができますが、成長すると飼い主様が遊びの鍵を握ることになります。昼間しっかりと遊んで運動をさせてほどよく疲れさせることで、愛犬も愛猫も夜にゆっくりと休んでくれますし、ストレスを溜めて問題行動を起こすリスクも低くなります。また、ただ体を使うだけの遊びではなく、宝探しのような頭や嗅覚などを使う遊びも取り入れることをおすすめします。

犬の場合は、定期的にドッグランなどで思いっきり遊ばせたり、アジリティに挑戦したりするのも良いでしょう。

 

<シニア期>

犬も猫も、歳を取ると体に不調が出てきます。慢性疾患や関節炎などにかかると、なかなか動きたがらなくなります。しかし、「年だから仕方ない」とそのままにしてしまうと、認知症のリスクが高まります。愛犬や愛猫の体に負担がかからない程度の運動量で構いませんので、それまで好んでいた遊びを続けてあげましょう。手を伸ばしてボールを取ろうとする、猫じゃらしが動くのを目で追うといったことでも構いませんので、何がしかの反応を返すような刺激を与えてあげましょう。

 

心身の健康を維持するためにしっかりと遊びましょう

ジャンプする犬

 

人間の場合は、運動や趣味などのさまざまな娯楽でストレスを発散することができますが、犬や猫にとってのストレス発散方法は運動、つまり遊びしかありません。遊びは唯一のストレス発散方法であり、学びの場であり、体を作り、彼らの能力を磨く場です。

 

飼い主様が愛犬・愛猫との遊びに積極的に関わることで、彼らの心身ともに健康な暮らしを守ると同時に、お互いの間に強い絆を結んでください。

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