犬猫の避妊・去勢手術 メリットデメリットについて

 

 

こんにちは、横須賀市にある「つだ動物病院」院長の津田航です。

今回は犬の避妊・去勢手術についてお話しします。
飼い主様にとって、大切なワンちゃんの避妊・去勢手術をするタイミングやその際の注意点は気になるところではないでしょうか?

実は、犬の避妊・去勢手術はオスとメスでそのお勧めする時期が異なります。
手術をすることで予防できる病気の種類が違うからです。
まずは去勢手術をするのに相応しい時期、メリット・デメリット、注意点について説明します。

オスはペットショップやブリーダーから受け取り、3~4カ月でフィラリア予防、ワクチン接種、狂犬病の予防接種を済ませてから、生後6カ月以降に去勢手術をしています。
ただし、急いで手術をする必要はありません。
去勢手術をすると犬の寿命が長くなるというデータが出ていますが、当院では、早いと6ヶ月齢からの手術も可能ですが、 ある程度骨格が出来上がった10〜12ヶ月齢での手術をお勧めしています。

睾丸は精子を作るだけではなく男性ホルモンも分泌しています。男性ホルモンは成長にも関係しているからです。
去勢手術をすると、前立腺肥大、会陰(えいん)ヘルニア、肛門周囲線種などの病気を予防できますが、いずれも命に関わるリスクは低く、症状が出始めてから手術をしても間に合います。
避妊手術を済ませていないメスが同居している、散歩中にマーキングばかりして飼い主様が苦痛など、特別な理由がない限り、犬の成長が終わる生後1才くらいまで手術を急がなくても大丈夫です。
僕は10年くらい前にゴールデンレトリーバーを飼っていましたが、必要性を感じなかったため、去勢手術をしませんでした。

 

動物病院で犬の飼い主様に去勢手術を急ぐ必要はないと説明すると、「え、早く手術を受けなくてはいけないのでは?」と驚かれることがよくあります。
しかし、当院では去勢手術の相談を受けると、「早く手術をしたい理由はありますか?」と必ず質問するようにしています。
飼い主様がマーキングで悩んでいる場合、去勢手術をすると9割以上の確率でゆっくり散歩ができるようになり、ストレスが減るため話を進めますが、漠然と早く手術を受けさせたいと考えていらっしゃるとしたら、そこまでの必要性はないと説明しています。

ちなみに、オスが立って壁に脚をあげておしっこをするのは去勢手術をしてもあまり変わらないという話も聞きます。
当院では、「去勢手術をすると前立腺肥大などの病気を予防することができます」と患者さんに説明しますが、特に問題がない限り、オスのワンちゃんに急いで手術することを強くおすすめしていません。

 

オスの去勢手術を急ぐ必要がないという事実に驚いていらっしゃる飼い主様が多いのではないでしょうか。

 

次にメスの避妊手術をするのに相応しい時期、メリット・デメリット、注意点について解説します。
メスもオス同様、当院では生後6カ月以降に避妊手術をしています。
結果から申し上げますと、メスは早期に避妊手術をした方が良いです。

初回の発情出血(人間に例えるなら最初の生理)を迎える前に避妊手術をすると、手術をしないメスに比べて乳がんにかかるリスクが120分の1くらいまで大幅に下がるからです。
※乳がんは命に関わる病気
そのため、メスの飼い主さんから避妊手術の相談を受けた場合、早めに手術をする方向で話を進めます。

 

ただし、発育が早いメスは生後6~7カ月で最初の生理が来るため、避妊手術を予定していた時期に重なることがあります。
その場合は2カ月くらい落ち着くまで待ちます。
犬の妊娠期間は生理から約2カ月続くのですが、女性ホルモンの分泌が盛んな時期に手術をすると、ホルモンバランスを崩して体に負担がかかるのも延期する理由のひとつです。
生理前の避妊手術ほどではないにしろ、最初の生理から次の生理までの間に避妊手術を受けると、手術をしないメスに比べて乳がんにかかるリスクが20分の1くらいまで下がります。

 

避妊手術は卵巣と子宮を取り除くので、乳がんと同じく、命に関わる病気として知られる子宮蓄膿症も予防できます。
子宮蓄膿症は卵巣から出るホルモンの分泌バランスの乱れが原因と言われています。
また、乳がんの手術をする際、卵巣も摘出すると元気になって若返ることがあります。
卵巣がおかしくなっているせいで乳腺に腫瘍ができるわけですから、摘出すると根本的な問題の解決につながります。

 

メスは子犬を産まないとしたら、避妊手術を受けておいた方が病気予防のためになります。

 

このように、犬の避妊・去勢手術はオスとメスで適正時期、メリット・デメリット、注意点がかなり異なります。