フィラリアの薬はどのタイプ?

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フィラリアはきちんと予防すれば怖くありません

こんにちは、横須賀市にある「つだ動物病院」院長の津田航です。

 

以前ブログで、フィラリア症は、感染してしまうと治療がとても難しく、命に関わる場合もある怖い病気だけれども、しっかりと予防を怠らずに行えば怖くないというお話をさせて頂きました。

 

横須賀地区におけるフィラリアの予防は、4月末から12月末の期間中で、継続的にしっかりと投薬を続けることにより予防することが大切です。
しっかり予防すれば怖くない、犬や猫のフィラリア予防へのリンク

 

そこで今回は、当院で取り扱っているフィラリア薬のタイプとその特徴についてご紹介します。

 

タイプ別の特徴

当院では、4つのタイプの薬を取り扱っています。

 

1.錠剤
最も基本的なタイプの薬です。
チュアブルタイプと異なり、ワンちゃんの大好きな食べ物に包んで飲ませられるので、食物アレルギーがあるとか、おやつを食べないといったワンちゃんに対しても飲ませやすいタイプの薬です。
ただし、薬効はフィラリアのみです。
フィラリアの予防期間中、必ず月に1回の継続的な投与が必要です。

 

2.チュアブル
お肉タイプの薬なので、わざわざ食物に包まなくても薬だけでワンちゃんに美味しく飲んでもらえる薬です。特に食物アレルギーもないし、お腹も弱くない、おやつも食べるというワンちゃんには、飲ませやすい薬です。
薬効も、フィラリア予防だけではなく、ノミ・ダニやお腹の中の寄生虫駆除にも効果がある、オールインワンタイプの薬です
この薬も、フィラリアの予防期間中、必ず月に1回の継続的な投与が必要です。

 

3.注射
1回の注射でフィラリアの予防効果が1年間継続します。
毎年1回の注射で済みますので、経口タイプの薬のように「毎月投与」の必要がないことと、1月〜3月という比較的混雑の少ない時期にご来院いただけるというメリットがあります。
予防のための注射ですが、ワクチンではなく薬なので、投与量は体重から算出する必要があります。そのため、1年間の体重変化が著しい成長期の子犬には使用できません。

 

4.スポット(滴下式)
背中に滴下するタイプなので、薬を飲ませるのが難しい子にも確実に投薬できるので、ネコちゃんにおすすめの薬です。2010年には、西宮市の室内飼育の猫でフィラリア感染例が報告されています。猫の突然死の理由の多くがフィラリアだとも言われていますので、猫へのフィラリア予防も大切です。
デメリットとしては、薬剤が全身に行き渡り、乾燥するまでの間は触れ合うことができません。また、まれに薬剤で肌荒れを起こす場合もあるので注意が必要です。
フィラリア予防の他に、ノミ・ダニやお腹の寄生虫駆除にも効果があります。
このタイプの薬も、フィラリア予防の期間中、継続的に毎月1回の投与が必要です。

 

フィラリイア抗原検査

毎年のフィラリア予防を始める前に、ぜひ受けていただきたい検査があります。それは、フィラリア抗原検査です。

 

フィラリアに感染している状態でフィラリアの予防薬を投与するのは、とても危険なのです。そのため、前年の予防がきちんと成功して、愛犬がフィラリアに感染していないことを確認するための検査です。

 

通常お腹に寄生する虫は、駆虫薬を投与したことで死に、便と一緒に排泄されて体外に出されてしまいます。しかし、フィラリアが寄生する場所は心臓の右心室の中です。そのため、駆虫薬で死んでしまったフィラリアは、心臓からは出るものの、肺に入り込んでしまいます。そして、咳、呼吸不全、喀血などの呼吸器障害を起こしてしまうのです。

 

そのため、フィラリア抗原検査でフィラリアに感染していることが分かった場合には、フィラリアの予防・駆虫薬ではなく、別の処方が必要となるのです。

 

またこのことからも、フィラリアは感染後の対策ではなく、とにかくしっかりと予防することが大切なのだと分かっていただけたらと思います。

 

お薬の選択基準は薬のタイプだけではありません

薬のタイプにはいろいろあり、投薬のしやすさなどに特徴があることをご紹介しました。その中に、薬効がフィラリアに限定的か、ノミ・ダニやお腹の寄生虫にも効果があるかということにも触れました。

 

当然、薬効が多いほど価格的にも高価になっていきます。そのため、普段のワンちゃんの生活範囲や性格などをお聞きして、最終的なお薬を選んでいくことになります。

 

例えば、マンションなどで室内飼いをしており、普段の散歩コースもアスファルトの道路のみ、ドッグランを利用することもなく、他のワンちゃんと触れ合う機会も殆どないという生活をしているワンちゃんの場合は、フィラリアの予防だけができるお薬でも問題がないでしょう。

 

しかし、散歩コースに公園や草むらがある、ドッグランなどで他のワンちゃんとの接触が多いという生活をしているワンちゃんの場合は、フィラリア予防の他に、ノミ・ダニはもちろん、お腹の寄生虫も一緒に駆除できるタイプの薬の方が、かえってコスパが良いと考えられます。

 

また、シェルティやボーダーコリーなどのコリー種は、イベルメクチンという薬の成分への副作用が出やすいという傾向があります。そのため、イベルメクチン以外の成分の薬を選びたいというご希望の飼い主様もいらっしゃいます。その場合は、薬の成分を元に薬を選ぶことになります。

 

フィラリア予防薬のタイプ別特徴に関するまとめ

ポイント

・フィラリア感染症はきちんと予防できる病気です

・薬のタイプで投与のしやすさを考慮します

・ワンちゃんの生活様式から薬効の範囲を考慮して薬を最終決定します

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