猫に留守番をさせる時の注意点

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猫は留守番で寂しいの?

甘える猫

こんにちは、横須賀市にある「つだ動物病院」院長の津田航です。

 

猫には、縄張りの中で群れを作らずに暮らしていた猫の祖先の習性が引き継がれているとことがよく知られています。しかも、狩りに備えて1日の大半を寝て過ごします。そのため、猫は単独で留守番をしても、あまり大きなストレスを感じていないと考えられています。

 

しかし、2017年に公開されたスウェーデン農業科学大学の研究チームの論文には、長時間飼い主様と離れていた猫は、短時間離れていた猫よりも帰宅後の飼い主様に対する社会的交流行為が増えたという実験結果が報告されました。

 

留守番中の猫の様子には違いが認められませんでしたので、この結果で「留守番中猫は寂しいのだ」とは言い切れません。しかし長時間の留守番が影響を与えていることは事実のようです。帰宅後には、いつもより少し多めにスキンシップをすると良いかもしれませんね。

 

今回のお話は、具体的に留守番をさせる際に注意をすべき点に的を絞りたいと思います。家を留守にすることが多い飼い主様のご参考になれば幸いです。

 

留守番の方法

寂しげな猫

前述の通り、猫ちゃんが独りで留守番をしている間の心情は分かりません。しかし、家から外に出られないため、自力で食事を確保できないのは明らかです。そのため、飼い主様が長期間家を空けてしまうことは、猫ちゃんにとっての死活問題です。またきれい好きの猫にとって、飼い主様の不在時間が長くなればなるほど、居心地の悪い環境になっていきます。

 

そのため、短時間の留守番であれば猫ちゃんを独りで留守番させても大丈夫ですが、ある程度長い時間になる場合は、猫ちゃんをお世話してくれる人の助けが必要になってきます。そういった観点では、猫ちゃんの留守番方法は下記を目安に考えると良いでしょう。

 

<自宅>

日帰りまたは1〜2泊程度の場合、ご自宅で猫ちゃんだけで留守番をしてもらえます。

 

<自宅+お世話をしてくれる方>

2泊以上の場合、基本はご自宅で猫ちゃんだけの留守番となります。ただし、信頼できる方に合鍵を預けて、決められた時間に給餌や食器の片付け、お水の取替、トイレ掃除などのお世話をしてもらいましょう。

猫を飼っている、または飼ったことのある知人がいれば、その方にお願いすると良いでしょう。知人にお願いできない場合は、ペットシッターに依頼するという方法もあります。

 

<自宅外に預ける>

この方法も、お留守番が2泊以上になる場合の選択肢です。

預け先としては、知人宅、動物病院、ペットホテルなどが挙げられます。かかりつけの動物病院がペットホテルも行っている、または預かってくれるという場合もありますので、まずは相談してみましょう。特に持病のある子の場合は、かかりつけの動物病院が安心です。

 

自宅留守番時の注意点

コードで遊ぶ猫

それでは、実際に自宅で猫ちゃんに留守番をさせる時の注意点についてお話します。

 

<環境>

まず気をつけるのは、室内の温湿度管理です。当院の場合、猫の入院室は23℃に設定しています。普段飼い主様が寒すぎる場合、湿度を50〜60%に維持できればもう少し高めの温度でも構いません。特に春先から夏にかけては、留守中でもエアコンを使って一定の温湿度に維持しておきましょう。冬場はブランケット等を置いておき、猫が暖まれる場所を用意しましょう。

留守中は自由に行動できるようにしておきましょう。暑すぎる、寒すぎる場合に、狭い場所に閉じ込めずに部屋中を自由に動けるようにしておけば、自分で最も居心地の良い場所を見つけるはずです。

飼い主様の留守中はすぐにトイレを掃除できないため、予備のトイレを増設しておくことをおすすめします。

 

<飲食関連>

長期間置いておいても傷みづらいドライフードを、置いておきましょう。猫は自分で少しずつ調節しながら食べますので、万が一の場合を考え、少しだけ多めに置いておくと安心です。

フードやお水をこぼしてしまわないように、ある程度重みのある、安定した形状の食器を使いましょう。

 

<安全確保>

猫は、ほんのちょっとした隙間でも通り抜けられます。留守中に脱走してしまうことが無いよう、窓も含めてしっかりと戸締まりをしておきましょう。また、猫に入ってほしくない部屋のドアも、しっかりと締めて開けられないようにしておきましょう。

万が一の場合に備えて、家具の転倒防止や棚上の置物の落下防止などにも気を配っておきましょう。

 

<事故対策>

留守中の温湿度管理でもっとも活用されているのがエアコンだと思います。しかし、それだけに頼ってしまうと停電などの場合に対処できません。ペット用のクールマットなども併せて活用すると良いでしょう。また、リモコン類も猫ちゃんが触れないところにしまっておきましょう。

誤食や誤飲の可能性のあるものも、猫ちゃんの手の届かないところに片付けておきましょう。ゴミ箱は蓋付きのものがおすすめです。

電気コード類のガード、ガスコンロや浴槽への飛び乗り防止といった配慮も大切です。

猫は僅かな光も有効に活用して夜目が効きますが、全く光が入らない真っ暗闇では見ることができません。夜中でも多少の光源を残すために、常夜灯を点けておくと良いでしょう。

 

<ストレス対策>

猫のストレス対策として、フェロモンを応用した製品や、知恵を使わないとうまく食べられないような知育玩具も市販されています。こういった製品を活用することで、留守中の猫ちゃんが退屈したりストレスを感じたりすることを緩和できるでしょう。

 

お世話を頼む際の注意点

トイレの掃除

最後に、猫ちゃんのお世話を頼む場合や自宅外に預ける際の注意点についてお話します。

 

<自宅+お世話を依頼>

お世話をお願いする方が知人の場合は、普段から遊びに来てもらい、その方に慣らしておきましょう。猫ちゃんは自分の縄張りに居続けられ、かつよく知っている人が食事などのお世話をしてくれるという、理想的な留守番環境になるでしょう。

シッターに依頼する場合、猫ちゃんは自分の縄張りに居続けられますが、飼い主様の留守中に見知らぬ人が時々やってくるという、多少ストレスのある留守番環境になります。

信頼できる会社の相性の良いシッターさんを見つけたら、その後はその方に頼むようにしましょう。徐々に猫ちゃんもシッターさんを覚えて慣れてくるでしょう。

 

<知人宅での預かり>

やはり、普段から時々遊びに来てもらい、その方に慣らしておきましょう。また、猫ちゃんが普段使っているベッドやトイレなど、猫ちゃん自身のニオイがついているものを持参して、猫ちゃんに使わせるようにしましょう。

慣れている方だとはいえ見知らぬ場所での留守番なので、強いストレスを感じているはずです。自分のニオイで猫ちゃんを安心させましょう。

 

<動物病院やペットホテルでの預かり>

それぞれの施設毎にルールや条件がありますので、必ず事前に確認しておきましょう。

また、見知らぬ場所と見知らぬ人なので、ホテルや病院が提供してくれる餌に、猫ちゃんが口をつけないこともあります。そういう場合に備えて、いつも使っている食器やフードを一緒に預けておくと良いでしょう。

また、猫ちゃん自身のニオイがついているものを持って行き、そばに置いておいてもらうのも良いでしょう。

かかりつけの病院であればよく分かっていると思いますが、初めて利用するペットホテルの場合は、事前に実際の設備を見学させてもらっておくと安心です。

 

ポイント

飼い主と寛ぐ猫

ポイント

・1〜2泊程度までの留守番なら、自宅で猫だけの留守番も可能です。

・2泊以上なら、知人またはシッターにお世話を頼みましょう。

・依頼できる人がいない場合は、知人宅・動物病院・ペットホテル等に預けましょう。

・自宅で留守番をさせる場合は、万が一のリスクも考慮した準備が必要です。

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