完全室内飼いの愛猫にたくさんの刺激を!

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猫に必要な環境と遊び

室内で寛ぐ猫

 

こんにちは、横須賀市にある「つだ動物病院」院長の津田航です。

 

今や都市部では、猫の完全室内飼いが定着してきています。しかし、自由に外に出られる方が、猫にとってより猫らしい幸せな生き方なのではないかと考える方もおられるようです。

 

猫の完全室内飼いには、メリットもデメリットもあります。

 

<メリット>

・病気をもらわない

・事故に遭わない

・他所の猫と喧嘩をしない

・迷子で帰って来なくなることがない

・最適な環境で過ごせる

 

<デメリット>

・刺激が少ない

 

メリットとデメリットを比較した結果、より多いメリットを取り、完全室内飼いを選択するようになったのです。

 

単独で自分の縄張りを守りながら生活するのが猫です。それでも、猫たちにも社会性はあります。だからこそ、人や他の動物とも一緒に暮らしていけるのです。しかし、猫の社会性は人間や犬の社会性と比べると、かなり異なっています。例えば、猫は他者と協力しながら何かをしたいという欲求は持っていないように見えます。

 

とはいっても、誰とも会わず日がな一日ひとりで過ごしていたのでは、あまりの刺激のなさに無気力になったり脳の機能が衰えて認知症になりやすくなったりすることでしょう。

 

だからこそ、「刺激が少ない」という完全室内飼いのデメリットはご家族が補わなければなりません。そのための対策として重要なのが、環境の整備と遊びです。今回は、特に遊びに焦点を当ててご紹介します。

 

以前も猫との遊び方についてブログでご紹介していますので、よろしければこちらもご一読ください。

 

<上手な猫との遊び方>へのリンク

 

<飼い主様にも積極的に関わってほしい犬や猫との大切な遊び>へのリンク

 

狩りの欲求を満たす遊び

獲物を捕まえようとする猫

 

お留守番の多い猫には、窓から外を眺められる環境を提供してあげることが効果的な刺激になります。風に揺れる木の枝、ベランダの手摺に止まる鳥、家の前を通る人や車、窓の外を飛んでいく蝶など、猫にとって直接触れることのできない自然の刺激を、窓を通して得ることができるからです。いわば、窓は猫にとっての映画やテレビといったところでしょうか。

 

しかし、それだけでは物足りません。私達人間も、1日中テレビを眺めていれば、それで十分かといったら違いますよね。それと同じです。猫にとって最も強い欲求は「狩り」です。自分でエサを捕まえる必要のないイエネコも、本能の中に「狩りをしたい」という欲求が残っているのです。

 

まず猫は、ニオイや音、素早く動く姿などで獲物の存在に気付きます。音を立てずにそっと忍び寄り、草むらなどに身を隠して獲物が出てくるのを待ち伏せします。そして、ここぞというタイミングを見計らって獲物に襲いかかり、爪で引っ掻き、2本の前足で獲物の体をしっかりと抱え込みます。そして、最終的に相手の喉元に噛み付いて息の根を止めるのです。

 

猫にとって、外を眺められる窓の他に必要なのは、「狩りの欲求」を満たせる遊びです。これは、おもちゃを使って実際に猫ちゃんと遊ぶことでしか満たしてあげられません。

 

レーザーポインターや猫じゃらし、釣り竿式のおもちゃなどを使って、猫ちゃんに獲物の存在を気付かせ、おもちゃに惹きつけます。そしておもちゃを上手に動かして、猫ちゃんに追いかけさせます。捕まりそうでなかなか捕まらないようにしながら焦らすだけ焦らして、最後は捕まってあげましょう。

 

ポイントは、おもちゃを獲物のように動かすことです。ネズミや蛇、鳥、昆虫などを想定して、その動きを再現しましょう。レーザーポインターを使う時は、猫ちゃんが捕まえられないため、途中からけりぐるみなどを与えて、成功体験をさせてあげてください。捕まえられないまま終わらせてしまうのは、猫ちゃんの欲求不満のもととなります。

 

狩りですから、遊ぶタイミングは食事の前が最適です。猫は優れた瞬発力を持っていますが、持久力はあまりありません。そのため、狩りの遊びは猫ちゃんの様子を見ながら、切り上げましょう。15分程度で十分な場合が多いようです。そして、狩りに成功した満足感の後に食事を与えましょう。

 

猫ちゃんが活発な子猫でご家族にお子さんがいらっしゃる場合、逃げるお子さんを子猫が追いかけるという「鬼ごっこ」で遊ぶこともあるのではないでしょうか。また、投げたボールを追いかけさせるのも良いでしょう。これらも狩りの一部を取り出した遊びになります。

 

また、物陰に隠れたご家族が隠れたまま声をかけて猫ちゃんに探させる「かくれんぼ」や、物陰に隠れたご家族がそっと顔を出してすぐに引っ込めるというのを繰り返す「だるまさんが転んだ」などで遊ぶこともあるでしょう。これらも、獲物を探したり、狙いをつけた獲物に悟られないように忍び寄ったりといった狩りのシーンを切り出した遊びになります。

 

脳に刺激を与える遊び

鼻タッチ

 

最近は、テレビやSNSなどで、動物園の飼育員さんが動物たちにトレーニングをしている様子の動画を見ることができます。その中でもよくあるのが、タッチトレーニングといって、棒の先につけたボールに鼻先をタッチさせたり、握らせたりするトレーニングです。このトレーニングにより、動物たちをストレスなく誘導したり、血圧測定したりできるようにするのです。

 

このタッチトレーニングは、猫ちゃんにも応用できます。ご家族が猫ちゃんの顔の近くに指先を出し、鼻タッチをしたら「タッチ」と声をかけてご褒美をあげます。次第に、「タッチ」と声を掛けると少し離れた指先にも鼻タッチをするようになり、何回も繰り返すとご褒美がなくてもするようになります。これを応用することで、猫ちゃんを上手に目的の場所に誘導できるようになるでしょう。

 

同じように、猫ちゃんにもワンちゃんのように「オスワリ」、「オテ」、「ハイタッチ」などを教えることもできます。また、やはりワンちゃんのノーズワークのように、猫ちゃんにも隠したおやつを探させる「宝探し」をして遊ばせることもできます。こういった遊びも、猫ちゃんにとっては脳を活性化させる刺激の一つです。

 

気軽にお手製知育玩具

手作りおもちゃで遊ぶ猫

 

ペットショップなどに行くと、犬や猫用の知育玩具が市販されています。中におやつなどを隠して、犬や猫に頭を使わせて中のおやつを取り出して食べさせるというおもちゃです。それなりの金額がしますし、せっかく買っても猫ちゃんが遊んでくれないのではないかと思い、なかなか手が出ないという方も多いかもしれません。

 

実はちょっとした工夫次第で、家の中にあるものを使ってお手製の知育玩具を作れるのです。お金もかかりませんし、壊れたらすぐに捨てられます。また、猫ちゃんは次第にレベルアップしていくため、その都度次の難易度のおもちゃを与えていく必要があり、お手製のおもちゃは気軽でよいのではないでしょうか。

 

工作を厭わないという方には、ぜひおすすめしたいと思います。知育玩具づくりで、猫ちゃんとの知恵比べにチャレンジしてみてください。

 

<トイレットペーパーやキッチンペーパーの芯を利用した知育玩具>

トイレットペーパーやキッチンペーパーの芯の中におやつをいれ、猫ちゃんに前足や鼻先で転がさせることで、中から出てきたおやつを食べさせます。すぐに取り出せるようになったら、筒を閉じておやつが出るくらいの小さな穴を開け、そこからおやつが出てくるようにするなどといった工夫もできます。

 

<空き箱を利用した知育玩具>

蓋のついている紙の箱を利用して作ります。

箱の蓋の部分に穴を開けます。穴の数はいくつでも良いです。猫ちゃんの前足や顔、舌などが入るくらいの大きさの穴を開け、箱の中にフードを入れます。

穴から前足を入れたり舌を入れたりしながら、猫ちゃんが工夫しながらおやつを食べられるようにしましょう。

穴の大きさや数により、難易度を調整できます。

 

<ペットボトルを利用した知育玩具>

ペットボトルの中央などに、おやつが通る位の小さな穴を空け、中におやつをいれて蓋をします。猫ちゃんがペットボトルを転がしながら穴からおやつを出して、食べられるようにします。

ペットボトルをそのまま渡したり、吊るしたり、棒を通して回転するようにしたりと、渡し方によってもおやつの取り出し方が変わるため、猫ちゃんには良い脳トレになるでしょう。

 

ポイント

おもちゃにとどめを刺す猫

 

ポイント

・猫の完全室内飼いはメリットが多く、おすすめの飼い方です。

・猫の完全室内飼いのデメリットである刺激の少なさは、ご家族の工夫で解消できます。

・留守番中の猫ちゃんには、窓から外の景色を見られるようにしてあげましょう。

・1日15分程度、猫ちゃんと一緒に狩りの欲求を満たす遊びをしてあげましょう。

・猫ちゃんにもトレーニングは可能です。

・猫ちゃんの宝探しのための知育玩具は、家にある物で手作りできます。

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