愛犬の秋の抜け毛対策!換毛期のブラッシング方法と頻度を獣医師が解説

ペットの健康としつけ

こんにちは、横須賀市にある「つだ動物病院」院長の津田航です。
秋は愛犬の抜け毛が増え、掃除が大変な季節ですね。この時期、多くの飼い主様が「どうしてこんなに毛が抜けるの?」と悩まれることと思います。実は、秋の抜け毛は自然な生理現象であり、冬の寒さに備える大切なプロセスです。

 

今回は、換毛期がなぜ起こるのか、その仕組みや犬種ごとの違いについて解説します。また、抜け毛を効果的に管理するブラッシング方法や頻度について、獣医師の視点から詳しくご紹介します。

秋の換毛期はなぜ起こるの?

換毛期は、動物が季節の変わり目に被毛を生え変わらせる自然な現象です。秋は夏の間に生えた「夏毛」が抜け、冬に備える「冬毛」が生え始めるタイミングで、この過程で大量の抜け毛が出るのは、犬の体が季節の変化に適応している証拠です。

 

〈換毛期の仕組み〉
犬の被毛には主に以下の2つの構造があります。

換毛期の仕組み

 

・ダブルコート:アンダーコート(下毛)とオーバーコート(上毛)の2層構造になっている被毛。アンダーコートは保温性が高く、オーバーコートは防水や汚れ防止の役割があります
(柴犬、ゴールデン・レトリーバー、シベリアン・ハスキーなど)

 

・シングルコート:アンダーコートが少なく、オーバーコートのみで構成される被毛。抜け毛が少なく、換毛期の影響が少ないのが特徴です。
(プードル、マルチーズ、ヨークシャー・テリア、ミニチュア・ピンシャーなど)

 

〈夏毛から冬毛への生え変わりの理由〉
・夏毛:アンダーコートが薄く、涼しさを保つ役割があります。
・冬毛:アンダーコートが密になり、断熱効果を高めて寒さから体を守ります。

 

また、換毛期の始まりや抜け毛の量は、気温や日照時間の変化にも影響されます。屋外で過ごす時間が長い犬ほど、季節の変化を敏感に感じ取り、換毛が顕著になる傾向があります。

 

換毛期に必要なブラッシングの基本

換毛期におけるブラッシングは、愛犬の被毛ケアの要です。抜け毛を取り除くだけでなく、皮膚の健康を保ち、新しい毛がスムーズに生えてくるようサポートします。また、愛犬とのスキンシップの時間にもなり、信頼関係を深める良い機会です。

 

〈ブラッシングが必要な理由〉
・抜け毛の管理
大量の抜け毛を放置すると、部屋に毛が散乱したり毛玉ができやすくなります。ブラッシングで効率的に取り除きましょう。

 

・皮膚の健康維持
毛が絡まると蒸れや炎症の原因になります。また、ブラッシングは血行を促進し、皮膚を健康に保つ効果があります。

 

・皮膚の異常を早期発見
定期的にブラッシングを行うと皮膚の赤みや傷、寄生虫などを早期に発見できることがあります。

 

〈基本的なブラッシングの手順〉
1.背中:毛流れに沿って背中から優しくブラッシングします。
2.お腹:敏感な部位なので、優しく様子を見ながら行いましょう。
3.足としっぽ:毛玉ができやすいため、丁寧に少しずつブラシをかけます。
4.顔周り:顔周りはスリッカーブラシやラバーブラシなど、柔らかいブラシを使うと良いでしょう。

 

ブラッシング中は、愛犬がリラックスできるよう、「よしよし」「いい子だね」と優しく声をかけながら行いましょう。また、ブラッシング後にはおやつをあげるなど、ポジティブな体験に結びつけることで、次回もスムーズに行えます。

 

〈適切なブラッシングの頻度〉
・短毛種週に2〜3回程度のブラッシングをおすすめします。
・長毛種:毎日ブラッシングすることをおすすめします。毛玉ができやすいので、特に注意が必要です。

 

おすすめのブラッシング道具と選び方

愛犬の毛質や体の大きさに合ったブラシを選びましょう。

ブラッシング道具

・スリッカーブラシ長毛種や毛玉ができやすい犬種に最適で、絡んだ毛をほぐします。
・ラバーブラシ短毛種におすすめで、抜け毛を取り除き、マッサージ効果もあります。
・コーム(くし): 耳の後ろや足の付け根など、毛が絡まりやすい部分に便利です。仕上げに使用すると毛並みが整い、美しい見た目になります。

 

〈ブラシのメンテナンス方法〉
使用後は毛を取り除き、水洗いや天日干しで清潔を保ちましょう。定期的に消毒することで、細菌や汚れの付着を防げます。

 

換毛期のブラッシング時の注意点

換毛期のブラッシングは、正しい方法で行わないと皮膚に負担をかけたり、愛犬にストレスを与えることがあります。以下のポイントを守り、安全で快適なブラッシングを心がけましょう。

 

〈皮膚を傷つけないための注意点〉
力を入れすぎない:ブラシを強く押し付けると、皮膚を傷つけたり赤くなったりすることがあります。特にスリッカーブラシを使う場合は、軽い力で行いましょう。

 

毛流れに沿ってブラッシング:毛流れに逆らうと痛みを感じることがあり、犬がブラッシングを嫌がる原因になります。

 

ブラシ選びを慎重に:犬の毛質や被毛の状態に合ったブラシを使いましょう。毛玉が多い場合はスリッカーブラシを、短毛種にはラバーブラシを使用するなど、適切なブラシを選ぶことが重要です。

 

〈痛がるサインに注意する〉
ブラッシング中に愛犬が以下のような行動を示した場合、一度中断して原因を確認しましょう。

 

・後ろに下がる
・声を上げる
・ブラシや手を噛もうとする

 

これらのサインが見られたら、力加減や道具を見直し、優しく声をかけて落ち着かせましょう。

 

〈皮膚トラブルを早期発見〉
ブラッシング中に以下の症状が見られた場合は、皮膚炎やアレルギーなどの可能性があるため、早めに動物病院で相談しましょう。

 

赤みや腫れ
フケや湿疹
引っかき傷やかさぶた

 

なお、無理に毛玉を取ろうとすると皮膚が傷つくことがあるため、難しい場合はトリマーに相談するのも一つの方法です。

 

換毛期に気を付けたい生活面でのケア

換毛期には生活環境や栄養管理が愛犬の快適さに直結します。以下に具体的なケア方法をご紹介します。

 

〈室内環境の清潔を保つ〉
毎日の掃除:掃除機や粘着ローラーを使って床や家具に溜まった毛を取り除きましょう。
空気清浄機の活用:浮遊する毛やほこりを減らすことで、飼い主様のアレルギー予防にもつながります。

 

〈栄養バランスを整える〉
オメガ3脂肪酸:魚油や亜麻仁油などに含まれるオメガ3脂肪酸は、被毛のツヤや皮膚の健康をサポートします。獣医師に相談の上、適量を与えましょう。
高品質なフード:ビタミンEや亜鉛を含む栄養バランスの良い食事を選びましょう。
水分補給:十分な水分摂取は皮膚の乾燥やトラブルを防ぎます。新鮮な水を常に飲めるようにしておきましょう。

 

〈室温や湿度の調整〉
適切な室温:暑すぎず寒すぎない快適な温度を保ちましょう。20〜25℃が目安です。
適切な湿度:乾燥しすぎると皮膚トラブルが起きやすいため、湿度は50〜60%に保つよう加湿器を活用しましょう。

 

まとめ

・換毛期は愛犬にとって自然な生理現象であり、適切なケアが健康維持に繋がります。
・ブラッシングは抜け毛対策だけでなく、皮膚トラブルの早期発見やコミュニケーションの強化にも役立ちます。
・犬種や毛質に合ったブラシを選び、頻度や力加減に注意して行うことが大切です。
・室内環境の清潔維持や栄養バランスの取れた食事が換毛期のサポートになります。
・皮膚トラブルや抜け毛の管理で困ったことがあれば、動物病院やトリマーに相談してください。

 

横須賀・三浦・逗子・葉山エリアを中心に診療する動物病院
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