動物病院の上手な利用方法

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病気やケガは避けられない

具合の悪い犬

 

こんにちは、横須賀市にある「つだ動物病院」院長の津田航です。

 

野生の動物たちが動物病院に行くことは、基本的にはありません。だからといって、動物にとって動物病院が必要のないところなのかというと、そういう訳ではありません。病気やケガをしない人間がほぼいないのと同じように、病気やケガをしない動物もほぼいません。

 

人と一緒に暮らす動物たちが、自然治癒力だけに頼るのではなく人為的な医療行為により治癒を促し、より良く長く生活できるようにするための施設が動物病院なのです。パートナーにより良い生活の質で、長く元気に過ごしてもらいたい飼い主様に、上手に動物病院を利用する方法等についてお話します。

 

動物医療の特殊性

獣医師と飼い主

 

人間の場合、基本的には言葉によるコミュニケーションが中心になります。言葉という共通的なコミュニケーション手段により、明確な意思疎通を行うことができるのです。しかし、動物の場合はそうはいきません。

 

パートナーの体調不良を知る手段は、目に見える変化から察知するしかありません。下痢や嘔吐をしている、食べているのに痩せてきている、食欲がない、元気がない、毛艶が悪い、行動が異常である等々です。

 

これらは、その場でひと目見て分かるものもあれば、長く一緒に暮らしていなければわからない変化もあります。治療の効果もそうです。もちろん、検査により効果を評価することも大切ですが、症状の改善具合は、一緒に暮らしていなければわからないことも多いのです。

 

つまり、動物の病気やケガを診断し、治療する場合、動物病院(獣医師とスタッフ)と動物だけではできないということです。動物病院と動物をつないでくれる飼い主様の存在が不可欠なのです。

 

動物の病気やケガを診察、治療、リハビリしていく行為は、飼い主様と動物病院の共同作業であると考えてください。この考え方を前提とした場合、どういった動物病院が良い動物病院で、飼い主様は動物病院をどのように利用すればよいのかということが見えてくると思います。

 

良い動物病院の見分け方

診察を受ける猫

 

飼い主様と動物病院が一体となって動物の診療に携わる場合、必ず必要になるのが信頼関係だと思います。どんなに双方が一所懸命に取り組んでも、相手に信頼されていなければ、その努力が報われないことも多くなるものです。

 

しかし、動物医療の専門家ではない飼い主様にとって、何を基準に動物病院を信頼すればよいのか分からないというのは当然のお気持ちだと思います。そこで、飼い主様がどのような動物病院を信頼してよいのかという判断のためのポイントとして、下記の観点をご紹介します。

 

下記の観点でご納得頂ける動物病院であれば、信頼していただき、我が子同様に可愛いパートナーの診療を一緒に支えていただきたいと思います。

 

・病院内(玄関、待合室、診察室、入院室等)や病院の周囲が清潔に維持されている

・対応が丁寧である

・問診にそれなりの時間をかけ、飼い主様のお話をしっかりと聞く

・問診だけでなく、毎回きちんと基本的な身体チェック(体温、体重、心拍数、聴診、触診等)を行う

・検査の目的や治療方法、手術方法、それにかかる費用などを納得できるまで丁寧に説明し、複数の手段から飼い主様が選べるように提示する

・飼い主様の質問に対して納得できるまで丁寧に答える

・処方する薬の効用、副作用、飲ませ方等を丁寧に説明する(必要なら練習も)

・医療費の明細書にきちんと内訳が明示されている

・可能な状態の場合は入院時も面会できる

・他の病院にセカンドオピニオンを求めたい時に、診療データの提供を拒まない

・その病院で手に負えない病気、ケガの場合は他の専門病院を紹介する

・救急時の受け入れを行っている

 

治すだけが仕事ではない

犬の爪を切る獣医師

 

動物病院の仕事は、病気やケガを治すということだけではありません。種を超えた動物同士が一緒に暮らしていくために必要なサポートを、「医療」を中心に行う場所なのです。その中には、「病気の予防」も非常に大きな割合を占めています。また医療と一言でいっても、身体的な面もあれば精神的な面もあります。人間社会の中で一緒に暮らしていくための最低限のルールを守れるという、「健全な行動」を維持するという面もあります。

 

これらを具体化すると、動物病院に対して、下記のような利用方法も見えてくると思います。

 

【病気の予防】

幼少期、成熟期は、最低1年に1回は総合的な健康診断を受け、病気の早期発見早期治療に努めましょう。シニア期以降は、1年に2回以上の総合的な健康診断をおすすめします。

また、パートナーの生活に適した病気予防のためのワクチン接種や寄生虫駆除を、毎年定期的に行いましょう。

 

【動物病院を利用した社会順化】

総合的な健康診断の他に、簡易的な健康チェックや苦手なお手入れ(爪切りや歯磨き等)の補強として動物病院を定期的に利用することで、パートナーの社会性を向上させられます。

特にお散歩をすることがなく飼い主様としか接触することのない猫ちゃんの場合は、こういった目的で動物病院を大いに利用してください。

 

【トリミングやホテルとしての利用】

トリミングやホテルとしての施設を併設している病院も増えてきています。飼い主様、ワンちゃんや猫ちゃんと動物病院の信頼関係を深める事もできますので、これらの施設を併設している動物病院の場合は、大いに利用してみてください。

 

【頼れる相談場所としての利用】

健康に暮らしていくためには、犬や猫にもブラッシング、爪切り、歯磨き、耳掃除、シャンプーといった、日常的なお手入れが必要になります。しかし、犬や猫の爪の構造や上手な切り方、どうすれば歯を磨かせてくれるのか、どういった道具を用意すればよいのか等、分からないことがたくさんあって当然です。

そこで、普段のお手入れに関する疑問やお薬の飲ませ方、ちょっとした疑問など、獣医師や動物看護士にお気軽に相談してみてください。

人間の病院と同じ感覚ではなく、もっと幅広く頼れる相談場所としても利用していただけると嬉しいです。

 

動物病院利用法のポイント

獣医師に抱かれる猫

 

ポイント

・動物の病気やケガを治療する行為は、飼い主様と動物病院の共同作業です

・しっかりとタッグを組むためにはお互いの信頼関係が欠かせません

・お示しした観点で動物病院をチェックし、信頼できる動物病院をみつけましょう

・動物病院を、何でも頼れる相談場所として上手に活用してください

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