犬の軟口蓋過長症について│根治には手術が必須
こんにちは、横須賀市にある「つだ動物病院」院長の津田航です。
動物の口の中には軟口蓋(なんこうがい)という柔らかい部分があり、飲食をするときに鼻への通路を塞ぎ、食べ物が鼻に逆流してしまうことを防いでいます。短頭種と呼ばれる犬で多いのが軟口蓋過長症という病気で、軟口蓋が気道を塞ぎ、呼吸がしづらくなってしまいます。
今回は犬の軟口蓋過長症について、原因や症状をお伝えするとともに、当院での治療法をご紹介します。
原因
パグ、フレンチ・ブルドッグ、ボストン・テリア、シー・ズーなどの短頭種(鼻が短い犬種)に一般的で、先天性の病気といわれています。多くは若いうちに発症しますが、治療せずにいると悪化してしまうため、早期の治療が重要です。
また短頭種は、「外鼻孔狭窄」「気管形成不全」「喉頭虚脱」といった呼吸器の病気も多く、軟口蓋過長症を含めたこれら4つをあわせて「短頭種気道症候群」とも呼ばれます。
症状
呼吸がしづらくなってしまうため、散歩に行きたがらない、すぐに疲れてしまう、苦しそうにする、といった様子がみられます。また気道を塞ぐため、息を吸うときに「ブーブー」「ガーガー」といった特徴的な音が聞こえます。
さらに眠っているとき、「ズーズー」といういびきをかくことがあります。呼吸がうまくできない状態が続くと、失神やチアノーゼにつながります。その他、外鼻孔狭窄や気管形成不全、喉頭虚脱を同時に発症すると、症状が重篤になってしまいます。
診断・治療
軟口蓋は麻酔下で喉頭鏡を使用しなければ観察するのが難しいため、当院では短頭種のわんちゃんに先述したような症状があれば手術をおすすめしています。
治療は内科療法と手術に分かれます。内科療法では抗炎症剤などが処方されることがあるものの、これはあくまでも一時的な治療で、根治を目指すのであれば手術が必要です。
手術では、伸びすぎた軟口蓋を短く切除する方法をとります(詳細については獣医師までお尋ねください)。外鼻孔狭窄などがみられる場合は、同時に処置することもあります。
この写真は実際に当院で軟口蓋を切除した際の写真です。
赤い丸で囲われている三角の部分が軟口蓋で、この部分が気管の奥の方に入り込むことで気道をふさぎます。
手術前と手術後の写真を見比べると、手術前の写真の赤い丸で囲われている部分が、手術により切除されているのがわかります。
・手術前
・手術後
軟口蓋過長症は手術できる施設が少なく、飼い主様やわんちゃんを悩ませているのが現状ですが、
当院ではサンダービート(オリンパスメディカルシステムズ社製)という医療機器を採用していて、迅速な手術が可能です。
当院では多様な疾患の診断・治療に対応できるよう、様々な高度医療設備を取り入れております。
通常の動物病院であれば大学病院などを紹介されるような症例にも対応できる可能性がありますので、ぜひ一度当院までご相談ください。
予防法
先天性の病気なので、発症を予防することはできません。
症状を悪化させないためには、体重をコントロールして肥満にならないようにする、室温が暑くならないように冷房を使用する、夏の日中は散歩に出かけない、運動を控えて安静に過ごす、といった対策を講じるとよいでしょう。
上記に加え、夏は湿度の管理が重要なため、エアコンと除湿機の併用をお勧めしています。
ポイント
・軟口蓋過長症は短頭種(鼻が短い犬種)に多く発生し、軟口蓋が気道を塞ぎ、呼吸がしづらくなってしまう病気です。
・軟口蓋過長症の症状としては、散歩に行きたがらない、すぐに疲れてしまう、苦しそうにする、といった様子がみられ、気道を塞ぐため、息を吸うときに「ブーブー」「ガーガー」といった特徴的な音が聞こえます。
・眠っているとき、「ズーズー」といういびきをかくことがあり、呼吸がうまくできない状態が続くと、失神やチアノーゼにつながります。
・治療は内科療法と手術に分かれますが、根治を目指すのであれば手術が必要です。
・手術では、伸びすぎた軟口蓋を短く切除する方法をとりますが、当院ではサンダービートという医療機器を活用することで迅速な手術が可能です。
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