猫の変形性関節症について┃1歳以上の猫の約74%が罹患している!?
こんにちは、横須賀市にある「つだ動物病院」院長の津田航です。
変形性関節症とは、関節軟骨の異常により膝や肘、足先などの関節に痛みが生じる病気です。人間と同様に、加齢に伴って発症率が高くなります。動物用医薬品の製薬会社であるゾエティス・ジャパン株式会社の調査によると、1歳以上の猫の約74%が変形性関節症の疑いがあると言われています。
今回は、猫の変形性関節症の原因や症状、診断、治療方法などを詳しく解説します。
目次
症状
初期には軽度の跛行（歩様異常）や活動量の減少が見られることがあります。進行すると、痛みが強まり、行動の変化（高い場所へ登れなくなる、ジャンプできなくなる）、寝ている時間が増える、抱っこを嫌がる、痛みを感じている仕草などが見られます。
飼い主様は加齢が原因で動かなくなったと考えがちですが、実際には変形性関節症の痛みが原因で動けなくなるケースが多いです。12歳以上の猫の90％が変形性関節症を患っているというデータもあるため、シニア猫と暮らしている方は特に注意が必要です。
ゾエティス・ジャパン株式会社による変形性関節症の調査の詳細についてはこちらをご覧ください
原因
変形性関節症の原因は多岐に渡りますが、正常な関節に様々なリスク因子が関与して発症する「原発性の変形性関節症」と、骨折や脱臼など外的な刺激が加わったことによって発症する「二次性の変形性関節症」に分けられます。
〈原発性〉
・加齢による自然な変化
・遺伝的要因
〈二次性〉
・骨折や脱臼などの外的な刺激
・肥満による関節への負担
これらのリスク因子や要因が互いに影響し合って発症するため、正確に原因を特定することは難しいことが多いです。
診断方法
変形性関節症の診断には、主に以下の検査を行います。
・身体検査
問診と触診によって痛みを感じている場所や怪我の有無を確認します。
・レントゲン検査
関節の腫れや炎症、骨折や脱臼の有無を確認します。
・血液検査
炎症マーカーや抗核抗体を評価し、他の関節炎との鑑別診断を行います。
・関節液検査
関節液を回収して細菌培養検査や顕微鏡検査を行います。
必要に応じて、CT・MRI検査といった高度画像検査を行う場合もあります。
治療方法
変形性関節症を完治させることは難しいため、治療の目的は関節の痛みを和らげることです。主な治療法は以下の通りです。
・投薬療法：鎮痛剤、消炎剤など
・栄養補助食品：グルコサミン、コンドロイチンなど
・理学療法とリハビリテーション：関節を支える筋肉量を増やし、関節の負担を軽減
・体重管理
・生活環境改善：ベッドや食器の位置を低くする、フローリングに滑り止め用のカーペットを敷くなど
・外科的治療：重度の場合
特に、猫の変形性関節症の治療ではソレンシアという猫の変形性関節炎の治療に特化した新薬が効果的です。当院でも積極的に処方を行っていますので、愛猫の膝の痛みにお悩みの方は積極的にご相談ください。
ソレンシアの効果効能などの詳細については公式HPをご覧ください
また、猫の痛みのサインは日常の些細な行動の変化に現れることがあります。ゾエティス・ジャパン株式会社のHPで愛猫の状態がチェックできますので、ご活用をお勧めします。
予防法
変形性関節症を完全に予防する方法はありませんが、以下の対策で発症を遅らせたり早期発見・早期治療を行うことができます。
・肥満に注意して理想体重を維持する
・栄養バランスの取れた食事を心がける
・定期的に健康診断を受ける
予後
変形性関節症は薬で痛みをコントロールすることでQOLを維持しながら寿命を全うすることができます。
関節の痛みは放置すると悪化してQOLを大きく損なうため、早い段階で治療を開始し、継続することが重要です。
まとめ
・1歳以上の猫の約74%が変形性関節症の疑いがあると言われています。
・関節軟骨の異常により、膝や肘、足先などの関節に痛みが生じます。
・初期症状は軽度の跛行や活動量の減少ですが、進行すると痛みが強まり行動の変化が見られます。
・治療は鎮痛剤やサプリメント、体重管理などで関節の痛みを和らげることが重要です。
・投薬治療では、ソレンシアという猫の変形性関節炎の治療に特化した新薬が効果的です。
横須賀・三浦・逗子・葉山エリアを中心に診療する動物病院
つだ動物病院
〈参考文献〉
https://www.zoetis.jp/species/cats/oapain/solensia/po/
046-830-5510