犬の散歩コースを固定しない方が良い理由

ブログ

お散歩の効能

犬の散歩

 

こんにちは、横須賀市にある「つだ動物病院」院長の津田航です。

 

愛犬家の皆様は、毎日ワンちゃんとのお散歩を楽しまれていると思います。朝晩2回お散歩をされている飼い主様もおられると思います。お忙しい毎日をお過ごしの飼い主様の中には、ワンちゃんとのお散歩コースが固定化してしまい、若干マンネリ化してしまっておられる場合もあるかもしれません。

 

ワンちゃんとのお散歩の大きな効能の一つが、運動不足の解消です。そのため、たとえコースが固定化してしまい、マンネリ化してしまったとしても、お散歩としてはあまり問題がないと思われている飼い主様もいらっしゃると思います。

 

実は、毎日同じコースをお散歩するのではなく、たまにはいつもと違うコースをお散歩することが、ワンちゃんにとってもとても良い影響があるのです。お散歩には、ワンちゃんにとって新しい刺激を受け、頭や五感を使うことで得られるストレス発散効果もあるからです。

 

今日は、ワンちゃんとのお散歩コースを固定しない方が良い理由について、お話しします。参考にしていただき、ワンちゃんとの楽しい毎日に活かしていただければと思います。

 

溢れる刺激で楽しい毎日!

カートでお散歩

 

毎日同じ時間に起き、学校や会社に行き、勉強や仕事が終わったらまっすぐ家に帰り、身支度をしたらすぐに就寝する。このような生活が365日ずっと続いたら、飽きてしまって肝心の勉強や仕事もあまりやる気にならないのではないでしょうか。

 

それは、ワンちゃんも同じことです。毎朝起きてご飯をもらい、お散歩。飼い主様が学校やお仕事に行かれたら独りでお留守番。飼い主様が帰宅されたらお散歩をしてご飯。食後に少しコミュニケーションタイムがあり、就寝。これが毎日の日課だとしたら、ワンちゃんにとってとてもつまらない毎日になりそうです。

 

特にお留守番の時間が長いワンちゃんにとって、最大のお楽しみはお散歩のはずです。家の外の世界で好奇心がくすぐられる出来事に出会うことで、ワンちゃんはワクワクドキドキの毎日を送り、イキイキと暮らすことができるからです。

 

ただ、ワンちゃんにとって最も刺激的なお散歩タイムがマンネリ化してしまったらどうでしょう。毎日通うことでお散歩コースが自分の縄張りだと思っているワンちゃんにとって、縄張りの監視はとても大切なお仕事です。そのため、縄張りを監視しなくてはという使命感でお散歩には行きたがりますが、その内容はあくまでも縄張りの監視でしかなく、あまりワクワクドキドキするような楽しい時間ではなくなってしまうでしょう。

 

また、毎日同じような変化のない毎日を過ごすのではなく、たまに新鮮な刺激を受けることで、ワンちゃんの脳も活性化されます。人間と同じで、ワンちゃんの脳も適度な刺激で活性化されると、認知症の予防につながります。そのためワンちゃんが高齢化により自力ではお散歩に行けなくなってしまった場合も、カートなどを利用して外に連れ出し、なるべくいろいろなニオイや音などの刺激を与えるためにお散歩をさせてあげることをおすすめします。

 

他にもこんな効果が!

猫と挨拶

 

お散歩に変化をつけることでワンちゃんに与える新しい刺激は、脳を活性化するとお話ししました。似たように思われるかもしれませんが、これらの刺激は直接ワンちゃんの嗅覚、聴覚、視覚、触覚を刺激します。刺激されることでこれらの器官の機能は維持され、向上が図れます。

 

人間は、五感の内の8割程度を視覚に頼っています、しかしワンちゃんの場合は、4割が嗅覚、3割が聴覚、そして視覚が2割程度だと言われています。例えば、嗅覚の変化で、食の好みが変わったり、食欲が無くなったりもするのです。そのため、なるべく新しい刺激を与え続けることで、ワンちゃんの五感を刺激し、身体機能の老化も予防してあげましょう。

 

最後にもう一点、お散歩コースを固定化しない方が良い理由をお話しします。毎日同じコースをお散歩することで、ワンちゃんはそのコースを自分の縄張りだと認識します。前述の通り、ワンちゃんは自分の縄張りを監視しなければ落ち着きません。お散歩に行くという楽しみよりも、自分の縄張りを監視し、守るという義務感でお散歩に出かけるようになってしまいます。そうすると、すれ違った人や他の犬に吠えたり、時には攻撃的な態度を見せたりするようになってしまう場合もあります。

 

なによりも、ワンちゃんにワクワクドキドキの楽しい毎日を過ごしてもらいたかったお散歩が、ワンちゃんの仕事になってしまうのです。これではせっかくのお散歩が、ワンちゃんにとってのストレスにもなりかねません。そこで、毎日のお散歩コースに少し変化をつけてあげることで、縄張り意識の軽減化を狙うことができます。

 

では次に、毎日のお散歩がワンちゃんにとってワクワクドキドキできる刺激的な楽しみになるような、工夫の仕方について考えてみます。

 

少しの変化で効果あり!

水辺の散歩

 

お散歩に変化を与えると言っても、毎回全く違うコースをお散歩しましょうということではありません。ちょっとした変化で良いのです。たとえば、次のような変化をつけてあげることを考えてみてください。

 

・いつもと同じコースを、反対周りでお散歩してみる

・コースの一部を変更して、別の道を通ってみる

・時間に余裕がある場合は、公園などの少し自由に遊べるところに寄り道してみる

 

そして、できればちょっと毛色の異なるコースをいくつか用意しておいて、そのコースをランダムに変更してみてください。毛色の異なるコースというのは、舗装道路がメインのコース、途中で土や芝生の上を歩けるコース、木の根がゴツゴツしているところで遊べるコース、畑や水辺の近くを歩けるコース等です。

 

また週末や長期休暇を上手に使って、近くのドッグランを利用したり、少し遠出をしたりしてみても良いでしょう。ご家族みんなで泊りがけのキャンプなども楽しいでしょう。普段のお散歩ではちょっとした変化を加える、ゆっくり時間の取れる時には少し大き目の変化を与えてあげるというのも、メリハリがあって良いと思います。

 

とにかくワンちゃんとのお散歩は、しっかりと運動ができ、お家の中では受けられないようなさまざまな刺激を受けることで、脳も身体も心も活性化されてワクワクドキドキした楽しい毎日を過ごすためのものだと考えて、いろいろと工夫をしてみてください。飼い主様とワンちゃんとが共に楽しくお散歩をすることで、信頼と愛情の絆も深まるはずです。

 

ポイント

散歩中の一休み

 

ポイント

・お散歩のコースに少し変化を加えることで、ワンちゃんの好奇心を満たす効果が期待できます

・お散歩のコースに少し変化を加えることで、ワンちゃんの認知症予防効果も期待できます

・お散歩のコースに少し変化を加えることで、ワンちゃんの身体機能の老化防止効果も期待できます

・お散歩のコースに少し変化を加えることで、縄張り意識の軽減効果も期待できます

このページをシェアする

カテゴリー