歯石の危険性と予防法について┃全身の健康に影響を与える!?

ペットの健康としつけ

こんにちは、横須賀市にある「つだ動物病院」院長の津田航です。

 

愛犬の健康を守るために、体調や食事、運動に気を配っている飼い主様も多いですが、歯の健康についてはいかがでしょうか?犬の口腔内トラブルとして特に注意すべきは、歯石です。歯石はただの汚れではなく、歯周病や口臭、痛みを引き起こし、さらには心臓、腎臓、肝臓などの内臓にも悪影響を及ぼす可能性があります。

 

今回は、愛犬の歯石の形成過程や予防法、そして専門的なケアの重要性について詳しく解説します。

犬の歯石とは?その形成過程と危険性

歯石は、歯垢が硬化して固まったものです。歯垢とは、食べ物の残りかすや細菌が歯の表面に付着したもので、放置すると唾液中のカルシウムと結びついて石灰化し、硬い歯石になります。また歯石は、歯にしっかりと付着し、ご家庭でのケアでは取り除けなくなります
歯石が引き起こす主な問題は以下の通りです。

 

歯周病
歯石は細菌の温床となり、歯茎を侵食し炎症を引き起こします。進行すると歯が抜け落ちたり、炎症が全身に波及して腎臓や心臓にも悪影響を及ぼします
歯周病についてはこちらをご覧ください

 

口臭
歯石の細菌繁殖によって強い口臭が発生します。

 

摂食困難
歯周病が進行すると歯がぐらつき、痛みのために食事を摂りにくくなります。食べ物から十分な栄養を摂取することができなくなるため、免疫が低下したり筋肉量が落ちたりと様々な悪影響が生じます。

 

このように、歯石は単なる口腔トラブルにとどまらず、全身の健康に影響を与えるため、日々のケアや早期の治療が必要になります。

歯石のサイン:愛犬のお口チェックポイント

愛犬に歯垢や歯石が蓄積していないか、歯肉炎や歯周病になっていないか、飼い主様が愛犬の口の中を日常的にチェックすることが大切です。
以下のポイントを参考に、愛犬のお口の状態を観察してみましょう。

 

歯に茶色や黄色の汚れがないか
口臭が強くないか
歯茎が赤く腫れていないか、出血していないか
歯がぐらついていないか

 

これらのサインがあれば、すぐに動物病院を受診してください。

獣医師が教える!犬の歯石予防法

1. 歯磨きの方法と頻度

歯石予防に最も効果的な方法は、毎日の歯磨きです。歯磨きを習慣化するためには、以下のポイントを参考にしましょう。

 

・ステップ1:慣れさせる
犬の口の周りを触る練習から始めましょう。まずは指で口の周りを触ります。少しずつ慣れてきたら、犬用の歯ブラシを使い始めます。

 

・ステップ2:歯磨き粉を使用
犬用の歯磨き粉を歯ブラシに少量つけ、犬がそれを舐めることで味に慣れさせましょう。人間用の歯磨き粉は有害な成分が含まれているため、必ず犬専用のものを使いましょう。

 

・ステップ3:歯と歯茎の境目を丁寧に磨く
歯石が溜まりやすい場所は、歯と歯茎の境目、特に奥歯です。ここを中心に優しく丁寧に磨いていきます。無理に磨こうとせず、短い時間で少しずつ慣れさせていくのがポイントです。

 

2.歯ブラシの選び方

犬用の歯ブラシは、ヘッドが小さく、毛先が柔らかいものが適しています。特に歯磨きに慣れていない犬には、指サック型の歯ブラシもおすすめです。

 

3.デンタルケア用のおもちゃやガム

歯磨きだけではなく、デンタルケア用のおもちゃやガムも歯石予防に効果的です。これらは、噛むことで自然に歯垢を取り除くことができるため、犬が楽しみながらデンタルケアを行えるのが特徴です。

 

デンタルケア用おもちゃ
おもちゃにはゴム製やナイロン製のものがあり、特に凹凸があるおもちゃは歯の隙間に入り込みやすく、歯石予防に効果的です。また、噛むことで歯茎を刺激し、血行を良くする効果も期待できます。

 

ただし、おもちゃだけでは完全な歯石予防は難しいので、歯磨きの補助として使用しましょう。

 

デンタルガム
噛むことで歯垢の形成を防ぎます。市販されているガムには、歯を強くする成分が含まれているものもあり、犬の歯の健康をサポートします。
ただし、カロリーの高いものがあるので与えすぎには注意が必要です。

歯石除去:プロフェッショナルケアの必要性

歯石がすでに蓄積してしまった場合、動物病院での専門的な除去が必要です。これは、スケーリングという器具で歯石を削り取る処置で、ご家庭では難しい歯茎下の歯石も取り除きます。また、歯石を除去した後は、歯の表面を滑らかにし、再び歯垢がつきにくくするための研磨処置も行います

 

なお、歯石除去は、通常全身麻酔下で行われます。

 

無麻酔歯石取りのリスク
無麻酔の場合、表面に付着した歯石しか取り除けず、歯茎の下に隠れた歯石を除去することができません。これにより、歯周病が進行しやすく、根本的な解決にはなりません。

 

また、犬にとって無麻酔での処置は大きなストレスになり、動くことで口腔内を傷つけるリスクが高まります。そのため、獣医師は無麻酔での歯石取りではなく、麻酔下での確実な処置を推奨しています。

定期的な歯科検診の重要性

定期的な歯科検診は、日常的なケアだけでは見つけにくい問題や、歯石が蓄積している場合でも、獣医師がチェックすることで早期に対処できます。特に、歯周病の進行や隠れた口腔内の問題は、飼い主様が自宅で気づきにくいことがあるので、定期的に検診を受けることで愛犬の口腔内トラブルを未然に防ぐことができます。

 

また、全身麻酔をかける前の検査で、愛犬の全身の健康状態を確認する機会にもなります。

まとめ:愛犬の健康な笑顔のために

・歯石は歯垢が硬化して形成され、歯周病や口臭、摂食困難の原因になるため、予防が非常に重要です。
・定期的な歯磨きが最も効果的な予防法であり、専用の歯ブラシと歯磨き粉を使用しましょう。
・デンタルケア用のおもちゃやガムは、歯磨きの補助として役立ちますが、定期的なケアとの併用が効果的です。
・歯石がすでに蓄積した場合、獣医師による麻酔下での除去が必要です。
・定期的な歯科検診を受けることで、早期に問題を発見し、愛犬の全身の健康を守ることができます。

 

横須賀・三浦・逗子・葉山エリアを中心に診療する動物病院
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