犬との生活〜春に注意したいこと〜

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愛犬のための春の注意点

ワンちゃんとお花見

 

こんにちは、横須賀市にある「つだ動物病院」院長の津田航です。

 

当院の近くにある衣笠山公園は、桜の名所でもあります。しかし、美しかった衣笠山公園の桜も見どころを過ぎ、葉桜となってしまいました。そしてだんだんと春らしい、暖かい日が多くなってきました。緑萌えるこの季節は、愛犬とのお散歩やちょっとした遠出が楽しくなる、行楽に最適なシーズンです。

 

このように楽しいワンちゃんとの生活の中でも、春だからこそ注意していただきたいことがあります。今回は、愛犬との生活の中で春だからこそ注意していただきたいポイントを、生活環境、外出シーン、病気の3点に分け、それぞれにお話したいと思います。

 

春の注意点:生活環境

バーベキュー

 

まずは、生活環境に関する注意点です。

春は季節の変わり目であり、かつ日本人にとっては生活の大きな節目ともなる時期です。そのため自然環境や生活スタイルの変化が、ワンちゃんにはストレスとなることが多い時期でもあります。そういった観点で注意していただきたいことを、ご説明します。

 

<温度管理>

寒い冬から暑い夏へと移行する季節が春です。少しずつ暖かくなればよいのですが、実際には日中暖かく朝晩の冷え込みがきついとか、昨日と今日の温度差に大きな開きがあるといったように寒暖差が激しく、ワンちゃんの身体に大きな負担となることも多いです。

空調等を上手に利用して、ワンちゃんが過ごす場所の温度や湿度の管理をしっかりと行いましょう。特に子犬や高齢、持病をお持ちのワンちゃんには、一層の注意が必要です。

 

<飼い主様の生活変化>

日本の学校や会社は4月始まりのところが多く、春は生活が大きく変化する時期でもあります。新しい生活のために、ご家族の皆様または一部の方が引っ越しをされる、生活サイクルが変わるといった変化が生じることも多いでしょう。この変化が、ワンちゃんのストレスになることも少なくありません。

新しい生活に馴染むまでは飼い主様ご自身も大変だと思いますが、ワンちゃんができるだけ安心して過ごせるように、今まで以上にワンちゃんに心を寄せてあげてください。

 

<ご家族のイベントに起因する事故>

春はお花見やピクニックなど、ワンちゃんも一緒に参加するご家族でのイベントが多い時期でもあります。そこで注意していただきたいのが、誤飲事故です。

特にお酒が入ってしまうと、普段は注意しておられることでも、ついうっかりしてしまうことがあります。少し目を離した隙に、ワンちゃんが焼鳥の串、お酒、チョコレート、果物の種などを口にしないように注意してください。

母の日によく贈られるカーネーションにも注意が必要です。誤って口にすると胃腸障害、また触っただけでも皮膚炎の原因となることがあります。

 

春の注意点:外出シーン

犬とスイセン

 

次に、ワンちゃんと一緒に外出した先の環境で注意していただきたいことをお話します。

外の世界は季節に関係なく危険な要素が多いものですが、春になると芽吹き花を咲かせる植物や姿を見せる生き物たちの中から、ワンちゃんに危険なものをご紹介します。

 

<犬に危険な春の植物>

春は、冬と比べると緑も濃くなりたくさんの花が咲き、それだけでも心がウキウキしてきます。しかし、中にはワンちゃんが口にしてしまうと中毒症状を引き起こす、危険な草花もあります。

ワンちゃんが口にすると危険な春の草花とその症状をご紹介します。

・福寿草:血圧上昇、呼吸困難、心臓麻痺等。

・スイセン:よだれ、下痢、嘔吐等。大量摂取でけいれん、血圧低下、不整脈等。

・シクラメン:よだれ、下痢、嘔吐等。球根の誤食では命の危険もあり得ます。

・カーネーション:胃腸障害、皮膚炎等。

・ユリ:急性腎不全。

・チューリップ:よだれ、下痢、嘔吐等。

・朝顔:食欲不振、胃腸障害、運動失調、興奮、幻覚等。

・ゼラニウム:皮膚炎、食欲不振等。

・ヒヤシンス:球根の誤食で下痢、嘔吐、皮膚炎、アレルギー反応等。

 

<犬に危険な春の生き物>

春になると、冬に冬眠していた生き物も目を覚まして活動を始めます。その中には、ワンちゃんにとって危険な生き物もいます。

代表例はヤマカガシやマムシなどの蛇です。これらの強い毒を持った蛇はもちろんですが、毒を持っていない蛇でも咬まれればケガをします。ワンちゃんと一緒に山林や草地、また水辺などを歩く時には十分に注意をしてください。

ハチにも注意が必要です。好奇心旺盛で怖いもの知らずの子が興味本位に顔を近づけすぎると鼻を、口で捕まえようとすると舌や口の中、喉などを刺されることがあります。毒により強い痛みに襲われ、刺された場所が腫れて呼吸困難になることもあります。アナフィラキシーショックを起こす場合もあります。

 

春の注意点:春に多い病気

くしゃみする犬

 

最後に、春から夏に向けて増えてくる病気をご紹介します。先程ご紹介した生活環境の変化や寒暖差などで心身が弱ると、免疫力が低下して容易に感染したり症状が悪化したりすることもありますので、気を付けましょう。

 

<アレルギー>

犬にもアレルギーがあります。アレルゲンは食べ物やハウスダストの他、寄生虫、花粉や草木なども多く、春先に症状が多発、悪化するケースが多いです。

既にスギ花粉によるアレルギーで苦しんでおられる飼い主様やワンちゃんもおられるでしょう。4月頃から増えてくるカモガヤ、オオアワガエリや5月頃から増えてくるダニ、6月頃から増えてくるヨモギやブタクサなど、アレルゲンは時期により変わっていきます。

高性能な空気清浄機の設置、洗濯物の室内干し、お散歩から帰った後のワンちゃんの体表面や飼い主様の衣服ケアなどの対策を実施し、症状が出た場合はかかりつけの動物病院に連れて来てください。

なお、ノミやマダニの予防は継続的にしっかりと行いましょう。

 

<皮膚炎>

多くの犬は、春と秋に換毛期を迎えます。普段よりもたくさんの毛が抜け、フケもいつもよりたくさん出ます。フケがたまるとフケの油脂成分が酸化し、皮膚炎を起こしやすくなります。

換毛期には、いつも以上にこまめなブラッシングをし、抜け毛や余計なフケを落としましょう。ただし、不慣れなブラシでゴシゴシと強くブラッシングしすぎないように注意しましょう。

 

<胃腸炎>

胃腸炎は通年で多く見られる病気ですが、寒暖差や生活環境の変化などが影響し、春になると多くなる傾向があるようです。

下痢、嘔吐、食欲低下といった消化器系の症状が見られた場合は、かかりつけの動物病院に連れて来てください。

 

<熱中症>

意外と多いのが熱中症です。元々心臓や呼吸器に問題のある子は、激しい寒暖差の影響で熱中症のような症状を起こすことがあります。急な温度変化に身体が対応できず、大きな負担がかかるのです。

ワンちゃんが、「ハッ、ハッ」といった荒くて早い呼吸(パンティング)や湿ったような咳、ぐったりしてきたといった場合は、すぐに動物病院に連れて来てください。

まだそんなに暑くはないからと、ワンちゃんを車内に置いたまま、短時間でも用をしに出ていってしまうようなことも、絶対に避けてくださいね。

 

ポイント

外で寛ぐ家族

 

ポイント

・季節の変わり目の春は寒暖差が激しくワンちゃんの身体に負担がかかります

・飼い主様の生活環境の変化がワンちゃんのストレスになることがあります

・春には楽しいイベントも多いですが、誤飲事故に気をつけましょう

・春になるとワンちゃんに危険な植物や生き物が姿を表します

・ワンちゃんにも花粉症などのアレルギー対策を行いましょう

・換毛期にはこまめなブラッシングを行いましょう

・春になると胃腸炎や熱中症が増えてくるので注意しましょう

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