梅雨時は下痢と耳や全身のかゆみに要注意!

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梅雨時特有の注意事項

雨の日に外を眺める猫

 

こんにちは、横須賀市にある「つだ動物病院」院長の津田航です。

 

今年は、6月8日に関東甲信地方の梅雨入りが発表されました。平年より1日、昨年より2日遅い梅雨入り発表だそうです。とはいえ雨の日が続いていましたので、「ようやく発表か」と思われた方も多いのではないでしょうか。

 

梅雨(つゆ)は「ついゆ」に由来するという説があります。「ついゆ」とは「ついえる」の文語形で、「だめになる」という意味です。梅雨の時期は暖かく雨の日が多いため、カビ(真菌)や細菌などの繁殖により食べ物をはじめとしていろいろな物が傷んでしまうことが由来だという説です。

 

困るのはカビや細菌の繁殖だけではありません。雨の日が続いて行動が制約されることやジメジメとした体感も、憂鬱になる原因です。それは人だけではありません。ワンちゃんは思うようにお散歩を楽しめず、猫ちゃんは換毛期で飲み込んだ毛玉の吐き出しが続くしで、やはりストレスを溜めやすい時期なのです。

 

これまでにもブログでこの時期の注意点についてお話をしてきましたが、今年も改めて注意点を整理したいと思います。

 

室内の温湿度管理

犬のパンティング

 

この時期、なんといっても大切なのが湿度管理です。ワンちゃんや猫ちゃんは、人よりも体温の調節が苦手です。気温が上がると、人は皮膚にある全身の汗腺から汗をかき、その汗が蒸発する時の気化熱を利用して体温を下げます。しかし、ワンちゃんや猫ちゃんの汗腺は肉球にしかありません。そのため、ワンちゃんは口を開けてハァハァと荒い呼吸(パンティング)で口内を乾燥させ、猫ちゃんはグルーミングのために全身を舐めた時に付いた唾液が乾燥する時に発生する気化熱を利用して体温を下げるのです。

 

口の中の唾液や被毛に付いた唾液を乾燥させたところで、全身の汗を乾燥させるのと比べるとその効果は僅かです。そのためにも、湿度をできるだけ下げることで、ワンちゃんや猫ちゃんの体温調節をサポートしてあげる必要があるのです。

 

ワンちゃんや猫ちゃんが過ごす環境では、常に湿度が60%以下になるように調節しましょう。湿度が低ければ、多少室温がベストな温度(犬は20℃、猫は27〜28℃)より多少高くても、あまり心配する必要はありません。

 

皮膚・被毛関連

猫のセルフグルーミング

 

<皮膚疾患>

梅雨時は、ワンちゃんも猫ちゃんも皮膚の病気にかかる子が多くなります。室温20℃以上、湿度60%以上になるとノミが、室温25℃、湿度70%程度でダニが、それぞれ活発になります。

梅雨時はまさにノミやダニが活発に活動する時期に当たるため、感染には十分な注意と予防が欠かせません。予防薬の投薬を忘れないだけではなく、室内のこまめな掃除と、ワンちゃん猫ちゃんが普段使用している寝具類などのこまめな洗濯などにより、ノミ・ダニの徹底排除に努めましょう。

全身の皮膚のチェックと同時に、耳の状態もチェックしましょう。梅雨時は、ミミヒゼンダニの感染、マラセチアや黄色ブドウ球菌の過剰繁殖などにより、外耳炎の発症も増えます。

 

<毛球症>

夏前の梅雨時は、ワンちゃんや猫ちゃんの換毛期でもあります。冬毛から夏毛へと大々的に被毛が生え替わるため、通常よりもかなり多くの毛が抜けます。そこで注意したいのが、猫ちゃんに多い毛球症です。

猫ちゃんは頻繁にセルフグルーミングや同居猫へのグルーミングを行うため、大量の抜け毛を飲み込んでしまいます。それが胃の中に溜まってボールのような状態になるのが、毛球症です。毛玉を必死に吐き出す猫ちゃんはとても辛そうです。しかしもっと問題なのは、吐き出せない猫ちゃんです。毛球が腸に移動すると、腸閉塞になることもあるためです。吐くことができない体の構造をしているウサギは、猫以上に注意が必要です。

こまめにブラッシングを行い、こまめに掃除機をかけて、飲み込む抜け毛の量を減らすことが大切です。猫ちゃんが吐こうとしているのにうまく吐き出せない場合は、猫草を食べさせる、食物繊維の豊富な毛球症の療法食を利用するなども検討してみてください。

換毛期の注意点については、下記のブログも参考にしてみてください。

<季節の変わり目は換毛期 その理由と注意点>へのリンク

 

その他の注意事項

雨の日のお散歩

 

<食中毒>

気温20℃、湿度70%を超えるような日が増える梅雨時は、雑菌が繁殖しやすく食べ物が傷みやすい時期です。どのご家庭でも、食材の取り扱いやまな板、包丁などの調理器具の管理には、普段以上に注意をされていることでしょう。

ワンちゃんや猫ちゃんの食中毒も同様です。特にウェットフードはとても傷みやすいため、できれば1回で使い切る、できない場合は密封して冷蔵庫に保管し、その日のうちに使い切るようにしましょう。

猫ちゃんの場合は、置き餌をされているご家庭もあるでしょう。置き餌はドライフードのみに限定し、置き場所の環境に注意してください。ウェットフードは置き餌にせず、30分〜1時間を目処に、残っていても下げてください。食器類も毎回きれいに洗いましょう。

万が一ワンちゃんや猫ちゃんの食欲がなくなったり下痢や嘔吐をしたりといった症状が見られた場合は、動物病院に連れて来てください。

 

<ワンちゃんのお散歩>

雨の日が続くといつも通りにお散歩ができず、ワンちゃんがストレスを溜めてしまうことがあります。ストレスは、体調不良や問題行動につながります。なにより、ワンちゃんが強いストレスの中でじっと我慢をしなければならないのはかわいそうですよね。レインコートなどを嫌がらないワンちゃんであれば、レインコートを着させてお散歩に出るのも良いでしょう。

家の中でできる楽しいゲームで運動不足を解消しながらストレスを発散させてあげるのもおすすめです。ロープ状のおもちゃで引っ張り合いっ子をする、小型犬であればクッションや飼い主さんの脚などをうまく活用しながら簡易アスレチックをするといった遊びが良いでしょう。

特に室内でのゲームでは、ノーズワークといってニオイを頼りに隠したおやつをみつけさせる、知育玩具で遊ばせるなどの、ワンちゃんの五感や知恵を使わせるゲームがおすすめです。

 

<気象病>

梅雨時は雨が多くなるため、気圧の下がる日が増えます。気圧が下がると体内の圧も下がり、その影響で血管や関節包などが拡張して血流が滞ったり近くの神経が圧迫されたりします。こういった体の変化を元に戻そうと自律神経が働くことも含めて、体調を崩してしまう症状を気象病と呼んでいます。

気象病は、人や犬や猫などに起きますが、起きやすさや起きる気象条件、症状などはそれぞれに異なります。特に関節炎、腎臓系の疾患、脳神経系の疾患といった持病を抱えている子は、気象の影響で症状が悪化することが多いので注意が必要です。

ワンちゃんや猫ちゃんの症状悪化と気象に関連がありそうだと気付かれた場合も、動物病院で相談してください。症状や発症条件によっては、お薬などでコントロールできる場合もあります。

詳細は下記のブログでも説明していますので、ご興味があればご一読ください。

<気圧の変化がペットに与える影響>へのリンク

 

ポイント

並んで寝る犬と猫

 

ポイント

・梅雨は人にも犬にも猫にもつらい気候です。

・犬にとって快適な室温は20℃、猫にとって快適な室温は27〜28℃です。

・湿度を60%以下に維持できれば、多少室温が高くても大丈夫です。

・ノミ・ダニの駆除に努め、皮膚や耳のチェックもしっかり行いましょう。

・猫の毛球症に注意し、なかなか吐き出せない場合はサポートも考えましょう。

・ペットフードの管理にも注意しましょう。

・ウェットフードは30分〜1時間を目安にし、たとえ残っていても下げてください。

・雨の日のお散歩は、代替えの遊びも含めて工夫を凝らしましょう。

・室内でできる簡単な運動や頭を使うゲームは、犬や猫のストレス解消に役立ちます。

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