【獣医師監修】犬の冬の快適な室内環境とは?換気と温度管理の重要性
こんにちは、横須賀市にある「つだ動物病院」院長の津田航です。
寒い冬、愛犬が快適に過ごせる室内環境を整えることは、健康を維持するうえでとても大切です。寒さによる関節炎の悪化や免疫力の低下を防ぐだけでなく、暖房器具の使い方によっては乾燥や換気不足といった新たなトラブルからも愛犬を守ることができます。
今回は、犬が冬を快適に過ごすための室温管理と換気のポイントを中心に解説します。
冬場の室内で犬が快適に過ごせる温度の目安
犬は人間と同様、寒さや暑さの感じ方が個体によって異なります。
・一般的な目安:18~22℃
・小型犬(チワワやトイプードルなど)や短毛種(イタリアン・グレーハウンドやパグなど):20~24℃
・大型犬(スタンダードプードルやバーニーズ・マウンテン・ドッグ)や寒冷地原産の犬種(シベリアンハスキー、サモエドなど):18℃程度
また、子犬や高齢犬は寒さに負けやすい傾向があります。室温を少し高めに設定し、温かい寝床やブランケットを用意してあげると安心です。逆に、長毛種(ゴールデン・レトリバーやポメラニアンなど)や寒冷地原産の犬種は暑がりなことがあるため、暖房の効き過ぎには十分注意しましょう。
冬に多く起こる事故についてはこちらをご覧ください
室内の換気が重要な理由
冬は窓を閉め切ることが多く、部屋の中の空気が滞りやすくなります。適切に換気を行うことで、ホコリやダニの蓄積やウイルスや細菌の滞留、結露によるカビの発生などを予防でき、アレルギーや感染症のリスクを下げられます。
犬のアレルギーについてはこちらをご覧ください
〈換気のタイミングと方法〉
換気は1日1回以上、日中の暖かい時間帯(10時〜14時頃)に行うのがおすすめです。窓を対角線上に開けて空気を効率よく入れ替えたり、キッチンや浴室の換気扇を活用しましょう。
寒さ対策として、換気中は犬を風が直接当たらない場所へ移動させると安心です。事前に、短時間で部屋を暖められる暖房器具を準備しておき、換気後は素早く室温を調整しましょう。
暖房器具の選び方と気をつけたいポイント
愛犬が心地よく過ごせるよう、暖房器具は以下の特徴を参考に選びましょう。また、どの暖房器具を使う場合でも「乾燥しすぎ」に注意し、湿度50〜60%程度を保つことを心がけましょう。
・エアコン
比較的短時間で部屋を暖められ、室温を一定に保ちやすい一方で、空気が乾燥しやすい欠点があります。加湿器や濡れタオルを併用して湿度を保つよう心がけましょう。
・オイルヒーター
温風が出ないため乾燥が比較的少なく、部屋全体をやさしく暖められます。
・セラミックヒーター
小型で場所を取らず、スポット的に暖めるのに適しています。
・床暖房
足元からじんわりと暖められ、犬にとって快適なことが多いです。ただし温度が高すぎると犬の体に負担がかかるため、20〜25℃程度に設定するのが理想的です。
・ホットカーペット
直接当たると低温やけどのリスクがあるため、毛布やマットを敷くなどして対策をしましょう。
心配な症状がある場合は動物病院へ相談を
冬場は免疫力が下がりやすく、ウイルス性感染症も流行しやすい時期です。下記のような症状がある場合、早めに動物病院へ相談しましょう。
〈こんなサインが出たら要注意〉
・小刻みに震える、耳や足先が冷たい
・動きが鈍くなり、元気がなくなる
・皮膚のかゆみや赤み、くしゃみ、目やに
〈受診をおすすめする症状〉
・食欲不振や元気消失が続く
・嘔吐や下痢、鼻水、咳などの呼吸症状がある
・皮膚炎や脱毛が進行している
早期に治療・対処を行うことで、重症化を防ぐことができます。また、定期的な健康診断や予防接種、室内の清掃、寝具(ベッドや毛布)のこまめな交換など、日頃のケアも欠かさず行いましょう。
まとめ
・冬場の換気は1日最低1回以上、日中の暖かい時間帯に行いましょう。
・換気中は愛犬を風の当たらない場所に移動し、換気後は暖房器具で室温が下がりすぎないよう調整しましょう。
・室温は18〜22℃、湿度は50〜60%を目安に設定しましょう。
・暖房器具はタイプごとの特徴を理解し、乾燥対策や低温やけど防止の工夫をしましょう。
・食欲不振や嘔吐、下痢などの体調不良が続く場合は、早めに動物病院へご相談ください。
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