まだまだ気をつけたい熱中症と秋冬への準備

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秋の落とし穴にご用心!

夏バテの犬

 

こんにちは、横須賀市にある「つだ動物病院」院長の津田航です。

 

記録的な猛暑と言われた今夏の暑さも、9月の終盤に差し掛かり、ようやく最高気温が30℃を下回る日が出始めました。とは言え、最高気温が30℃以上の日を真夏日というわけですから、まだまだ夏の暑さが続いているとも言えるでしょう。暦の上では、8月8日頃から11月8日頃までが秋だとされていますので、これまで秋だと感じてきた時期が、どんどん短くなってきているようです。

 

なかなか秋になったという実感が湧かないかもしれませんが、それでも日中と朝晩の気温差に開きが出てきており、確実に秋の足音が聞こえ始めています。ここで「ようやく夏も終わりだ!」と安心してしまうと、ワンちゃんや猫ちゃんたちが秋の熱中症や夏の疲れからくる体調不良(夏バテ)に見舞われてしまうかもしれません。

 

ワンちゃんや猫ちゃんを、季節の変わり目の体調不良から守るためのポイントについて、ご説明します。

 

秋でも怠れない熱中症対策

冷たい床で涼む猫

 

秋の気配を感じると、人の感覚としては過ごしやすくなった気候に安心してしまい、ワンちゃんや猫ちゃんの熱中症対策も一段落と、気を緩めてしまわれるのではないでしょうか。以前もブログでご紹介しましたが、人と犬と猫が快適だと感じる気温の目安には、かなりの開きがあります。

 

・人:26〜27℃

・犬:20℃

・猫:27〜28℃

 

このように、人にとっては過ごしやすくても、ワンちゃんにとってはまだまだ暑い日が続いているというのが現実です。また年々夏の期間が長くなっていますので、朝晩は涼しくても、飼い主様ご家族がでかけてしまった日中は、室温が30℃を超えてしまう日も続く可能性が十分にあります。

 

日中、ワンちゃんや猫ちゃんをお留守番させておくような場合は、できるだけエアコンを点けて、快適な室温を維持できるようにしてあげましょう。なおワンちゃんや猫ちゃんにとって、熱中症の予防には湿度管理も大切な要素です。人のように、全身で汗をかいて体温調節できないワンちゃんや猫ちゃんのために湿度を60%以下に維持するためにも、エアコンを上手に活用されることをおすすめします。

 

ワンちゃんや猫ちゃんの熱中症については、以前のブログも参考にしていただければと思います。

 

<熱中症の対策について改めて整理しましょう>へのリンク

 

秋こそ夏バテに注意が必要

散歩をする犬

 

今年の夏はひたすら暑い日々が続き、いつまで経っても終りが見えてきませんでした。ワンちゃんや猫ちゃんの体には、そんな酷暑による疲れが蓄積されています。

 

日本には四季があり、暑い夏と寒い冬の間に秋が、寒い冬と暑い夏の間には春があり、暑さと寒さの橋渡しをしてくれていました。しかし前述の通り、最近は秋の期間がごく短くなってしまい、暑い夏からいきなり寒い冬へと変わってしまうように感じている飼い主様も多いのではないでしょうか。

 

秋が短くなるということは、ワンちゃんや猫ちゃんの体に蓄積した夏の疲れを癒やすための時間が短くなるということなのです。その点を頭に入れた上で、飼い主様はワンちゃんや猫ちゃんの夏の疲れを癒やし、寒い冬に耐えられる健康な体力を取り戻せるようにサポートをしてあげてください。

 

弱った体を寒い冬に耐えられる健康な状態に戻すために気を付けたいのは、秋でも続く温度差です。温度差が大きければ大きいほど、体に掛かる負担も大きくなります。室内の気温を一定に保つ、お散歩に出かけるときは屋外と室内の温度差がなるべく少ない時間帯を選ぶといった工夫をしましょう。

 

またワンちゃんも猫ちゃんも、室内では自らの意思で暖かい場所や涼しい場所に移動できるようにしてあげましょう。特に猫ちゃんの場合は、床面だけではなく棚や冷蔵庫の上などの高い場所も含めて、居心地の良い場所に移動できる環境を整えてあげることが大切です。

 

夏になるとワンちゃんも猫ちゃんも食が細くなることが多いのですが、秋になっても食が細い状態が続いている場合は、食欲を回復させる必要があります。ワンちゃんや猫ちゃんは、ニオイで食欲が刺激されます。缶詰やパウチのフードを電子レンジなどでほんの少し温めてあげると、香りが強くなって食欲を刺激できることが多いです。

 

秋〜冬に向けての過ごし方

ご飯を前にヨシを待つ犬

 

秋になり、夏に落ちた食欲が徐々に増えてくるのは、自然なことです。ただし気を付けたいのが、急にたくさん食べさせないことです。特にワンちゃんの場合、「満腹」になることがありませんので、あげればあげただけ食べてしまいます。食欲が戻りつつあっても、胃腸には夏の疲れが残っています。下痢や嘔吐をしないよう、様子を見ながら少しずつ増やしていってください。もちろん、必要以上に太らせないことも大切です。

 

9月はまだ台風がやってくる時期です。最近は、すぐに線状降水帯が発生したりゲリラ豪雨が降ったりと、水害の被害が増えてきています。三浦半島には野生のリスが生息しているため、水害が起きるとレプトスピラ症という感染症のリスクが高まります。ワンちゃんの散歩コースを、水害の被害状況により見直すことで予防するとともに、レプトスピラ症に対応している8種混合ワクチンを接種することをおすすめします。

 

ワンちゃんも猫ちゃんも、秋になると夏毛から冬毛に生え変わる換毛期になります。毎日こまめにブラッシングをしてあげてください。普段より多い抜け毛が被毛に絡まって毛球を作ったり、抜け毛を飲み込んで毛球症を引き起こしたりといったことを防げます。

 

三浦半島の気候では、フィラリア予防は12月末まで継続して行う必要があります。蚊が最も活動的になる環境は、気温が25℃〜30℃の頃だと言われています。真夏日が続いていた先月までよりも、気温が下がってきた今頃の時期の方が、蚊は活動的になるということです。

 

またノミやダニも、屋外でも12月までは活発に活動します。涼しくなったから、蚊の姿を見かけなくなったからといった理由で、予防を中断してしまわないようにしましょう。

この時期のワンちゃんや猫ちゃんの健康管理については、以前のブログも参考にしていただければと思います。

 

<秋に注意したい犬と猫の健康管理>へのリンク

 

ポイント

ブラッシングされる猫

 

・年々夏の暑さが酷く、長くなった上に、冬に備えるための秋が短くなってきています。

・愛犬や愛猫の体に蓄積した夏の疲れを、短い秋の期間に回復させるサポートが必要です。

・人にとって過ごしやすい気温でも、愛犬にとってはまだまだ暑すぎる気温です。

・秋は朝晩と日中の温度差が激しいため、留守番中の室温管理も油断できません。

・熱中症の予防には、気温だけではなく湿度管理も大切です。

・食欲が戻らない場合は、フードの香りを立たせることで食欲を刺激してみましょう。

・食欲が出てきた場合は、急激にたくさん食べさせ過ぎないように注意しましょう。

・夏毛から冬毛に生え変わる換毛期は、こまめにブラッシングを行いましょう。

・レプトスピラ症、フィラリア、ノミ・ダニの予防も継続してください。

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