健康な老犬なら年2回以上の健康診断を!

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愛犬の健康管理5原則

触診を受ける犬

 

こんにちは、横須賀市にある「つだ動物病院」院長の津田航です。

 

私は、愛犬の健康を管理するためには、下記の5つがとても大切だと考えています。

 

①観察とスキンシップによる日々の健康チェック

②理想体型の維持

③健康な状態の把握

④病気の予防と早期発見

⑤健康状態に合わせた生活改善

 

このブログを読んでくださっている方には、愛犬の健康管理についてよく考えておられる飼い主様が多いのではないかと思います。ですから、きっと上記については、日々気にかけて実践されている飼い主様が多いと思います。

 

しかし、これらは飼い主様一人の努力だけでは賄えません。ワンちゃんは具合が悪いことを隠そうとすることもあり、仕草や行動、見た目の変化、飼い主様が触って感じられる範囲からだけでは気がつかないところで、密かに病気が進行している可能性があるからです。

 

愛犬の健康管理は、飼い主様とかかりつけの動物病院との共同作業で成り立つと考えていただきたいと思っています。そして、特に③〜⑤のためにとても役立つのが定期的に行う健康診断だと考えています。

 

そこで今回は、特に「健康な老犬への健康診断」についてお話したいと思います。

 

以前、検査が重要な理由や犬の健康診断についてのブログを書いていますので、併せてそちらもお読みいただけると嬉しいです。

<愛犬、愛猫の健康管理に検査が重要な理由>へのリンク

<犬の健康診断>へのリンク

 

シニア犬と老犬

老犬

 

犬も長寿の時代になりました。そのため、年令によるステージも子犬、成犬、老犬という単純な括りではなく、老犬を「シニア期(高齢期、シニア犬)」と「老齢期(老犬)」とに細かく分類するようになってきています。

 

ただし、犬は猫と違い、犬種によって体のサイズに大きな開きがあるため、サイズの分類によって年のとり方が異なります。諸説ありますが、一般的には次のように考えられています。

 

<小型犬>

体重:10kg未満

子犬:〜10ヶ月齢頃

成犬:〜7歳

高齢:8〜10歳

老齢:11歳以上

 

<中型犬>

体重:10〜25kg未満

子犬:〜1歳頃

成犬:〜6歳

高齢:7〜9歳

老齢:10歳以上

 

<大型犬>

体重:25g以上

子犬:〜1歳半頃

成犬:〜5歳

高齢:6〜7歳

老齢:8歳以上

 

体の老化は、高齢期に差し掛かる頃から始まります。しかしその変化は非常に緩やかなため、毎日一緒に暮らしているワンちゃんの老化には気付きづらいといえます。そのため、飼い主様が見た目でワンちゃんの老化に気付くのは、老齢期に入ってからという場合も多いのが現実でしょう。

 

しかし、実際には高齢期から体の機能は衰えはじめ、それに伴って病気も発症しやすくなってきます。そのため、高齢期に差し掛かってきた時点でワンちゃんに大きな変化が見られなくても、しっかりと定期的に健康診断を受けていただくことが、より大切になってくると考えています。

 

健康な犬ほど重要

まだまだ元気

 

実は、ワンちゃんの健康診断は、健康な犬ほど行う必要があると考えています。持病を持っているワンちゃんは、普段から動物病院に通い、必要な検査を受けながら治療を受けています。飼い主様も、日々の投薬などでワンちゃんとのスキンシップが増えますし、かかりつけの獣医師とワンちゃんの健康についてご相談される機会も多いでしょう。

 

しかし健康なワンちゃんは、予防接種やノミ・ダニ駆除といった時にしか動物病院に連れて来られることがないのではないでしょうか。飼い主様も、ちょっと気になる程度のことに関しては、獣医師に相談する機会がないのではないでしょうか。だからこそ、持病を持っていない健康なワンちゃんほど、しっかりと健康診断を受けていただきたいのです。

 

健康診断では、「問診」「視診・触診・聴診」「血液学検査」「血液生化学検査」「尿検査」「便検査」と「X線検査」を行うのが、一般的です。しかし、高齢期以降の健康診断では、より積極的に病気を見つけるため、「超音波検査」も行うことをおすすめしています。

 

若い頃の健康診断は、「健康な状態である時の数値を把握する」ことや「変化を早く察知する」ことが主目的でした。しかし高齢期以降のワンちゃんには、より積極的に病気を見つけることが大切になってきます。なぜなら高齢になればなる程、選択できない治療法が増えてくるため、早く病気をみつけて治療を開始することが大切になってくるのです。

 

健康診断の結果によっては、さらに「内視鏡検査」や「CT検査」を行うことをおすすめしています。異常をみつけたら、しっかりと診断を確定し、その後の対応を飼い主様とご相談し、治療方針を固めていくためです。

検査項目が増えれば増えるほど、金額はかさみます。しかも、健康診断は保険適応外です。しかも、動物病院には行きたがらないワンちゃんが大半です。そのため、あまり積極的にワンちゃんに健康診断を受けさせたがらない飼い主様もいらっしゃいます。

 

でも考えてみてください。病気を早く発見して早い段階から治療を開始できれば、治療がワンちゃんに与える負荷が軽くなりますし、治療費も軽減されます。長い目で考えていただければ、ワンちゃんのストレスや費用といったデメリットよりも、病気を早期発見し早期治療できる、また僅かな変化を察知して生活を改善することで大きな病気の予防につながるといったメリットの方が勝ると考えられるのではないでしょうか。

 

健康診断で行う検査の項目は、動物病院によって考え方が異なります。当院では、上記のような考え方で、ワンちゃんの健康状態や飼い主様のご希望などを伺い、その時々に最適な検査項目をご提案させていただいております。そして、飼い主様にご納得いただいた上で、改めてご予約をいただき、検査を受けていただきます。

 

検査内容によっては、一定時間の絶食をお願いするなどの注意事項がありますので、ご予約の際に、そういった注意事項をお伝えしています。

 

健康診断の頻度について

聴診を受ける犬

 

最後は、健康診断の頻度についてです。いろいろな資料に、「犬の健康診断は『定期的』に受けましょう」と書かれているのを目にされていると思います。では、定期的とはどのくらいの頻度を指すのでしょうか。考え方は人により異なりますが、私は年のとり方によって適切な頻度が変わってくると考えています。

 

人間の場合は、1年に1回の健康診断が一般的です。ある程度の年齢まではいわゆる一般的な健康診断、中高齢以降は本格的な人間ドックを、1年に1回の頻度で受けておられる方が多いと思いますし、推奨されてもいます。

 

ワンちゃんの場合も、同様の考え方が当てはまると思います。若い頃は一般的な検査項目を1年に1回、ある程度の年齢になってからは本格的な検査項目を1年に1回程度ということです。しかし、この1年に1回というのが曲者です。

 

犬の場合、約1年から1年半で子犬期を卒業し、成犬になります。その後、中小型犬は1年に人間の4歳相当分、大型犬は1年に人間の7歳相当分の年をとっていくといわれています。そのため、最低でも3ヶ月に1回、1年で計4回の健康診断受診が理想的だと考えています。ただし、さすがにそれでは負荷が高いという飼い主様がほとんどでしょう。そこで、成犬の間は年に1回、高齢期以降は半年に1回の健康診断をおすすめしています。

 

まずは、去勢・避妊手術をご検討される6ヶ月齢の頃に1回健康診断を受けていただき、それ以降は毎年の健康診断を継続していただくことが、ワンちゃんの健康管理には役に立つと信じています。予防接種と一緒にとか、お誕生日になど、毎年忘れないような時期に健康診断を受けられるように計画されると良いと思います。

 

そして高齢期に入ったら、ワンちゃんが健康な場合でも、健康診断の頻度を上げましょう。その時点でもしも治療中の病気がある場合は、普段の治療で行っている検査を考慮して、健康診断の検査項目を絞り込むこともできますので、気軽にかかりつけの獣医師に相談してみてください。

 

ポイント

散歩する犬

 

ポイント

・犬は、体のサイズにより年のとり方が異なります。

・成犬になる迄は体が小さい程、成犬になった後は体が大きい程早く年をとります。

・愛犬の健康診断は元気なときほど重要度が高まります。

・健康診断で必要な検査項目は、年齢ステージや健康状態により異なります。

・健康診断で行う検査項目は、事前に相談して決められます。

・成犬までの間は年に1回、高齢期以降は半年に1回以上の健康診断がおすすめです。

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