フェレットの治療

副腎疾患

フェレットは副腎疾患が多い動物です。副腎とは腎臓の傍に左右一つずつある小さな内分泌器官で、血糖値やイオンを調整するホルモンを出しています。

副腎疾患の種類には過形成や腺腫、腺癌があります。フェレットでは、異常に増えた副腎細胞からの性ホルモン(エストロゲンやテストステロンなど)の過剰分泌を原因とする様々な症状が引き起こされます。

主な症状

脱毛は副腎疾患を持つフェレットの大部分でみられ、尾から腰背部にかけて左右対称性かつ進行性に毛が抜けてきます。皮膚の痒みを伴うこともあり、ひっかき傷で発見に至る場合があります。女の子では避妊の有無に関わらず、半数以上で外陰部の腫大が認められます。
また、男の子では前立腺の腫大により尿道が圧迫され、頻尿や尿漏れ、トイレ以外での排尿といった排尿障害がみられます。その他にも体臭や行動の変化、多飲多尿、筋肉の萎縮などが挙げられます。

診断

副腎疾患を起こす原因は未だはっきりとは判明していません。傾向としては、中年齢以降の個体で多く発生がみられ、触診、レントゲンや超音波検査、血液検査、血中ホルモン測定などで診断します。フェレットの正常な副腎のサイズは左が5.4?9.8mm × 2.3?3.6mm、右が5.8?10.5 × 2.2?3.8mmとされています。超音波検査は腫大化した副腎を確認するのに非常に有用です。

治療法

治療は、基本的には異常な副腎の切除になります。ただし、中には衰弱が激しかったり、手術が困難な症例もあります。とくに右側の副腎は後大静脈に近く、腫大が著しいと摘出は難しくなります。そのような症例では、定期的に性ホルモンの分泌を抑える注射をすることで症状の改善がみられます。