犬や猫のこんな嘔吐には要注意!┃様子を見ても大丈夫な嘔吐とすぐに受診が必要な嘔吐とは?

犬猫の病気や症状

こんにちは、横須賀市にある「つだ動物病院」院長の津田航です。

 

暑さが厳しい夏の時期、犬や猫に嘔吐の症状が見られることが多くなります。嘔吐は、ちょっとした体調不良から深刻な病気まで、さまざまな原因で発生します。

 

今回は、犬や猫の嘔吐の原因やその対処法、そしてどのような場合にすぐに受診が必要なのかを詳しく解説します。

夏季に嘔吐が増える理由

夏季には、犬や猫の嘔吐が増える傾向があります。その主な理由として以下が挙げられます。

 

熱中症のリスク増加
食欲不振による胃酸過多
水分摂取量の変化
夏特有の食事変化(生ものや冷たいものの増加)

 

これらの要因が複合的に作用し、嘔吐のリスクを高めています。

 

嘔吐の種類〜中枢性嘔吐と反射性嘔吐〜

嘔吐の原因は、大きく2つのタイプに分類されます。それぞれの違いを知り、症状に応じた対処を行いましょう。

 

1.中枢性の嘔吐
これは、脳の嘔吐中枢が直接的に刺激されることで引き起こされる嘔吐です。たとえば、次のような原因が考えられます。

 

脳の外傷
脳腫瘍
尿毒症
肝不全
乗り物酔い
ストレス  など

 

2.反射性の嘔吐
反射性嘔吐は、消化器系や内臓からの信号が脳に伝わり、嘔吐を引き起こすものです。こちらは比較的日常的に見られる嘔吐で、主な原因として以下のものが挙げられます。

 

毛玉の嘔吐
食べすぎ
異物の誤食
膵炎
消化不良
ウイルスや感染症  など

 

嘔吐と吐出の違い

嘔吐と似た症状に「吐出」があります。以下が主な違いです。

 

嘔吐 吐出
定義 胃や小腸から内容物を吐き出す現象 胃に到達する前の未消化の食べ物を吐き戻す現象
吐き出されるもの 胃液、胆汁、消化途中の食べ物 未消化の食べ物が粘液に覆われた状態
吐く様子 肩を上下させ、ウッウッという動作と共に吐く 苦しさや前兆がなく、突然吐き戻す

 

注意:うさぎは構造上、基本的に嘔吐できません。うさぎが吐き戻した場合は、ほとんどが吐出だと考えられます。

 

犬や猫が嘔吐した場合〜様子を見ても大丈夫なケース〜

嘔吐をしても必ずしもすぐに動物病院に行く必要があるわけではありません。以下のような場合は、家庭で様子を見ながらケアをすることが可能です。

 

1. 空腹が原因で白い泡や透明な液体を吐いた場合
空腹が続いた場合、犬や猫は胃液を吐くことがあります。白い泡や黄色い液体(胆汁)が混ざっている場合も、空腹が原因であることが多いです。

 

【対処法】
食事の量を小分けにして、1日の回数を増やすことで、嘔吐が頻発するのを防げます。特に空腹が原因で嘔吐する場合、食事のタイミングを調整するだけで十分な場合が多いです。

 

2. 草を食べた後の嘔吐
犬や猫は、胃の中の異物を吐き出すために草を食べることがあります。特に胃酸が過剰に分泌されていると、草を食べてその刺激で嘔吐を引き起こすことがあります。草を食べて吐いた場合、毒性のない植物であれば特に心配する必要はありません。

 

【対処法】
胃酸過多を予防するために、空腹時間を短くすることが有効です。

 

3. 食事直後に少量の嘔吐が見られる場合
食べ過ぎや急いで食べた場合、犬や猫は一時的に未消化の食べ物を吐き戻すことがあります。これも、元気や食欲があれば、特に大きな問題ではありません。

 

【対処法】
食事量を調整し、急いで食べないようにするために、食事を数回に分ける工夫をしましょう。また、早食い防止の食器に変更するなども良いでしょう。

 

嘔吐の種類と見分け方 ~受診が必要なケース~

嘔吐の種類によっては、すぐに動物病院での診察が必要な場合もあります。次に、症状が深刻な嘔吐について説明します。

 

1. 嘔吐を繰り返す場合
1日に何度も嘔吐を繰り返したり、嘔吐が続く場合は、腸閉塞や胃腸の重篤な障害が疑われます。

 

2. 嘔吐物に血が混じっている場合
嘔吐物に血が混ざっているまたは赤茶色の嘔吐物が見られた場合は、内臓出血や腸閉塞が原因である可能性が高いです。

 

3. 嘔吐物が便のようなにおいをしている
嘔吐物のにおいが便のようだという場合は、腸閉塞の可能性が高いです。

 

4. 元気がなく、食欲が低下している場合
嘔吐と同時に元気がない、食欲が落ちている場合は、深刻な病気が関与している可能性があります。特に高齢のペットでは、腎不全や腫瘍が隠れていることがあります。

 

嘔吐時に確認すべきポイント ~動物病院に行く前に~

嘔吐が見られた場合、動物病院での診察をスムーズに進めるために、以下の情報を整理しておくと良いでしょう。

 

何を、どのくらい吐いたか
嘔吐の頻度や回数
嘔吐前後の様子
食事の内容や変化
誤飲や中毒の可能性はあるか
嘔吐以外の症状

 

これらの情報があると、診断がスムーズに進み、早期治療が可能になります。

 

犬や猫の嘔吐を予防するためには

日常の生活環境を整えることで、嘔吐のリスクを軽減できます。以下のポイントに気をつけましょう。

 

1.食事の管理:急な食事の変更や食べすぎに注意し、小分けでの食事を心がけましょう。
2.中毒性のあるものを避ける:観葉植物や食べ物、薬など、犬や猫にとって危険なものを手の届く場所に置かないようにしましょう。
3.ストレス管理:環境の変化や騒音、来客によるストレスを減らすための工夫が必要です。
4.水分補給:新鮮な水をいつでも飲めるようにし、特に外出後や運動後は十分な水分補給を行うようにしましょう。

 

まとめ

・夏季には熱中症や胃酸過多などにより、犬の嘔吐が増加する。
・嘔吐には中枢性と反射性の2つのタイプがあり、それぞれ原因と対処が異なる。
・空腹や草を食べた後の嘔吐は、家庭で様子を見ながら対処可能な場合がある。
・1日に何度も嘔吐を繰り返す、嘔吐物に血が混じっている、便のような匂いがする場合はすぐに受診が必要。
・食事管理や中毒物質の回避、ストレスの軽減が嘔吐予防に効果的です。

 

横須賀・三浦・逗子・葉山エリアを中心に診療する動物病院
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