犬と猫の乳腺腫瘍について┃避妊手術で予防ができる

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こんにちは、横須賀市にある「つだ動物病院」院長の津田航です。

 

乳腺腫瘍は、避妊手術をしていないメス犬に多い腫瘍で、その半分が悪性、つまり乳がんです。また、猫の場合90%程度と非常に悪性度が高いのが特徴的です。
乳がんは肺やリンパ節、骨への転移が多く、命を落としてしまう危険のある病気ですが、初回発情前の避妊手術に高い予防効果があることがわかっています。

 

今回は犬と猫の乳腺腫瘍について、その原因や症状などを解説するとともに、当院での治療の進め方に関してもご紹介します。

 

原因

乳腺腫瘍の発生には性ホルモンが関与していると考えられ、ほとんどは避妊をしていないメスで発生しています。

 

腫瘍には良性と悪性があり、犬ではその半分が、猫では90%が悪性で、犬の悪性の乳腺腫瘍の半分はリンパ節や肺などに転移していると言われています

 

また、犬では良性が7〜9歳、悪性が9〜11歳、猫では10〜12歳で多くみられます。

 

症状

初期の症状は乳腺にできる「しこり(できもの)」です。

 

犬の乳腺は一般的に左右に5対、猫は4対あり胸からおなか全体に広がっています。
乳腺腫瘍では、この広い範囲にある乳腺のどこかに1つもしくは複数のしこりができますが、範囲が広く腫瘍もはじめは小さいため、注意深く探しても見つけられないこともあります。

 

しかし腫瘍がある程度大きくなると、ブラッシングなどで気づくケースがあります

 

外見からは良性か悪性かを判断することはできませんが、一般的に悪性腫瘍は成長が早く、表面がボコボコしている傾向にあります。また、最近の研究によると3センチを超えている乳腺腫瘍は、悪性の確率が高いようです。
ただ、こうした特徴がない悪性腫瘍もあるので、正確な診断と適切な治療方針の決定のためにも、手術が必要になります。

 

なお、リンパ節や肺、骨に転移をすると転移先の腫瘍の症状が見られます。
また、最も悪性度が高い炎症性乳癌では、皮膚に激しい炎症が起こり、赤みや腫れ、痒みが見られます

 

診断

乳腺に腫瘍が見つかった場合は、他の乳腺にも腫瘍がないか、リンパ節は腫れていないかどうかを確認するために、毛刈りをして注意深く観察します。

 

なお、針吸引細胞診というしこりに針を刺して細胞を診る検査も行いますが、この方法で悪性か良性かを判断することはできません。

 

また、CT検査で肺やリンパ節への転移がないかを確認します。

 

当院の医療設備についてはこちらをご覧ください

 

その後、適切な治療を行うために、外科手術で切除した腫瘍を病理検査に渡し、腫瘍の種類や悪性度などから治療の方針を決定します

 

治療

外科手術で乳腺ごと腫瘍を切除し、避妊をしていない犬猫の場合は、子宮・卵巣疾患を防ぐためにも同時に避妊手術を行います

 

全身に転移がある場合や摘出が難しい場合などでは、放射線治療や抗がん剤治療を併用することもあります。なお、高齢や基礎疾患の存在、衰弱している、炎症性乳がんなどでは、手術ができないこともあります。

 

また手術には、腫瘍の周りだけを切除する方法や腫瘍のある乳腺のみを切除する方法、腫瘍のある側の乳腺をまとめて切除する方法、乳腺をすべて切除する方法があります。
当院では飼い主様と相談の上、乳腺を部分的に摘出するか全て摘出するかを決めております

 

手術後は摘出した腫瘍を検査に出し、良性で完全に切除できていれば予後は良好です。
悪性の場合であっても、転移がなく完全に切除できていれば予後は良好ですが、別の乳腺で再発することもあります。

 

予防法

犬では、初回発情前の避妊手術で発生率を0.05%、2回目発情前で8%、2回目発情から3回目発情前までで26%下がるという報告があります。

 

また、猫では6ヶ月齢以前の避妊手術で発生率を9%、7〜12ヶ月齢で14%、13~24ヶ月齢で89%まで抑えることができると分かっています。

 

犬も猫も2歳を超えると避妊手術による予防効果が下がるため、確実に予防するためにも当院では子供を産ませる意思がなければ、犬も猫も初回発情前の生後6ヶ月ほどでの避妊手術を勧めています

 

また、万が一発生したとしても初期に発見できるよう、年に1回ほど当院で乳腺のある部分の毛刈りを行い、隠れたしこりがないか、くまなくチェックをすることもお勧めします。

 

ポイント

・乳腺腫瘍は乳腺にできる腫瘍で、犬は半分が、猫は90%が悪性とされています。
・ほとんどは避妊をしていない中高齢のメスの犬猫で発生します。
・外見や症状から良性か悪性かを判断することはできません。
・乳腺腫瘍は肺やリンパ節への転移が多いため、手術の前にはCT検査を勧めています。
・当院では飼い主様と相談の上、乳腺を部分的に摘出するか全て摘出するかを決めております
・犬も猫も、初回発情前までの避妊手術で乳腺腫瘍の発生率を大きく下げることができます。
・当院では、生後6ヶ月ほどでの避妊手術をお勧めしています。

 

<参考>
https://jsamc.jp/dr_info/education/pdf/jcvim_02.pdf
https://no-boundaries.jp/wp-content/uploads/2016/03/fd14136e56cda44803b7fffd7ba0450a.pdf

 

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