横須賀市で見つかる有害植物一覧|犬猫が食べると危険な植物と対策

犬猫の病気や症状

こんにちは、横須賀市にある「つだ動物病院」院長の津田航です。

 

横須賀市は自然が豊かで、海や公園、緑に囲まれた環境の中でペットとの暮らしを楽しんでいる方も多いと思います。しかし、このような自然環境の中には、犬や猫にとって思わぬ危険が潜んでいることがあります。その一つが「有害植物」です。美しく見える植物の中には、犬や猫が口にしてしまうと中毒を引き起こすものもあり、場合によっては命に関わることさえあります。

 

そこで今回は、犬や猫が植物を口にしてしまう理由、横須賀市周辺でよく見られる有害植物の種類、それらを誤食してしまった際の対処法、そして予防策までわかりやすくご紹介します。

犬や猫が植物を食べる主な理由

犬や猫が植物を口にするのは、決して珍しいことではありません。特に子犬や子猫は好奇心が旺盛で、周囲のものを舐めたり噛んだりして確かめようとします。また、遊んでいるうちに葉っぱや茎をかじってしまうケースや、胃のむかつきを感じたときに本能的に草を食べて吐き気を促そうとする行動も知られています。

 

こうした行動自体は自然なものですが、万が一、有害な植物を誤って口にしてしまうと、深刻な中毒症状を引き起こす可能性があるため、注意が必要です。

横須賀市で見つかる有害植物一覧

横須賀市内の公園や住宅街、庭先などで見かける植物の中には、犬や猫にとって有害なものがいくつもあります。

 

1.ユリ科の植物(テッポウユリ、オニユリなど)※特に猫は要注意

特徴:美しい花を咲かせるユリ科の植物は、庭や公園でよく見られます。
危険な部位:全体(特に花粉や花瓶の水も危険)
中毒症状:嘔吐、食欲不振、元気消失、急性腎不全、けいれん、最悪の場合命に関わることもあります。

 

2.チューリップ

特徴:春に鮮やかな花を咲かせる球根植物です。庭や花壇、公園でも多く見かけます。
危険な部位:球根に特に毒性が集中(葉や茎にも軽度あり)
中毒症状:嘔吐、下痢、食欲不振、元気消失、心拍数低下、不整脈、けいれん

 

3.スズラン

特徴:白く鈴のような形をした小さな花を咲かせ、甘い香りを放ちます。
危険な部位:全体
中毒症状:嘔吐、下痢、食欲不振、元気消失、心拍数低下、不整脈、けいれん

 

4.スイセン

特徴:春先に黄色や白の花を咲かせる球根植物です。
危険な部位:球根に特に毒性が集中(花・葉・茎も有毒)
中毒症状:嘔吐、下痢、腹痛、食欲不振、元気消失、呼吸困難、けいれん、最悪の場合命に関わることもあります。

 

5.ポトス

特徴:室内の観葉植物として人気があります。
危険な部位:葉、茎
中毒症状:よだれ、嘔吐、口内炎、嚥下困難、喉の腫れ。症状が強い場合は食事・呼吸が困難になります。

 

6.アイビー(ヘデラ)

特徴:壁面緑化などに利用されるつる性植物です。
危険な部位:葉、茎
中毒症状:嘔吐、下痢、腹痛、食欲不振、元気消失、皮膚炎

 

7.アロエ

特徴:家庭菜園や観葉植物として人気です。薬用成分を含むため、誤って与えてしまうケースもあるため注意が必要です。
危険な部位:葉の内側のゲル状部分
中毒症状:嘔吐、下痢、食欲不振、元気消失

 

8.アジサイ

特徴:梅雨時に美しい花を咲かせる植物です。
危険な部位:全体(特に花や葉)
中毒症状:嘔吐、下痢、呼吸困難、けいれん

 

9.ポインセチア

特徴:クリスマスシーズンに人気の赤や白い葉を持つ植物です。
危険な部位:茎や葉から出る白い乳液状の樹液
中毒症状:嘔吐、下痢、皮膚炎、口内炎、よだれ

 

これらの植物は、犬猫がわずかにかじっただけでも症状が出る場合があります。特にユリ科植物に関しては、猫にとって最も危険で、口にした量がごく少量でも急性腎不全を引き起こすため、絶対に近づけないよう注意が必要です。

犬猫が有害植物を食べたときの対処法

万が一、犬や猫が有害な植物を口にした可能性がある場合は、まずは落ち着いて、状況を正しく把握し、冷静に行動することが大切です。以下に、動物病院へ連れていくまでに行っておきたいポイントと、避けるべき行動についてご紹介します。

 

1. 食べた植物の特定
まず「どの植物を、どのくらい、いつ食べたのか」を把握しましょう。名前が分からなくても、植物の一部を保管したり、スマートフォンで写真を撮っておくと、動物病院での診断の助けになります。屋外で誤食した場合は、現場の写真や地図アプリの位置情報も有用です。

 

2. 無理に吐かせない
「とにかく出させたい」と思ってしまいがちですが、無理に吐かせるのは危険です。インターネットやSNSには、誤食時の応急処置の情報がたくさん出ていますが、植物によって対応がまったく異なります。自己流の処置は症状を悪化させるリスクがあるため、必ず動物病院で獣医師の診察を受けてください

 

3. 症状がなくてもすぐ動物病院へ
見た目に変化がなくても、有害植物の中には数時間~数日経ってから症状が出るものもあります。「食べたかもしれない」「かじった形跡がある」と感じたら、迷わず動物病院へご連絡ください。特にユリ科の植物などは少量でも命に関わることがあるため、早期対応がカギとなります。

病院での対処法

食べたものがまだ胃に残っている場合(1〜2時間以内が目安)、催吐処置が行われることがあります。また、活性炭の投与により、体内への吸収を抑える対応をすることもあります。場合によっては胃洗浄が行われます。

 

すでに成分が体内に吸収されている場合は、点滴や内服薬による対症療法が中心になります。中毒の種類によっては、入院管理が必要になる場合もあります。

有害植物を避けるための対策

日頃からご自宅の植物や散歩コースを見直し、しつけや環境管理を徹底することで、有害植物による誤食や中毒事故を未然に防ぐことができます。

 

〈自宅や庭での予防策〉
観葉植物や庭に植える植物を選ぶ際は、必ず「ペットにとって安全な植物かどうか」を確認しましょう。有害とされる植物は、なるべく置かない・植えないのが理想です。鉢植えの植物はペットが届かない場所へ移動し、花瓶の水にも注意しましょう。

 

〈散歩時の注意点〉
散歩中は、犬が草むらに顔を突っ込んだり落ち葉を口にしないよう、リードは短めに持ち、常に様子を観察しましょう。犬が草を食べたそうにする場合でも、安全な草以外はなるべく避けるのが無難です。

 

〈しつけ〉
「拾い食いをしない」「“ダメ”と言われたらやめる」など、基本的なしつけも大切です。特に子犬や子猫の時期は、好奇心と行動欲求が高いため、「ダメ」「離して」などのコマンドを教えておくと事故の予防につながります。

毒性のない植物

愛犬・愛猫と暮らす環境でも比較的安全とされている植物もあります。

1. パキラ

インテリアグリーンとして人気のパキラは、犬や猫にとって毒性がありません。お部屋に置いても安全な植物で、育てやすく耐陰性もあるため、初心者の飼い主様にもおすすめです。

 

2. アレカヤシ

南国風の雰囲気が魅力のアレカヤシも、犬猫に無害な植物です。葉がしなやかで、万が一愛犬や愛猫が葉先にじゃれたり口にしても、毒性がないため安心できます。

 

ただ、毒性がないとされている植物でも、食べすぎると消化不良や嘔吐の原因になることがあるため、なるべく口にしない環境を整えるのがベストです。

まとめ

・犬や猫は好奇心や遊びの延長で植物を口にすることがあります
・横須賀市周辺にもユリ科やスズランなど、有害植物が多数存在します
・誤食時の治療は時間との勝負。早めの受診で適切な処置を受けることが大切です
・自宅・散歩時の環境管理としつけが中毒予防の鍵になります
・安全な植物を選び、ペットと自然を共に楽しめる暮らしを目指しましょう

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