横須賀の動物病院で受けられる!80列CTで発見できる犬猫の病気

犬猫の病気や症状

こんにちは、横須賀市にある「つだ動物病院」院長の津田航です。

 

飼い主様が愛犬や愛猫の健康を守るために欠かせないのが、病気の早期発見と適切な治療です。近年、この早期発見を大きくサポートしてくれるのが「80列CT」と呼ばれる最新の画像診断機器です。従来のレントゲンと比べ、短時間でより詳細な情報を得られるため、診断の精度が飛躍的に向上しました。

 

この記事では、80列CTの特徴や実際に発見できる病気、検査の流れについてご紹介します。

80列CTとは?最新の検査機器についてご説明

80列CTは、X線装置が体の周囲を360度回転しながらスキャンし、断面を撮影する検査です。レントゲンでは平面的にしか見られない構造を、より詳細に、立体的に把握することができます。この機器の特徴は以下の通りです。

 

短時間で終了する
従来のCTより高速処理が可能で、犬や猫の負担を最小限に抑えつつ、鮮明な画像を得られます。

 

被ばく量の低減
高度な技術により、不要な放射線を減らし、繰り返し検査が必要な場合でも安心です。

 

高精細な画像・3D表示
CT画像は断面図だけでなく、3Dで再構成することも可能です。たとえば腫瘍や結石がどこにどのくらいの大きさで存在するか、骨や関節がどのように変形しているかなど、より立体的に把握できます。

 

無麻酔での精密診断が可能
麻酔を使って撮影するのが一般的ですが、80列CTは撮影時間が短いため、場合によっては無麻酔でも検査可能なケースがあります。麻酔の副作用が心配な高齢の子や持病がある子にも適用しやすい点が大きなメリットです。

80列CTで発見できる犬の病気

・腫瘍(がん)の早期発見
レントゲンや一般的なCTでは見逃されがちな非常に小さな腫瘍や、病変の正確な位置・大きさ・周辺組織への影響などを詳細に把握することが可能です。

 

実症例:結節性病変

こちらは、悪性腫瘍を摘出したラブラドールの胸部レントゲンとCT画像です。レントゲンでは異常は確認できませんが、CTでは左葉に転移が疑われる結節性病変が見つかりました。

・内臓疾患
肝臓や腎臓、膵臓などの内臓疾患も詳しく検査することができます。
特に、胆石や結石の位置や状態を正確に把握できるため、痛みの原因を速やかに突き止めることが可能です。また、肺内部の細かい状態も確認できるため、呼吸器系の病気の診断にも役立ちます

 

・整形外科疾患
骨折や関節炎、椎間板ヘルニアなどの状態を詳細に確認できます。従来のレントゲンでは確認が難しかった微細な骨の損傷や、関節の変形、軟部組織の状態も明らかにすることができます。これにより、リハビリや手術の計画が立てやすくなります。

 

80列CTで発見できる猫の病気

・呼吸器疾患
猫は気管支炎や肺炎、膿胸などの呼吸器疾患を患いやすい動物です。
80列CTは肺や気道の状態を詳細に確認できるため、慢性的な咳や呼吸困難の原因を特定するのに役立ちます

 

・消化器疾患
猫は異物を飲み込むことが多く、腸閉塞や胃腸の炎症を引き起こすことがあります。80列CTを使用することで、竹串などのレントゲンでは見づらい異物の位置や腸管の状態までも正確に把握でき、迅速な対応が可能です。

 

実症例:竹串誤食

竹串などの通常のレントゲンでは映りにくい異物は診断が難しいため、試験開腹の前に80列CTの実施をおすすめします。

犬の胸部のレントゲン画像(左)とCT画像(右)の比較。レントゲンでは骨や内臓の輪郭が確認でき、CTではより詳細な骨と臓器の構造が見える

・泌尿器疾患
腎臓病や尿路結石は特に猫に多い疾患ですが、80列CTではこれらの病変を詳細に検出することができます。特に腎臓の構造や結石の位置を明確にすることで、治療の選択肢を広げることができます

 

検査の流れ

1.事前準備と問診
まずは飼い主様から愛犬・愛猫の体調や症状、既往歴などを詳しく伺います。続いて血液検査や身体検査などを実施し、CT検査が適切かどうかを確認します。

 

2.麻酔の実施
CT検査ではペットが完全に動かない状態を保つ必要があるため、基本的には全身麻酔を使用します。麻酔の安全性を確保するために、術前検査で体調を詳細に確認します。

 

※80列CT検査は撮影時間が短いことから、無麻酔での実施も可能な場合があります。麻酔の使用については獣医師と飼い主様のご相談の上、行います。

 

3.CT撮影
ペットを検査台に寝かせ、80列CTで撮影を行います。通常、検査時間は5〜10分程度です。

 

4.術後ケア
撮影後は麻酔がさめるまで院内でモニタリングを行います。麻酔から完全に回復するには2〜3時間ほどが目安です。帰宅後は、夕方〜夜にかけて普段の生活に戻れることがほとんどですが、体調が普段と異なるようであればすぐに動物病院に連絡してください。

 

5.結果の説明と治療方針
スキャンした画像を専用ソフトで解析し、2D・3D画像を確認します。必要に応じて外部の専門医(日本獣医生命科学大 放射線学教室 藤田教授)に読影を依頼することもできます。

 

その後、飼い主様にわかりやすく画像をお見せしながら、必要な治療や外科手術の方針を提案します。

 

定期健診としての活用

80列CTは、病気の疑いがあるときだけでなく、健康診断の一環としても有効です。特に7歳を過ぎたシニア犬・シニア猫は体調の変化が出やすく、思わぬ病変が潜んでいる場合もあります。

 

定期的にCT検査を受けることで、初期段階の異常を発見し、治療やケアに早めに取り組めるため、健康寿命を延ばす大きな手助けとなります。

 

まとめ

・80列CTは、従来の検査では見つけられなかった病気を早期に発見できる高精度な画像検査装置です。
・腫瘍や内臓疾患、整形外科的疾患など、多くの病気の診断に有効です。
・検査時間が短く、麻酔の安全性も高いため、ペットへの負担を最小限に抑えられます。
・病気になった時だけではなく、健康診断に取り入れることで、見逃しがちな初期病変を発見でき、健康寿命を延ばす効果が期待できます。

 

当院では、80列CTを用いた検査を行っています。事前の問診・相談や予約は随時受け付けていますので、ご不明な点があればスタッフまでお気軽にお問い合わせください。
CT検査について、こちらでも解説しています

 

横須賀・三浦・逗子・葉山エリアを中心に診療する動物病院
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