夏の水遊びで大量飲水。水中毒に要注意!

犬猫の病気や症状

 

こんにちは、横須賀市にある「つだ動物病院」院長の津田航です。

 

地球温暖化の影響か、年々夏の暑さは増すばかりです。

台風シーズンの雨量も毎年想定外で、年々記録を上回る凄まじい雨量による川の氾濫などの被害が出続けています。

いざという時には、飼い主様がすぐに愛犬と一緒に安全に避難できるよう、日頃から準備をしておきたいですね。

 

やがて梅雨も過ぎると、いよいよ本格的な夏の始まりです。

犬達が大好きなプールや海、川などでの遊びはとても楽しいものですが、知らず知らずのうちに愛犬が大量の水を飲んでしまい、水中毒を起こす危険が潜んでいます。

今回は、特に夏に多くなる犬の水中毒についてお話ししたいと思います。

 

 

人のように全身の皮膚から汗をかいて体温調節をすることができない犬達にとって、夏は辛い季節です。

飼い主様もそれをご存知なので、夏になると積極的に愛犬と水遊びをされることが多いようです。

もちろん、すべての犬が水遊びを好むとは限りませんが、水遊びが大好きな犬は多いです。

夏になると、ご家族で出掛けた水辺での遊びに夢中になってしまった結果、知らず知らずのうちに水を飲み過ぎてしまった犬が水中毒を起こしてしまい、大変なことになるという不幸な事故が急増します。

 

たとえば、川辺にご家族で遊びに出かけ、お子さんが流木を川に投げ、愛犬が川の中に入って投げた流木を咥えて戻ってくるといったフェッチ遊びを夢中になって何度も繰り返し楽しんだ帰りの車の中で、急に愛犬がぐったりとなり、大量のおしっこをして苦しそうになり、近所の動物病院に駆け込むといったようなことが起こってしまうのです。

 

出掛けた先によっては、犬や猫を診てくれる動物病院よりも、牛や豚などの家畜が専門の動物病院が多い地域もあるかもしれません。

犬を診てくれる動物病院がみつかった場合でも、必ずしも助かるとは限りません。

水中毒では、命を落とすことだって少なくはないのです。

 

愛犬が命を落としてしまった場合は、楽しいはずの休日が最悪な日になってしまいます。

しかも、一緒に遊んでいたお子さんは、愛犬を死に追いやったという自責の念を持つことになってしまうでしょう。

 

愛犬が水遊びをする時には、大人がしっかりとそのリスクを認識して注意を払わなければならないのです。

 

 

水中毒とは、水分を大量に摂取したことが原因で起こる中毒症状です。

水そのものに毒性があるわけではありません。

水分を大量に摂取したことで、摂取した水分を排泄しきれなくなってしまい、その結果血液中のナトリウム濃度が低くなりすぎて、低ナトリウム血症を発症してしまうのです。

 

水中毒は、犬だけが発症するわけではありません。

排泄しきれないくらい大量の水を摂取したことで、血液中のナトリウム濃度が低くなり、低ナトリウム血症を起こしてしまうのは人も同じです。

つまり、人も水の飲みすぎで水中毒になってしまうのです。

 

水中毒になった犬にはどのような症状がみられるのでしょうか。

最初のうちは、疲れたりぼーっとしたりするところから始まることが多いようです。

そのうち、ふらついてしまうなどうまく歩けなくなり、お腹が膨れ、大量のおしっこをし、よだれ、意識混濁、けいれん、麻痺、呼吸困難、昏睡といった状態になり、最悪の場合は命を落としてしまいます。

 

水中毒の原因を知ると、「低ナトリウム血症にならないように、海で遊べば良いのではないか」と思われる飼い主様もいらっしゃるかもしれません。

確かに、海水には塩分が含まれています。

しかし、30℃以上になるような真夏の炎天下で、適切な水分補給を行わないまま短時間に大量の海水を飲むことで、塩分の摂取が過剰となり、高ナトリウム血症になることもありますので、海なら安心ということはありません。

 

海だから川だからということではなく、家庭用のビニール製のプールやホースで水を使って遊ぶような場合も含め、水遊びには常に注意が必要だと考えましょう。

 

 

先ほど、犬だけではなく、人も水を飲みすぎると水中毒になるとお話ししました。

一般的に、人が1日に必要とする水分量は約2.5Lだと言われています。

したがって、単純に考えれば1日に2.5L以上の水を飲むと水中毒になる訳です。

しかし、1日に2.5L以上の水を飲むのは、結構大変だと思いませんか?

 

人の場合、水中毒は精神疾患を患っている方に多くみられる病気だと言われています。

つまり、普通に喉が乾いて水を飲み過ぎるということではなく、不安や幻覚、妄想、焦燥といった心理的な要因で多飲傾向となり、水を飲み過ぎてしまうことが多いのです。

また、ダイエット時の空腹を紛らわせるために水を大量に飲んでしまうということもあるようです。

 

しかし犬の場合、水中毒の原因として精神疾患やダイエットということはあまり考えられません。

つまり、自らの意思でたくさんの水を飲む多飲とはちょっと性質が異なるのです。

水中毒の原因は、そのほとんどが水遊びのし過ぎだと言われています。

先ほど水中毒になった事故の例としてあげた「川でのフェッチ遊び」を考えてみましょう。

別に犬は自らの意思で大量の水を飲んだわけではありません。

ただ、何度も繰り返して水に入り、水の中で毎回流木を咥えて泳いだだけです。

 

そう、水の中で泳ぐ時に口の中に水が入り、それが無意識に胃の中まで流れ込んでしまうことが水を飲み過ぎてしまう原因なのです。

ましてや、何かを咥えながら泳いだ場合は、さらに大量の水を飲み込んでしまうことになるでしょう。

また、ホースで撒いた水をパクパクと口で受け止めて遊ぶような場合も、意図せずに大量の水を飲み込むことになってしまいます。

 

つまり、人の場合とは異なり、犬は全く水を飲んでいるという自覚のないまま、いつの間にか大量の水を飲み込んでしまうのです。

そのため、犬の水中毒を予防するためには、飼い主様が愛犬の水遊びを上手にコントロールしてあげるしか方法はありません。

 

水遊びの途中で上手に休憩を入れてあげる、どんなに犬が喜んで遊びを続けたがっても遊び過ぎないようにする、犬の様子をよく観察し、少しでも様子がおかしくなったらすぐにやめ、動物病院に連れていくといったことが必要です。

また、夏季休暇中に遠出をする場合は、出先の近くに犬を診てくれる動物病院があるか、診察時間や休診日はいつかといったことを、事前に調べておくことをおすすめします。

 

 

もちろん、犬が自ら進んでたくさんの水を飲んでしまう場合も注意が必要です。

犬の場合は、体重1kgあたり、1日に40〜50mlがだいたいの水分摂取量の目安だと言われています。

それが、1日に体重1kgあたり100ml以上飲んでしまうようであれば、過剰摂取だと考え、注意してください。

 

このように日常的に多飲多尿(大量の水を飲み大量のおしっこをすること)になったような場合は、水中毒というよりも、腎臓病、心臓病、糖尿病、子宮蓄膿症、副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)といったような病気が原因であることがほとんどです。

 

そういう観点からも、今までよりもお水をたくさん飲み、たくさんのおしっこをするようになったと感じた場合は、お近くの動物病院に連れて来て、相談してください。

そのためにも、普段から愛犬が飲む水の量やおしっこの量・回数を把握しておくことをおすすめします。

 

どうか愛犬の様子をしっかりと観察し注意を怠らないことで、愛犬と一緒に楽しい夏をしっかりと満喫してください。

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