梅雨時に気を付けたい犬猫の食中毒

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梅雨本番、食中毒にご用心

嘔吐した犬

 

こんにちは、横須賀市にある「つだ動物病院」院長の津田航です。

 

6月に入りました。関東甲信地方での梅雨入りは平年6月7日頃なので、もう目の前に迫っています。

 

梅雨になると雨の日が増えて気温もかなり高くなります。食中毒の原因となる細菌類は、高温多湿の環境で増殖しやすくなるため、ワンちゃんや猫ちゃんの食中毒に気を付けなければなりません。軽症でも嘔吐や下痢、重症だと泡を吐く、血便、呼吸困難、けいれんなどの症状が現れる場合もあります。

 

こんな苦しい思いをさせないために、今回はワンちゃんや猫ちゃんを食中毒から守るために気をつけていただきたい、フードの保管やお食事の与え方についてお話したいと思います。

 

常在菌も食中毒の原因に

サルモネラ菌

 

食中毒を起こす細菌の多くは、ワンちゃんや猫ちゃんの体に常に存在している常在菌です。しかし、体内に大量に入り込むことで、食中毒の症状を引き起こします。食中毒予防のために、食中毒の原因となる代表的な細菌の特徴を知っておくのも大切です。

 

食中毒の原因菌となる代表的な細菌は、サルモネラ菌、カンピロバクター菌、ウェルシュ菌です。いずれも食肉や魚介類、鶏卵などに多く存在しており、20℃程度で徐々に増殖し、30℃を超えるような高温多湿の環境で活発に増殖します。

 

サルモネラ菌やカンピロバクター菌は63℃以上で死滅し始めるため、肉や魚介類を調理する際は、中心部を75℃以上で1分加熱することが基本です。ただしウェルシュ菌は熱に強く、加熱しても死滅せずに調理後の冷めていくお鍋の中で急速に増殖してしまいます。肉や魚介類を煮込んだお鍋をそのまま室温に一晩放置するのは危険です。

 

フード管理はここに注意!

嘔吐する猫

 

ワンちゃんや猫ちゃんのフードを管理するときには、「病原体となる細菌の増殖を抑える」ことを意識しましょう。フードは細菌が増殖しづらい「低温少湿」の環境で保管します。また外部からの細菌等の侵入を防ぐのも大切です。

 

これらの条件から整理すると、フードを保管する際のポイントは下記になります。

 

<ドライフード>

・直射日光が当たらず、風通しの良い場所に保管する

・出し入れの際にできる結露でカビが発生するため、冷蔵庫での保管は避ける

・開封後30日以内に食べ切れる量を目安に購入する

・開封後の保存では、できるだけ袋から空気を抜いて密封する

 

<ウェットフード>

・開封後は原則1回で使い切る

・1回で食べきれない場合でも、1日2回までで使い切る

・2回目分は、蓋付きの別容器に移して冷蔵庫で保管する

 

給仕管理はここに注意!

給水器の水を飲む猫

 

ワンちゃんや猫ちゃんの唾液を通して食べかけのフードやお水に細菌が移動し、そこで増殖する可能性があります。そのため、食事やおやつを与える場合には、「病原体が増殖する前に食べさせる」ことを意識しましょう。

 

また、ワンちゃんや猫ちゃんに手作り食を食べさせている飼い主様もいらっしゃると思いますので、手作り食を作る際の注意事項についても触れたいと思います。

 

<食事の与え方に関する注意点>

・フードやおやつの賞味期限を意識する

・食器や給水器の置き場所は、直射日光が当たらず風通しの良い場所にする

・ドライフードは長くて半日、ウェットフードは30分で食べきれなかった分を廃棄する

(梅雨時は猫ちゃんへの置き餌をやめる)

・使用する食器は毎回きれいに洗う

(食べさせる際に使用したスプーンをそのまま袋に戻さない)

・飲み水は朝晩の最低2回、ボウルや給水器をきれいに洗って水を総入れ替えする

 

<手作り食を作る際の注意点>

・生肉や生魚は与えず、食材にはよく火を通す

(低温調理した肉類もリスクが高い)

・原則、食事の作り置きはしない

・作り置きが必要な場合は3日目以降分を冷凍保存にし、1週間以内に使い切る

・肉や魚介類の煮込み料理を作り置きする場合は、早めに蓋付きの別容器に移して冷まし、冷蔵庫で保管する

 

ポイント

ご飯を待つ犬

 

ポイント

・食中毒の原因となる細菌の多くは犬や猫の常在菌です

・常在菌でも必要以上に摂取すると食中毒を引き起こします

・食中毒の原因菌の多くは、梅雨〜夏の高温多湿な環境でよく増殖します

・細菌の増殖を抑えるようにフードを管理しましょう

・食事は病原体が増殖する前に食べさせましょう

・梅雨〜夏は、猫ちゃんへの置き餌をやめましょう

・食器や調理器具、飲み水についても衛生管理を行いましょう

 
どんなに注意していても、食中毒は起きてしまうかもしれません。もしもワンちゃんや猫ちゃんに食中毒の症状が見られた場合は、すぐに動物病院に連れて来てください。

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