猫ちゃんも動物病院に連れて来て!

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猫の受診率が低い理由

動物病院のイメージ画像

 

こんにちは、横須賀市にある「つだ動物病院」院長の津田航です。

 

一般社団法人ペットフード協会の調査では、2014年に猫の飼育頭数が犬の飼育頭数を上回って以降、現在もその傾向が続いています。しかし残念なことに、動物病院に来院される患者様の内訳を見ると、ワンちゃんよりも猫ちゃんの方が少ないのが実情です。これは当院に限った話ではなく、全国的に同じ傾向です。

 

犬ほどではありませんが、猫も人と一緒に暮らし始めてから長い年月が経っています。その割には、猫は野生で暮らしていた頃の習性を色濃く残しています。そのため、自由気ままに生きているように思われている猫も、実はとても繊細でストレスを受けやすく、また泌尿器系の病気にもかかりやすいことが分かっています。

 

つまり日々の健康管理の大切さは、犬だけではなく猫にとっても同じなのです。しかし、猫は臆病なために外に連れ出すことが難しく、時として攻撃的になったり逃走したりすることもあるため、なかなか動物病院に連れて来てもらえないことが多いです。中には「動物病院に連れて行くのはかわいそう」だと考えておられる飼い主様もいらっしゃるようです。

 

そこで今回は、猫も犬と同じように定期的に動物病院に連れて来ていただきたい理由や、そのための工夫点などについて、お話したいと思います。

 

大切な愛猫の健康管理

猫の体重測定

 

猫が病気にかかっても、飼い主様がなかなか気付けないことが多いです。なぜなら猫は、自分の身を守るために他者に弱みを見せないからです。もう一つの理由として、猫は普段から寝ていることが多いため、具合が悪いのかお昼寝をしているのかの区別が付きづらいからという面もあるでしょう。そのため、誰が見ても具合が悪いと気付くような状態になった時には、猫ちゃんの病気がかなり進行してしまっていることが少なくありません。

 

矛盾しているように聞こえるかもしれませんが、人もワンちゃんも猫ちゃんも、病気が重ければ重い程、治すためには体力が必要です。普段から健康な体を作っておき、薬や手術などを含めた治療に耐えられるだけの体力を蓄えておくことで、より効果的な治療方法を選ぶことができるからです。逆にいうと、病気をできるだけ早く発見し、まだ軽い状態で治療を始められれば、体への負担が軽い治療方法を選べるのです。

 

病気の早期発見、早期治療が大切だといわれているのは、そのためです。しかし前述の通り、他者に弱みを見せない猫の習性は、病気の早期発見を妨げる大きな要因なのです。だからこそ、猫ちゃんの健康寿命のために、動物病院と連携した日頃の健康管理がとても大切になってくるのです。私が猫ちゃんの健康管理として大切な3本柱だと考えている内容を下記にまとめますので、参考になさってください。

 

<猫ちゃんの健康管理の3本柱>

①ご自宅での観察とチェック

 ・毎日のスキンシップで体中を触り痛みの有無や体表の変化を確認

 ・排泄物(量・回数・状態)をチェック

 ・食欲と飲水量に変化がないかをチェック

 ・外観(毛艶・皮膚の状態・目やに・鼻水・よだれ等)に変化がないかをチェック

 ・普段の様子(行動)を把握

②健康時の数値把握

 健康な時から定期的な健康診断で各種数値を把握

 (体重・体温・呼吸数・心拍数・血液検査・尿検査・画像検査等)

③定期的な予防接種

 逃走リスクや災害時の避難も考慮し、完全室内飼育でも定期的な予防接種が必要

 

連れて来るための準備

キャリーバッグに慣れさせる

 

猫ちゃんの健康管理の3本柱として挙げた②健康時の数値把握に関しては、猫ちゃんが健康な時から定期的に動物病院にお越しいただき、健康チェックや健康診断を受けていただくことが必要になります。

 

ワンちゃんの場合は、毎年狂犬病の予防接種を受ける必要がありますし、お散歩で外に出ることも多いため、混合ワクチンによる予防接種も定期的に受けに来てくださるため、そういった機会に一緒に健康チェックや健康診断を行うことができます。

 

しかし猫ちゃんには義務付けられた予防接種もなく、外に出る機会が殆ど無い暮らし方が定着しているため、飼い主様が猫ちゃんを動物病院に連れてくる理由なかなかみつからないのでしょう。これが猫ちゃんの受診率の低さにつながっているのだと思います。

 

しかも、猫ちゃんは縄張りの外に出ると非常に警戒して緊張するため、逃走してしまったり攻撃的になってしまったりすることも多いため、家の外に連れ出したくないという飼い主様も多いようです。

 

猫ちゃんにとって動物病院に来ることへのハードルは、「移動」「動物病院という知らない場所」「病院スタッフという知らない人」という3つのストレスだと言えます。そのため、できるだけ猫ちゃんを緊張させずに連れて来てもらうために、普段から下記のような練習をしていただくことをおすすめします。

 

<移動のための練習>

・猫ちゃんの生活環境内にキャリーバッグを出しておき、自由に出入りさせる

・キャリーバッグに入れるようになったら、扉を締めて中で遊ばせる

・キャリーバッグに慣れたら、バッグに入れて近所を散歩する

・車で移動する場合はバッグに入れてドライブをする

 

<動物病院という知らない場所のための練習>

・普段から飼い主様が全身を触ることで、触られることに慣れさせる

・数回院内見学に訪れていただき、動物病院に慣れさせる

・病院に慣れてきたら、体重測定や健康相談などの痛くない内容で受診する

 

<病院スタッフという知らない人のための練習>

・ご友人に協力してもらい、ご自宅に遊びに来てもらい知らない人に慣れさせる

・院内見学の際に、待合室でスタッフとコミュニケーションを図る

 

動物病院の活用方法

病院スタッフと猫

 

動物病院で飼い主様が緊張されていると、その様子を見た猫ちゃんは益々緊張してしまいます。ですから、まずは飼い主様にリラックスしていただきたいと考えています。しかし、病院嫌いの飼い主様もいらっしゃることでしょう。そのような場合は、まず飼い主様だけでご来院いただき、猫ちゃんに関するご相談をしていただければと思います。そうすることで、飼い主様ご自身に動物病院を信頼していただき、緊張を振り払っていただけると考えています。

 

猫ちゃんと一緒でなければ病院に行ってはいけないと思われている方もいらっしゃるようですが、そんな事はありません。飼い主様だけいらしてのご相談や、ご自宅で採取された便や尿の検査にもご対応できます。まだ猫ちゃんを病院に連れて来る自信がない場合は、どうぞご相談ください。待合室での猫ちゃんとスタッフの交流も、ご相談いただければ対応可能です。

 

子猫か成猫かに関わらず、お家に迎えたばかりの猫ちゃんには、なるべく早めに健康状態のチェックを受けることをおすすめしています。猫ちゃんが動物病院やスタッフに慣れることにもつながりますし、健康な状態の継続的な把握の第一歩となるためです。飼い主様と猫ちゃんとの生活スタイルなどを伺いながら、日常的なアドバイスや必要な予防接種の種類や時期などのご相談にも対応いたします。

 

猫ちゃんが動物病院に慣れてくれるためにも、健康寿命を伸ばすための健康管理の一環としても、定期的な健康診断と定期的なワクチン接種の習慣化は大切です。本格的な受診の前の「慣らし期間」からのお付き合いを通して、飼い主様や猫ちゃんとの信頼関係を大切に築いていきたいと考えておりますので、ご心配事項やご要望がございましたら、なんなりとお申し付けください。

 

ポイント

診察中の猫

 

ポイント

・外に出ることで強いストレスを感じる猫でも、動物病院に連れて来てください

・普段外に出ない猫にも、定期的な予防接種が大切です

・健康寿命を伸ばすためには、定期的な健康診断が大切です

・動物病院では猫に関するさまざまなご相談にお応えします

・動物病院に来るためのハードルは、「移動」「知らない場所」「知らない人」の3つです

・3つのハードルは事前の練習で克服できます

・飼い主様と愛猫の健康寿命のために、動物病院を上手に活用してください

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