犬や猫にもある花粉症 その症状と対策

犬猫の病気や症状

 

こんにちは、横須賀市にある「つだ動物病院」院長の津田航です。

 

新型コロナウイルス感染拡大の影響でマスクが不足している中、花粉症のシーズンとなって困っておられる飼い主様も多いのではないでしょうか。

実は、花粉症は人に特有の症状ではありません。

 

今回は、犬や猫の花粉症についてお伝えしたいと思います。

 

 

犬や猫も人と同じように、免疫といって外部から体内に侵入した異物から身を守るための機構を持っています。

この免疫システムが、何らかの理由により過剰に反応してしまうことで発症する病気をアレルギー性の病気と言います。

花粉症とはアレルギー性の病気の一つで、原因となる物質(アレルゲン)が花粉であるもののことです。

そのため、アレルゲンとなる花粉が空中に飛散している期間にだけ発症するという大きな特徴がみられます。

 

あるペット保険会社が犬や猫の飼育者719名を対象に2018年に行った調査によると、犬や猫にも花粉症があることを知っておられた方は50.6%と、約半数だったそうです。

人の社会では、花粉症で苦しんでおられる方が大変多いことを考えると、犬や猫の花粉症についての認知度は思ったほど多くはないという印象です。

 

犬の飼育者の花粉症認知度が55.0%、猫の飼育者の花粉症認知度が43.8%であることを考慮すると、完全室内飼いが増えて屋外に出る機会の少ない猫は花粉症になりにくいのかもしれません。

 

しかし、犬や猫の飼い主様があまり花粉症に気づかれない理由の一つに、犬や猫の花粉症の症状は、人の花粉症の症状とは異なっているからということがあるのではないかと思っています。

 

 

人の花粉症は、くしゃみや鼻水といった鼻炎の症状と目の痒みが主な症状ですが、犬や猫の場合は皮膚炎の症状がメインです。

特に犬の場合は鼻炎の症状よりも皮膚炎の症状が多く、猫の方が人の花粉症に近いように感じるかもしれません。

 

そのため、診断名は花粉症ではなく、アトピー性皮膚炎・外耳炎とか、アレルギー性鼻炎・気管支炎、猫ぜんそくなどになることがほとんどです。

もう少し詳しくみると、下記のようになります。

 

<犬や猫の花粉症の症状>

・アトピー性皮膚炎

皮膚炎になると、皮膚が赤くなったり腫れたりして、犬や猫は痒がります。

かきむしるとどんどん悪化していき、脱毛したり皮膚の表面が丘状に盛り上がったりしてきて、水膨れや膿が溜まった状態になり、さらに悪化すると皮膚は黒く、厚くてゴワゴワした状態になります。

皮膚炎は左右対象に分布し、顔(目、鼻、口の周り等)、耳、首の内側、胸からお腹にかけて、脇、股、足先によく現れます。

だいたい、皮膚が薄かったり皮膚と皮膚が重なったりする部分と、お腹側に出やすいと考えれば良いでしょう。

特に顔は、花粉症の症状として現れやすい場所なので、注意して観察しておくと良いです。

 

・アトピー性外耳炎

耳の穴から鼓膜までの間を外耳と言います。この外耳が赤くなったり腫れたりするのが外耳炎です。

花粉症によるアトピー性外耳炎は、犬にはよくみられますが、猫にはあまりみられないようです。

 

・アレルギー性鼻炎・気管支炎

くしゃみや鼻水が出ます。また、特に短頭品種の場合は咳鼻腔狭窄音を発したりもします。

くしゃみや鼻水は人の花粉症の症状とよく似ていますが、犬よりも猫に多く出る傾向があるようです。

 

 

花粉症の原因となるアレルゲンは花粉です。

犬や猫の場合も、アレルゲンは人の花粉症と同じ傾向であることがわかっています。

 

犬や猫の花粉症の原因となる主なアレルゲンとその季節は下記の通りです。

・スギ:2〜4月

・ヒノキ:3〜5月

・カバノキ科(シラカバ、ハンノキ):4〜6月

・イネ:5〜10月

・ブタクサ:8〜11月

 

花粉症の場合、アレルゲンとして注意して頂きたいことがいくつかあります。

 

・スギとヒノキは合わせて一つと考えた方が良い

スギ花粉症の犬は、ヒノキにも強く反応するということが分かっています。

異なるアレルゲンなのですが、同じ形をした部位があるために、体内の抗体がその同じ形をした部位に結合してしまい、アレルギー反応を起こしてしまうためです。

アレルギー検査でスギに陽性反応があった場合、住環境の範囲内にスギはなくてもヒノキがある場合は、花粉症に気をつけた方が良いでしょう。

 

・花粉症のある犬に果物や野菜を与える時は注意が必要

前述のスギとヒノキのところでご説明した「異なるアレルゲンでも同じ形をした部位に抗体が結合してしまう」という反応のことを、交差反応と言います。

食物アレルギーをお持ちの方はご存知かもしれません。

例えば、牛肉がアレルゲンの方は、交差反応が原因で牛乳、鶏肉、羊肉、豚肉、馬肉、兎肉を食べてもアレルギーを起こす可能性があるというものです。

カバノキ科花粉症は、北海道に多くみられる花粉症ですが、この花粉症は、主にバラ科の果実に対して果物(野菜)過敏症がみられるという特徴があります。

果物(野菜)過敏症とは、特定の果物や野菜を食べると口腔や咽頭粘膜の過敏症が生じて、痛みや刺激を感じたり腫れたりしてくるというものです。

この花粉症と果物過敏症が合併したものを、口腔アレルギー症候群と言います。

以前、スギ花粉症の犬が口腔アレルギー症候群を発症したという報告があり、花粉症と口腔アレルギー症候群の関連が注目されています。

花粉症のある犬に果物や野菜を与える際には、注意した方が良いでしょう。

具体的には、下記の果物や野菜等に気をつけるようにすると良いと言われています。

りんご、梨、桃、苺、びわ、さくらんぼ、柿、梅、キウイ、バナナ、メロン、スイカ、オレンジ、にんじん、きゅうり、なす、ピーマン、セロリ、パセリ、唐辛子、ニンニク、大豆、くるみ、アーモンド、ピーナッツ等

 

 

花粉症は、花粉をアレルゲンとしたアレルギー性の病気です。

つまり、アレルゲンとなる花粉が空中に飛散している時期にしか発症しません。

愛犬や愛猫が花粉症かどうかを疑うポイントは、花粉症らしき症状が現れる時期です。

 

毎年このくらいの時期になると症状が現れ、その時期を過ぎると症状がおさまるという傾向がある場合は、花粉症を疑えます。

同じアレルギーでも、別のものがアレルゲンの場合は季節性がみられませんので、そこを意識して観察すると良いでしょう。

 

愛犬や愛猫に花粉症、またはアレルギーの疑いを感じられた場合は、動物病院でアレルギー検査を受け、適切な治療を受けましょう。

 

では、最後に花粉症の場合の対策について触れておきます。

愛犬や愛猫が花粉症の場合、動物病院での治療と併せて下記の対策も行うことで、少しでも症状を軽くできるようにしてあげてください。

 

・アレルゲンとなる花粉の時期を把握する

どの花粉がいつごろ飛散するかについて、大体の時期を把握するだけではなく、テレビやネットの花粉情報をチェックしましょう。

 

・花粉を室内に持ち込まない

完全室内飼いの猫だからといって、花粉症にならないという訳ではありません。

飼い主様が外出から帰宅する時には、玄関の外で衣服をよく払って花粉を落とす等により、室内に極力花粉を持ち込まないように注意しましょう。

 

・洋服の着用

花粉が皮膚に付着するのを防ぐ手段として、洋服を着させるというのも予防策として有効です。

 

・空気清浄機を使用する

どんなに室内に花粉を持ち込まないように注意しても、換気などにより花粉が室内に入ってきてしまうことを完全に食い止めることはできません。

空気清浄機を利用することで、室内に飛散している花粉を減らすことができます。

 

・室内をこまめに清掃する

床や机の上などに落ちている花粉を除去するためには、こまめに掃除機や雑巾掛けを行いましょう。

 

・花粉の飛散が少ない時間帯に散歩をする

犬の散歩は、花粉の飛散が少ない日や時間帯を選びましょう。

風が強い日や晴れて気温の高い日は、花粉の飛散が多いと言われています。

こういう日は、できれば布団や洗濯物を外に干すのを避けた方が良いでしょう。

また1日の内では、お昼頃(14時くらいまで)と夕方(18〜19時くらい)の時間帯に花粉の飛散が多いと言われています。

 

・散歩の後は犬の体の花粉を落とす

散歩から帰ったら、犬の全身をブラッシングしたり拭いたりして、花粉を落とすようにしましょう。

 

・果物や野菜を与えない

前述の通り、花粉症のある犬には、果物や野菜を与えない方が良いでしょう。

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