安全に楽しみましょう、愛犬との雪遊び!

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愛犬と楽しむ雪遊び

喜んで雪の中を散歩する犬

 

こんにちは、横須賀市にある「つだ動物病院」院長の津田航です。

 

2022年の気象庁のデータによると、年間の降雪日数ランキングは1位が北海道(札幌)の112日、最下位の47位は沖縄県(那覇)の0日でした。ただし、46位の宮崎県(宮崎)は2日、44位の鹿児島県(鹿児島)と静岡県(静岡)でも3日と、年間で1日も雪が降らなかったのは沖縄県だけでした。

 

沖縄県は積雪の記録が殆どありませんが、1977年2月17日に久米島でみぞれが、2016年1月24日に名護市と久米島町でみぞれが観測されたそうです。ちなみに、神奈川県(横浜)は37位で、降雪日数は11日でした。

 

このように、地域による違いは大きいですが、日本の多くの地域では雪が降ります。小雪がちらつく日の散歩や薄っすらと積もった雪道の散歩など、豪雪地域ではなくてもワンちゃんに雪遊びを味わって貰える機会はあるでしょう。もちろん、旅行が大好きなワンちゃんであれば、豪雪地域に出かけてワンちゃんと一緒にスキー、ソリ、スノーシューなどの本格的な雪遊びや雪の中のドッグランなどを堪能することもできるでしょう。

 

積もった雪を踏みしめる感触や冷たさ、空から降ってくる雪や枝からバサッと落ちる雪の塊、いつもと同じ場所なのに雪に閉ざされていつもとは異なるニオイがする世界になるなど、雪はワンちゃんにとってとても刺激的な環境を作り出してくれます。

 

ただし、雪の下には危険が隠れているかもしれませんし、雪の中での遊びは普段よりも体力が必要で、ケガや体調不良を招きやすいことも事実です。また、犬種やワンちゃんの状態によっても雪遊びへの向き・不向きも出てきます。そこで今回は、ワンちゃんと安全に雪遊びを楽しむために注意していただきたいポイントをご紹介します。

 

雪遊びに向き不向きの判別

カートの中で雪を楽しむ犬

 

◯犬種別による判別

寒い国を原産国とする犬種は寒さに強く、雪遊びに向いている犬種だと言えます。具体的に挙げると、バーニーズ・マウンテン・ドッグ、グレート・ピレニーズ、サモエド、シベリアン・ハスキーなどです。ダブルコートと呼ばれる二重構造の被毛を持っていることや、体格が大きな犬が多いことなどが特徴です。

 

また、ラブラドール・レトリーバーやゴールデン・レトリーバーといった水猟犬も、雪遊びを楽しめると考えられています。

 

逆に、トイプードル、チワワ、パグ、パピヨン、ポメラニアン、ブル・テリア、イタリアン・グレーハウンド、ミニチュア・ピンシャー、フレンチ・ブルドッグなどのシングルコートや体格が小さい犬は寒さに弱く、雪遊びには不向きな犬種だと言えます。とは言え、雪遊びをさせてはいけないというわけではありません。疲れきる前に短時間で遊びを切り上げ、より注意深く遊ぶことが大切です。

 

◯犬種以外の要素での判別

犬種に関わらず、まだ幼い犬やシニア犬は、寒さに弱く体力もないため、雪遊びには向いていません。窓から雪景色を楽しませる等、普段とは異なるちょっとした刺激を与えるために上手に活用する程度にとどめておきましょう。

 

まだ幼い犬の場合は、雪の中で本格的に遊ばせるのは体力がつくまで待った方が良いでしょう。シニア犬をカートに入れて散歩をする場合でも、防寒対策には特に注意をはらってください。

 

雪遊び中の注意事項

防寒服を着て雪遊びする犬

 

◯いきなり雪の中に放さない

私たちがプールで泳ぐときにいきなり飛び込んだりしないのと同じように、ワンちゃんが興奮してもいきなり雪の中に飛び込ませないでください。徐々に寒さに体を慣らしてから、遊び始めましょう。

 

◯低体温症やしもやけの予防

普段室内で暮らしているワンちゃんは、寒さに対する対応力が弱っていることが多いです。犬種だけで「寒さに強い」と過信せず、愛犬の様子をよく観察しながら、適切な対応を取ってあげましょう。

 

最近は、防水や防寒に優れたウェアやシューズが市販されていますので、上手に利用してください。毛玉に雪の塊ができてしまうと簡単には取れず、皮膚を傷つけたり低体温症を招いたりしかねません。また直接肉球で雪の上を歩かせると、しもやけになってしまうこともありますので、しっかりと対策した上で雪遊びをさせましょう。

 

◯雪眼炎の予防

ワンちゃんと一緒にウィンタースポーツを本格的に楽しみたい場合は、紫外線による雪眼炎の予防にも気を遣ってあげましょう。慣れるまでは嫌がるかもしれませんが、犬用のサングラスやゴーグルも市販されています。雪の中で長時間遊んでいると、角膜が雪に反射した光の紫外線にさらされます。雪遊びをした数時間後に目を痛がったり涙を流したり目を開けづらそうにしたりしていたら、すぐに動物病院で診察を受けましょう。

 

◯こまめな体調チェック

どんなに防寒着やペットシューズ、犬用のゴーグルなどで対策を施したとしても、やはり飼い主様が直接ワンちゃんの状態をこまめにチェックすることが大切です。寒がっていないか、雪の下に埋まっていた枝やガラスの破片などでケガをしていないか、体に雪玉が付いたり肉球が赤く腫れたりしていないかなどを、こまめにチェックしてください。

 

また、いくら寒くても水分の補給は必要なので、時々水を飲ませることも忘れないでください。雪の上を歩いたり走ったりするのは体力を要するので、遊び時間を早めに切り上げる、こまめに休憩を挟むといった配慮も大切です。

 

さらに、豪雪地域は道路に融雪剤を撒いていることが多いです。融雪剤にはワンちゃんの皮膚を荒らしたり舐めると中毒症状を引き起こしたりする成分が含まれているため気をつけましょう。慣れない場所で遊ぶのですから、決してワンちゃんから目を離さないようにしてください。

 

雪遊びのアフターケア

疲れて脚を投げ出している犬

 

雪遊び中の注意事項を守ってワンちゃんと雪遊びを十分に楽しんだ後は、しっかりとアフターケアをしてあげましょう。体についた雪玉を溶かして取り除き、体をしっかりと乾かします。タオルドライだけでは十分に乾かない場合は、ドライヤーも使って優しい風で乾かしましょう。

 

足先も、傷の有無などをチェックしながらしっかりと乾かし、最後は肉球クリームでしっかりと保湿してあげましょう。ひび割れなどを防ぐためにも、保湿は大切です。

 

そして、雪遊びで疲れたワンちゃんをゆっくりと休ませてあげましょう。数日の間は普段以上に注意深く観察してあげて、少しでも体調に違和感を感じた場合はすぐにかかりつけの動物病院で診てもらってください。

 

さまざまな刺激を受けることで、ワンちゃんは身体機能や五感を磨きます。あまり雪の降らない地域にお住まいの場合、雪が降った日には積極的に外で雪遊びをしたり、長期休暇を利用して雪の多い地域に旅行したりすることで、ワンちゃんにたくさん雪遊びを体験させてあげるとよいでしょう。

 

ポイント

雪の中のボール遊び

 

ポイント

・地域差はありますが、日本の多くの地域で雪を体験することができます。

・雪は普段とは異なる刺激を味わえるため、ワンちゃんに積極的に雪遊びを体験させてあげるとよいです。

・犬種や年齢、健康状態によって、ワンちゃんにも雪遊びの向き不向きがあります。

・寒さに体を慣らしてから雪の中に出してあげましょう。

・雪遊び中は低体温症やしもやけに気をつけましょう。

・雪の照り返しなどによる強い紫外線から守るため、目の保護も考えましょう。

・遊び終わった後は、アフターケアも忘れずに行いましょう。

・雪遊びで、ワンちゃんに普段は味わえない刺激を思いっきり楽しませてあげましょう。

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