あなたは賛成?それとも反対?犬猫の洋服

ペットの健康としつけ

犬猫の洋服って必要?

洋服を着た猫のお花見

 

こんにちは、横須賀市にある「つだ動物病院」院長の津田航です。

 

最近は洋服を着たワンちゃんのお散歩をよく見かけるようになりました。SNSやテレビなどでは、洋服を着たワンちゃんや猫ちゃんの映像も溢れています。中にはコスプレのような格好をしている場合もあり、「本当に必要なのだろうか?」と疑問に思うこともあります。

 

全身を覆う毛を失ってしまった人とは異なり、被毛を失っていないワンちゃんや猫ちゃんたちにとって、洋服は必ずしも必要なものではありません。ただし、ワンちゃんや猫ちゃんたちの暮らしの中では、洋服が彼らの身を守る場合もあるため、洋服を100%否定するものではありません。

 

今回は、ワンちゃんや猫ちゃんに洋服を着せることで得られるメリットや、着せる際に注意すべきポイントをお話ししたいと思います。

 

犬猫に洋服が必要な場合

レインコートを着て散歩する犬

 

日本は高温多湿の夏と雪が降るほど寒い冬といったメリハリのある季節が訪れる国です。暑い国原産の品種や寒い国原産の品種は、日本の冬や夏の暮らしがとてもつらいことでしょう。日本原産の品種だったとしても、最近の異常気象は同じようにつらいでしょう。そんなワンちゃんや猫ちゃんたちの体温調整に役立つ洋服があります。綿やフリースなどの素材で作った防寒着や、接触冷感素材で作ったクール着などです。

 

また、雨の日にお散歩をさせるためのレインコートや、手術後の傷口を舐めたり噛んだりさせないための術後服、おでかけや寝たきりなどで長時間マナーパンツを履かなければならない場合にマナーパンツのズレを防ぐための服などもあります。さらにはアトピーを持っている子たちをアレルゲンから守るためとか、公共の場に連れていく際に抜け毛の飛散を防止するために洋服を着せる場合もあります。

 

こういった、飼い主様側の要望(映える写真を撮りたい、おしゃれさせたい等)ではなく、ワンちゃんや猫ちゃんの健康や人間社会で暮らすためのマナーを守るために、洋服が必要な場合もあるのです。

 

強いストレスになるケース

ハロウィンのコスプレをした猫

 

もちろん、どんなに正当な理由があっても、洋服のデザインや素材によってはワンちゃんや猫ちゃんに大きなストレスを与えてしまうことがあります。具体例を挙げると、下記になります。

 

・サイズが合っていない(小さすぎる、ぶかぶか等)

・着心地が悪い(硬い素材やデザインで動きづらい、肌触りが悪い等)

・過剰な装飾品が付いている(ボタンやリボンを食いちぎって誤飲する可能性がある)

・長時間同じ服を着せっぱなしにしている(不衛生、熱中症などのリスクがある)

・華美なデザインや着ぐるみのようなコスプレ衣装を着せて長時間撮影している

 

上記のような場合、着せている目的が適切であってもワンちゃんや猫ちゃんの動きを制約したり皮膚に刺激を与たり暑くなりすぎたりといった、マイナスの影響を与えかねません。また撮影目的であれば、本来は必要のない洋服を着せて拘束していることになり、ワンちゃんや猫ちゃんには強いストレスになっていると考えられます。

 

私たち人間にとって、洋服は健康維持のためになくてはならない必需品です。それに加え、ファッションを楽しむといった娯楽やエンターテインメントの要素も多分に含まれます。そのため、洋服を選んだり着せたりする目的として、つい人間の目線で考えてしまうかもしれません。しかしいくら家族の一員であっても、ワンちゃんや猫ちゃんは人間ではないということを忘れてはいけません。

 

洋服を着せる際の注意点

エリザベスカラーをした猫

 

ワンちゃんや猫ちゃんの「健康や生活の質(QOL)を向上させるために必要な場合」に限定して洋服を着せるためには、かかりつけの動物病院で洋服を着せるべきかどうかを相談しましょう。その上で洋服を選んだり着せたりする場合に注意していただきたい点を下記に挙げますので、参考になさってください。

 

・無理やり着せず、少しずつ慣れさせること

・ワンちゃんや猫ちゃんがどうしても嫌がる場合は無理をさせないこと

・ワンちゃんや猫ちゃんの成長(サイズ)に合わせた服を選ぶこと

・見た目を優先せず、安全で着心地の良い生地やデザインの服を選ぶこと

・おもちゃになりそうな細かい装飾品が付いていない服を選ぶこと

・洋服はこまめに洗濯すること

・洋服のほつれなどは必要に応じて繕うこと

・必要以上に長く着せないこと

 

最初のうちは服を気にして舐めたり噛んだり、時には暴れたりする子もいます。ごく短時間から始め、我慢ができたらご褒美をあげるという方法で少しずつ慣れさせていけば、大抵の子は洋服に慣れてくれるでしょう。ただしどうしても嫌がる子もいますので、その場合は代替えの方法を考えることも大切です。

 

例えば手術後に傷口を舐めたり噛んだりさせないために術後服を着せますが、どうしても服の上から噛んでしまうといったような場合は、エリザベスカラーを首に巻くという方法もあります。かかりつけの獣医師とよく相談し、できるだけワンちゃんや猫ちゃんのストレスを抑えられる方法を選んであげましょう。

 

ポイント

術後服を着た犬

 

・本来、犬や猫に洋服は必要ありません

・防寒やアレルゲン対策、雨天の散歩といった健康やQOLのために洋服を着せることがあります

・外出時のマナーとして抜け毛の飛散防止策に洋服を着せることがあります

・愛犬愛猫に洋服を着せることの良し悪しは、かかりつけの動物病院と相談して決めましょう

・着せる洋服は、愛犬愛猫のストレスにならないものを選びましょう

・最初は嫌がりますので、少しずつ練習しながら慣らしていきましょう

・どうしても洋服を嫌がる場合は、代替え策を検討しましょう

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