犬の散歩のトイレマナーを考えましょう
街で見かけるマナーの看板
こんにちは、横須賀市にある「つだ動物病院」院長の津田航です。
学校は夏休みに入りましたが、日本各地で七度目の新型コロナ感染の急増により、子どもたちを安全に、かつできるだけ休みらしく過ごさせるために頭を悩ませている保護者様も少なくないのではないでしょうか。
以前もブログでご紹介しましたが、横須賀・三浦・葉山エリアには、ヴェルニー公園、立石公園、中央公園、観音崎公園、衣笠山公園、くりはま花の国、油壺温泉キャンプパーク、荒崎公園、横堀海水浴場など、ワンちゃんと一緒にお散歩やレジャーを楽しめる場所が揃っています。ワンちゃんやお子様と一緒にこういった施設を利用して、いつもとは少し違ったレジャー感のあるお散歩を楽しむのも良いかもしれません。
ところで、横須賀市の街の中で、A4サイズ程度でプラスチック製の黄色い「街は犬のトイレではありません!」という看板を見かけることはありませんか?横須賀市の動物愛護センターが無料で配布しているもので、犬の糞やおしっこで迷惑している方がおられること、犬の糞を放置することはポイ捨て防止条例に違反すること、ノーリードでの散歩は良くないことを訴えています。
今回は、ワンちゃんとのお散歩におけるトイレマナーについて考えてみたいと思います。
散歩とトイレは切り離して
一昔前までは、散歩とトイレはセットという考え方が多かったのですが、最近は随分と変わってきました。「廃棄物処理法」「軽犯罪法」などの法律や横須賀市のような一部の自治体の条例では、屋外に犬の排泄物を放置することを禁止しています。では、糞を持ち帰れば問題ないのかと言えば、そうではありません。
おしっこのニオイや、おしっこをかけられ続けた電柱や塀などのコンクリートが腐食して起こる事故など、おしっこについても色々と問題視されています。愛犬のおしっこを水で流せばOKとはいかなくなってきているのです。
ワンちゃんも人間社会の中で暮らしているわけですから、人間社会の中のルールに従って生活をしなければ、地域の方々に受け入れていただけません。ワンちゃん自身の行動もそうですし、飼い主様の行動も、地域の方々に対するワンちゃんへのお気持ちを大きく左右する要因となるのです。地域から受け入れられないということは、市役所などへクレームが寄せられるというだけではありません。
最近では、いつ大きな災害が発生してもおかしくない状況になってきています。万が一被災した場合には、できるだけワンちゃんと一緒に避難生活を送りたいですよね。そのためには、犬を飼っていない方々や、犬が怖いと感じている方々にもワンちゃんを受け入れてもらわなければなりません。日頃から、非愛犬家の方々にもワンちゃんを受け入れてもえるようにしておかなければ、避難所に一緒に入ることができなくなってしまうこともあるのです。
非愛犬家の方々に受け入れていただくために最も大きなハードルになるのが、トイレマナーなのです。
散歩におけるトイレマナー
<横須賀市で定めている「犬の散歩のマナー(抜粋)」>
横須賀市では、犬の散歩のマナーについて下記のように案内しています。
・散歩の時間を排せつの時間にするのは好ましくありません。
・排せつは自宅の敷地内で済ませることがマナーです。
・自宅でトイレをできるようにしつけをするようにしましょう。
・他人の家や車、公共の場所にマーキングをさせないようにしましょう。
・もし散歩中におしっこやうんちをしてしまった場合には…
−汚れやニオイが残らないようにしっかりと後始末をしましょう。
−うんちはきちんと拾い、必ず持ち帰って自宅で処分しましょう。
<現在主流となっている犬のお散歩におけるトイレマナー>
横須賀市が定めている犬の散歩のトイレマナーは、決して突出した内容ではありません。今や、日本中の多くの市町村で、同じような内容のトイレマナーが推奨されています。では、もう少し具体的に見ていきましょう。
≫散歩の目的はトイレではありません
ワンちゃんとのお散歩の目的は、ワンちゃんに適度な運動をさせてストレスを発散させること、外界の良い刺激を受けさせて脳やメンタル面を活性化させること、そして飼い主様とのコミュニケーションを深めることです。お散歩の目的に、トイレは含まれません。
≫室内でのトイレトレーニングは必須です
ワンちゃんをお家に迎え入れたその日から必要なトレーニングの1つが、トイレトレーニングです。ワンちゃんがどんな場所にいても、トイレシーツに排泄できるようにトレーニングすることで、悪天候でも室内で排泄させることができますし、公共の場でもトイレ以外の場所への粗相を予防できます。
≫お散歩にはトイレシーツを必ず持参しましょう
お散歩に出かける前には、必ずご自宅でトイレを済ませてから出発しましょう。そうは言っても生理現象です。お散歩中にどうしても我慢ができない場合もあるでしょう。そういう場合に備えて、お散歩バッグの中にはうんち袋、マナー水の他に、必ずトイレシーツも入れておきましょう。ワンちゃんの様子を見て「トイレだな」と思ったら、草むらなどの住宅からできるだけ離れた場所に誘導し、トイレシーツの上に排泄させるようにしましょう。
≫それでも粗相をしてしまった場合は
トイレシーツを広げる等の対処が間に合わずにおしっこをしてしまった場合は、マナー水で流すだけではなく、トイレシーツで拭き取る、クエン酸等の消臭剤を使って消臭するといった対処をすることで、できるだけワンちゃんのにおいが残らないように工夫しましょう。
慣れない場所へのお散歩
冒頭でもご紹介したように、夏休みなどを利用して、ワンちゃんやお子様と一緒に少し遠出をしてお散歩やレジャーを楽しまれるご家庭も多いことでしょう。しかし、初めての場所で緊張したり慣れない食事を口にしたりして、すこしお腹の調子がゆるくなってしまうワンちゃんもいます。そういった懸念がある場合は、お散歩や外出の際にマナーウェアを着用させるということも考えてみてください。
ただし、いきなり慣れない場所で初めてのマナーウェア着用では、ワンちゃんはますます萎縮してしまいます。遠出のお散歩や旅行などを計画したら、いつものお散歩の時に数回マナーウェアの練習をさせておくことをおすすめします。
マナーウェアは、高齢になり寝たきりの生活になった時にも役立つアイテムです。その時にもワンちゃんに抵抗なく着用してもらうためには、日頃から時々使用しておくのが良いと思います。
ポイント
ポイント
・犬の散歩の目的にトイレは含まれません。室内でのトイレトレーニングは必須です。
・糞の持ち帰りは、法律や条例にも定められている最低限のルールです。
・おしっこをしてしまった場合も、ニオイを残さないような後始末が必要です。
・お散歩時には、トイレシーツも必ず持参しましょう。
・慣れない場所でのお散歩では、マナーウェアの着用も検討してみましょう。
・非愛犬家にワンちゃんを受け入れていただくためには、日頃のマナーが大切です。
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