愛犬、愛猫の足先のお手入れも忘れずに
忘れがちな足先のお手入れ
こんにちは、横須賀市にある「つだ動物病院」院長の津田航です。
愛犬や愛猫と一緒に暮らしておられる飼い主様は、愛犬や愛猫に元気で長生きしてもらうために、きっと歯磨きやブラッシングなどのお手入れに気を使われていると思います。これらはほぼ毎日行うため、習慣化します。しかし、足先のお手入れとなると、ちょっと忘れがちになってしまうという飼い主様もいらっしゃるのではないでしょうか。
毎日チェックする必要はありませんが、爪や足裏の毛など、足先のお手入れも月1回程度を目安に確認し、必要に応じてお手入れをしてあげて欲しい部位です。
そこで今回は、愛犬や愛猫の足先のお手入れについてお話ししたいと思います。
爪切り
犬の場合、爪は1本の足につき4〜5本あります。大抵の場合、前足には5本の爪があり、犬種や個体によって後ろ足は4〜5本となります。猫の場合は、基本的には前足に5本、後ろ足に4本の爪があります。
犬も猫も、5本目の爪は地面につかない少し上の部分に付いていて、狼爪(ろうそう)と呼ばれています。そのため、歩くときに地面に触って摩耗するということがないため、狼爪は他の爪よりも伸びやすいのですが、爪切りの時に飼い主様が切り忘れてしまいがちな爪でもありますので、よく注意してください。
そもそも、野生の犬や猫は爪切りをしていなかったはずなのに、なぜ人と一緒に暮らすようになった犬や猫達は、爪を切る必要があるのでしょうか。それは、生活環境が異なるからです。小石や険しい岩などのある外で狩りをしながら生活をする必要がなくなったため、爪が伸びてしまうのです。
犬も猫も、爪は鎌のような形になっています。そのため、爪が伸びてしまうと爪が丸まって肉球に刺さってしまいます。また、猫と違って爪を引っ込めることのできない犬は、爪が伸びてしまうと歩きづらくなってしまいます。
そのため、フローリングの床などを歩く時に、かしゃかしゃと爪の当たる音がするようになったら、爪を切ってあげてください。
猫は自分で爪研ぎをするので爪切りが必要ないと思っておられる飼い主様もいらっしゃるかもしれません。しかし、猫の爪研ぎは爪を短くするための行為ではありません。古い爪の層を剥がして、下に生えてきた新しい爪を出すための行為です。そのため、飼い主様が爪切りをしてあげないと、伸びた爪が肉球に刺さってしまうというのは犬と同じなのです。
また、老猫は次第に爪研ぎをしなくなってしまいます。そうすると、爪が伸びるだけではなくとても太くなってしまうため、気がつくと飼い主様の手には負えないような状態になってしまうことがあります。月1回程度を目安に定期的にチェックをし、伸びてきたなと思ったら切ってあげてください。
犬も猫も、爪の根元の方には血管が通っています。爪の先の白い部分を切るようにしてください。最初は、かかりつけの動物病院やトリミングサロンで爪のどの辺りを切れば良いのかを教えてもらうと良いでしょう。爪切りは、市販の物で構いません。犬用、猫用を確認して購入しましょう。
最初は血管を切らないようにと緊張してしまうかもしれませんが、怖がって切らずにいると血管が伸びてきてしまい、あまり短く切れなくなってしまいます。少しずつでも良いのでこまめに切るようにしましょう。
足の裏や足回りの毛と肉球
爪切りと並んで月1回程度を目安にチェックして頂きたいのが、足裏の毛です。肉球には、滑り止めや衝撃を和らげるという役目があります。しかし、足裏の毛が伸びてしまい、肉球が隠れるような状態になってしまうと滑り止めの役目を果たせなくなってしまいます。そのため、フローリングなどを歩く時に滑りやすくなり、足腰を傷める原因になることもあるのです。
猫の場合も同じです。特に長毛種は、肉球が隠れてしまうほど伸びてしまうことがありますので、月1回程度を目安にチェックしてください。
足裏の毛を刈るときは、ハサミよりも市販のペット用バリカンを使うことをおすすめします。その方が、安全で使いやすいからです。
また、足裏ではなく足回りの毛が伸びすぎて邪魔になる場合も、足の形がわかる程度に刃先が丸くなっているハサミでカットしてあげると良いでしょう。ただし、じっとしてくれない子など、怪我をさせてしまいそうな子の場合はトリミングサロンやトリマーさんのいる動物病院でやってもらう方が安心です。
動物病院は、愛犬や愛猫の社会化を促し、飼い主様以外の人や動物とのふれあいにも慣れさせることができる場所です。月に1回程度の頻度で、簡単な健康チェックを兼ねて動物病院で爪切りやトリミングなどを受けるというのも、一つの方法だと思います。
ここまでは、月1回程度のお手入れでした。ワンちゃんの場合は、毎日お散歩に出かけられると思います。そのお散歩から帰宅して必ずやっていただきたいのが、足裏の汚れや肉球の間に挟まった異物の確認です。
汚れを落とし、挟まった異物を取り除いたら、同時に肉球の状態も確認しましょう。季節によってはカサカサと乾燥してひび割れになってしまっているかもしれません。ひび割れは歩くと痛いですし、傷口についた汚れが原因で炎症を起こしてしまうかもしれません。カサカサしている、またはひび割れができている時は、保湿をしてあげましょう。
動物病院でご相談いただければ、適切な保湿剤などを処方します。肉球の乾燥については猫も同じです。猫の場合はお散歩に行くことはないでしょうが、爪切りなどの時に一緒に確認し、対策が必要な場合は動物病院に相談してください。
子犬、子猫の頃から慣れさせて
足先は、角質層が厚くなっているとはいえ、皮膚がむき出しになっています。歩きながら肉球で地面の温度、感触などを感じるための器官もたくさんある場所です。そのため、足先を触られると嫌がる子も多いです。
そのため、できるだけ子犬や子猫の頃から爪切りなどの足先のお手入れに慣れさせるようにしてください。終わったら必ずご褒美をあげることで、「足先のお手入れは嬉しいこと」にしてあげましょう。
また、嫌がった時に放してしまうと「嫌がれば解放してもらえる」と学習してしまいます。たとえ爪を1本切るだけでも良いので、決して諦めないようにしてください。優しく声をかけながらも、しっかりと固定してください。
ご家族がいらっしゃる場合は、ワンちゃんや猫ちゃんを抑える人とお手入れをする人の二人一組で行うと良いでしょう。お一人の場合は、抱き抱えるような形でしっかりと固定してください。できれば、ダイニングテーブルのような高さの台の上で行うと、作業しやすいです。
もちろん、成犬、成猫になってから引き取ったという子も同じです。少しずつで構わないので、根気よく慣れさせていきましょう。例えば、1日1本の爪切りでも構わないのです。それを毎日行えば、全ての爪を切ることができます。
また、このように体中のどこの部分でも触れるように慣らしておくと、いざ病気や怪我をした時にも、ワンちゃんや猫ちゃんに過度な負担をかけずに適切な処置ができるようになります。
それでも、どうしても足先のお手入れをさせてもらえない子の場合は、動物病院やトリミングサロンを上手に利用してください。
ペットの足先のお手入れに関するまとめ
ポイント
・犬も猫も、月に1回は爪と足裏の毛のチェックをしましょう
・飼い主様ではどうにもならなくなってしまう前に、こまめに爪切りをしましょう
・肉球が隠れるくらい毛が伸びている場合は、足裏の毛を刈りましょう
・肉球が乾燥している場合は保湿対策をしましょう
・どうしても難しい子は動物病院やトリミングサロンを利用しましょう