愛犬との年末年始の過ごし方

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こんにちは、横須賀市にある「つだ動物病院」院長の津田航です。

 

早いもので、あっという間に今年も年末が迫ってきました。
そこで今回は、愛犬との年末年始の過ごし方についてお伝えします。

 

年末年始に特に増えるのが、誤飲誤食による来院です。
年末にはクリスマスもありますし、また普段使わないような特別な洗剤を使っての大掃除や不用品の大整理を行う方も多いでしょう。
年始には、ご家族や親戚、友人などが大勢集まって宴会を開く機会が多くなるでしょう。

 

整理中の不要物、頂いたお土産、小さなお子さんたちが持ち込んだおもちゃなど、年末年始には普段見慣れないものが室内に散在することになります。
飼い主様も、普段とはちょっと違う雰囲気や来客でお酒も入り、愛犬への注意が散漫になってしまうこともあるでしょう。
そういった状況から、年末年始には愛犬が誤飲誤食をしてしまう機会が一段と増えてしまうのです。

 

 

誤飲誤食とは、犬が本来口にすべきではないものを、誤って飲み込んだり食べたりしてしまう事で、特に子犬に多いのですが、成犬でも起こります。
誤飲誤食により起きる症状は、何を飲み込んだのかによってさまざまです。
幸いにも、そのまま排泄されてしまうこともあります。
しかし、喉や胃、腸などに詰まってしまう場合も多く、また飲み込んだものによっては中毒症状を引き起こす場合もあり、命に関わる重篤なケースも決して少なくありません。

 

誤飲誤食による症状には、次のようなものがあります。

 

1. 物理的閉塞(消化管の通過障害)
おもちゃ、木片、石、ビニール、細長い紐状の物などが、消化できずに消化管の中に詰まってしまった時に起きます。嘔吐、食欲不振、下痢、腹痛といった症状が見られます。
時間の経過と共に次第に症状が悪化していき、消化管が壊死したり、穴が空いたり、腹膜炎を起こしたりし、場合によっては死に至ることもあります。
また、飲み込んだ物が中毒を引き起こすような物の場合は、閉塞だけではなく中毒症状も併発しますので、より危険な状態になります。

 

2. 中毒症状
洗剤、人用の常備薬、タバコ、保冷剤などは、犬に中毒症状を引き起こします。
何を口にしたかにもよりますが、中毒症状には貧血(ふらつき、転倒、うずくまる等)や興奮、痙攣、よだれを垂らす、息が詰まる、嘔吐、意識混濁等があり、重篤な場合は死に至ることもあります。
人にとっては身近な食材であるチョコレートやネギ、ぶどう、キシリトールや、アルコール、カフェインなども、犬にとっては中毒を引き起こします。
また、多くの観葉植物や、電池・コイン・ベルトのバックルなどの金属類も中毒を引き起こします。

 

 

誤飲誤食をした場合の対処としては、原則としてすぐに動物病院へ連れてきてください。
特に、先が尖っていたり角があるような消化管を傷つける物や紐状の細長い物、中毒症状を引き起こす物、消化管を塞ぐような大きさの物、食べ物以外の物を口にした場合は、迷わずすぐに病院へ連れてきてください。

 

しばらく様子を見ても良いのは、中毒を起さないと分かっている食べ物の場合です。
この場合でも、様子がおかしいと思ったらすぐ動物病院に来てください。

 

誤飲誤食は、いつ起きてもおかしくありません。
来院は誤飲誤食してから2〜3時間以内であることが望ましいため、時間との戦いでもあります。
当院は、診察時間外であっても救急受付をしておりますので、まずはお電話ください。

 

よくネットなどに書かれている「食塩を使って催吐させる方法」は、高濃度の食塩を摂取してしまう、嘔吐が止まらなくなる等のリスクが高いのでおすすめできません。

 

 

誤飲誤食、またはその疑いで来院した場合、動物病院では次のような対処を行います。

 

まずは状況を把握します。
「いつ、何を、どのくらいの量飲み込んだのか、その後の様子」などをお聞きしますので、できるだけ詳しく説明してください。
できれば飲み込んでしまった、または飲み込んだかもしれない現物を持参して頂くと、とても参考になります。

 

必要に応じてX線、超音波、CTなどの画像検査により、異物の場所や大きさを確認します。
そして、状況に応じて催吐処置、内視鏡による胃からの摘出、開腹手術、点滴で血液中の毒性濃度を薄める、解毒剤や吸着剤で毒性の吸収を抑える等の処置を多ないます。

 

【催吐処置】
まだ胃の中に異物があり、嘔吐で解決する場合に行う処置で、催吐作用のある薬を注射したり飲ませたりすることで嘔吐を促します。
異物が薬剤や中毒性の物の場合も吸収を減らすために行う場合があり、さらに胃洗浄が必要な場合もあります。
また、これ以上嘔吐が続かないように、吐き気どめの注射や脱水防止の点滴を行うこともあります。

 

【内視鏡による摘出】
嘔吐では出せないとか、嘔吐させると危険な形状の異物の場合に行う処置です。
全身麻酔が必要ですが、開腹手術は行わないので愛犬へのダメージは少なく、日帰り治療できる場合も多いです。
食べ物は通常胃の中に2〜3時間は残っているので、その時間内であればこの方法で摘出することも可能です。

 

【開腹手術による摘出】
内視鏡では摘出できない場合や、すでに小腸より先の方まで移動している場合に行う処置で、全身麻酔の下、開腹手術で消化管内の異物を摘出します。
異物による消化管が閉塞していた期間が長かったり消化管の損傷が激しい場合は、消化管の一部を切除することもあり、術後はしばらく入院が必要になります。

 

 

愛犬と共に楽しい年末年始を過ごすためにも、愛犬に誤飲誤食をさせないよう、細心の注意をしてあげてください。
具体的な誤飲誤食の予防法をいくつかご紹介しますので、参考にしてください。

 

1. パーティーでの過ごし方
パーティーで散らかしたパーティーグッズのかけらなどはすぐに片付けましょう。
特に子犬は、興味のある物をすぐに口に入れるので要注意です。
クリスマスによく食べられる骨つきチキンも、加熱されているので骨が裂けやすいため注意が必要です。
愛犬の手の届くところに置いたまま、目を離さないようにしましょう。

 

2. 観葉植物
観葉植物は毒性のあるものが多いです。お土産に頂いた生花も含め、愛犬が過ごす部屋には置かないように気をつけましょう。

 

3. おもちゃで遊んでいる時の注意事項
飲み込める大きさのおもちゃで遊んでいる時にそれを急に取り上げようとすると、愛犬は取られまいとして飲み込んでしまうことが多いです。
一旦、他のことで愛犬の気をそらし、その隙に取り上げるようにしましょう。

 

4. 人には身近な物でも愛犬には危険がいっぱい
飼い主様が普段口にしている物は、愛犬も興味を持っているので口にしてしまいやすいです。
人には身近な食べ物や嗜好品(酒類、タバコ等)、薬であっても、愛犬には中毒性のある危険な物が意外と多いので、普段からよく注意する習慣をつけておきましょう。
誤飲誤食しそうな物は、普段から犬が届かない場所に置く、散らかさないと同時に、咥えている物を号令で離させる、拾い食いをしない、人の食べ物は与えない等のしつけを普段から行っておくことも大切です。

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