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ペットツーリズムとは

愛犬と紅葉を楽しむ旅

 

こんにちは、横須賀市にある「つだ動物病院」院長の津田航です。

 

動物たちと一緒に暮らしている飼い主様のお悩みとしてよく耳にするのが、「旅行に行きづらくなった」というものです。しかし環境さえ整っていれば、動物たちと一緒に旅行をしたり、旅行先でアウトドアイベントやスポーツなどをいっしょに楽しんだりすることもできます。このように、飼い主様が一緒に暮らしている動物たちを連れて旅行することを、ペットツーリズムといいます。

 

もちろん、動物同伴の旅行を普通にできるようにするためには、移動、宿泊、食事、観光など、幅広い業界の協力と、飼い主様ご自身の努力も必要になります。そこで2013年に、全国ペット・ツーリズム連絡協議会が設立されたりもしています。

 

その成果もあるのか、つい先日も某TV局で「愛犬を連れて東京駅やお台場などの夜景やイルミネーションを楽しめるバスの運行が始まる」というニュースを報道していました。そのバスは犬が乗ることを意識した設計になっており、停車場所ごとに飼い主様が愛犬と一緒に楽しめるような内容になっているようです。

 

一緒に旅行をするための適性は、犬と比べると猫は低いと考えられています。社会性が低く警戒心が高いため、縄張りである家の外に出たり知らない人々に会ったりすると、非常に緊張し、高いストレスがかかってしまうためです。

 

そのためペットツーリズムも、犬向けのサービスの方がより多く開発されているようです。そこで今回は、主にワンちゃんを対象に、ペットツーリズムを楽しむ際のポイントや注意点を紹介します。

 

愛犬との旅行の移動手段

愛犬と楽しむ船旅

 

ワンちゃんとの旅行を考える際、最も頭を痛めるのが移動手段だという飼い主様も多いのではないでしょうか。気軽なのは自家用車による移動ですが、交代して運転できるご家族がいなかったり、あまり遠くまでは行ける自信がなかったりという飼い主様もいらっしゃるかもしれません。

 

ワンちゃんとの移動手段には、まだまだ課題が多いです。それでも、少しずつ選択の幅が広がってきています。下記にその例を挙げますので、ワンちゃんとのご旅行の計画を立てる際の参考にしてみてください。

 

<ペットタクシー>

普通のタクシーとは異なり、ワンちゃんや猫ちゃんを輸送することを目的としたタクシーです。そのため、車も動物たちを安全に乗せることを意識していますし、乗務員も動物の扱いに慣れた方です。近距離はもちろん遠距離も利用でき、片道のみ、往復、定期的な送迎などにも対応してくれている会社が多いようです。

 

<バス>

最近は、愛犬と一緒に参加できるバスツアーも増えてきています。愛犬をキャリーバッグに入れる必要はなく、一緒に隣の座席に座ることができます。ただし、東京、大阪、名古屋などの比較的大きな都市からの発着となるものが多いようです。

 

<フェリー>

貨物としてではなく、飼い主様と一緒に同じ部屋に乗船できるフェリーも増えてきています。首都圏―北海道、関西―九州などの路線や、ワンちゃんだけではなく猫ちゃんにも対応してくれるフェリーなども出てきています。ペット同伴への対応については、各社のホームページで詳しく説明されていますので、旅行先や移動手段の選択手段として、ぜひ船旅も検討してみてください。

 

<飛行機>

飛行機に関しては、まだまだ貨物扱いとしての搭乗という会社が多いです。しかし最近は、小型犬や猫であれば、貨物扱いではなく同伴で搭乗できるサービスも出てきました。スターフライヤーの「FLY WITH PET!」というサービスで、羽田―北九州線の全便が対象です。空港内はもちろん、機内でもケージから出すことはできません。しかし、隣の席に乗せられるため、安心して空の旅を楽しむことができるでしょう。

 

愛犬との旅行での注意事項

愛犬と滝を観光する

 

家族同然のワンちゃんと一緒に観光地にでかけたり、キャンプや水遊びを楽しんだりするのは、飼い主様にとってもワンちゃんにとっても、いつもと違う体験ができ、ストレス解消になります。何よりとても大切な思い出になることでしょう。愛犬との生活の中でも、とても魅力的なイベントになると思います。

 

また旅先で知り合った、見知らぬ飼い主様と親しくなり、お互いに情報を交換し合うこともできるでしょう。普段交流のない飼い主様との情報交換からは、得られることも多いのではないでしょうか。

 

しかし、ペットツーリズムは必ずしも楽しいことばかりではありません。注意しなければならないこともたくさんあります。その主なものを挙げると下記のようになります。

 

<準備>

・旅行前の健康チェックと愛犬用乗り物酔い止め薬や常用薬の準備

・ペット保険証、ワクチン接種証明書等の準備

・旅先(宿泊先や立ち寄る先)の近くにある動物病院と営業時間等の確認

・マイクロチップの装着や情報更新、迷子札などの確認

・マナーパンツの準備、リード類の状態確認

 

<旅行中>

・マナーパンツの着用を始めとしたマナーの遵守

・常にリードを離さない

・必要書類(ペット保険証、ワクチン接種証明書等)を持ち歩くこと

・愛犬から目を離さない(迷子、誤飲、交通事故等への注意)

 

<帰宅後>

・ケガ、体調異変、虫刺されなどの有無をチェックする

・帰宅して約1ヶ月程度は普段以上に愛犬の体調に注意を払うこと

 

日頃のしつけの大切さ

旅先でも落ち着いている犬

 

いくら事前準備をしっかり行い、旅行中も愛犬の行動や体調に気を配っていても、愛犬がパニックを起こしてしまい、飼い主様の指示を聞ける状態ではなくなってしまうと、事故やケガの元になります。

 

そうならないためにも、愛犬とのペットツーリズムを楽しまれたい飼い主様は、普段のしつけにも力を入れることをおすすめします。普段からしっかりとしつけをしておくことが、万が一の場合にワンちゃんを守ることにつながります。

 

普段から、下記の基本動作はしっかりと身につけるよう心がけましょう。

・名前を呼ぶと飼い主様に注意を向けられる

・アイコンタクトをしながら飼い主様からの指示を聞ける態勢になれる

・「コイ」「マテ」「オスワリ」などの基本的な指示に従える

 

特に、愛犬の名前を呼んだら飼い主様に注意を向けられるようにすることは、とても大切なことです。想定していないような事態に直面してパニックを起こしても、飼い主様が名前を呼ぶことで落ちついて指示を聞ける状態になれるからです。

 

これはペットツーリングの際に役立つだけではなく、災害時に愛犬と安全に避難をするためにも必要なことです。

 

また「いつもは言うことを聞くのに、いざという時はちっとも聞いてくれない」というワンちゃんもいます。これは、トレーニングの場所や状況がいつも同じだからだと考えられます。ワンちゃんは、飼い主様の言葉や仕草と「状況」などから総合的に指示の内容を判断します。そのため普段とは異なる状況だったり、飼い主様の様子がいつもと違っていたりすると、指示が伝わらなくなることがあるのです。

 

トレーニングをする場所を固定せず、いつもとは異なる部屋や庭、散歩先の公園、初めて行った場所など、いつどんな状況でも飼い主様の指示を聞けるようにトレーニングをしておくことが大切なのです。

 

ポイント

フェリー乗船前の記念写真

 

ポイント

・一緒に暮らしている動物たちと一緒に旅行することをペットツーリズムといいます。

・最近はペットツーリズム関連のサービスが増えてきています。

・ペットツーリズムに対する適性は、一般的には猫よりも犬の方が高いです。

・ペットタクシー、ペット同伴バスツアー、ペット同伴可能なフェリーや飛行機など、愛犬との移動手段も増えてきています。

・愛犬と一緒に旅行を楽しむためには、事前準備を含めてさまざまな注意事項があります。

・愛犬と一緒に旅行を安全に楽しむためには、日頃からのしつけも大切です。

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