冬でも油断できないノミの予防
冬でもノミ予防は必要です
こんにちは、横須賀市にある「つだ動物病院」院長の津田航です。
すっかり本格的な冬となり、神奈川県内でも1月6日から7日にかけては、雪の影響でご苦労された方も多かったことと思います。
さて今回は、こんな寒い季節でもノミの予防が必要だというお話をしたいと思います。これまでにも、何回かノミの予防に関するお話をしてきました。重なる部分もあるかと思いますが、ワンちゃんや猫ちゃんの快適な暮らしにとって、ノミの予防はとても大切なことですので、改めてお話したいと思います。
ノミの生活環
寄生虫の生活パターンを、生活環と言います。寄生虫の感染を予防するためには、その寄生虫の生活環のいずれかの箇所を断ち切ることが大切です。ワンちゃんや猫ちゃんの体表に寄生する、外部寄生虫であるノミの生活環をご紹介します。
メスのノミは、動物の体表に寄生してすぐに宿主となった動物の血を吸い、オスと交尾をします。そして48時間以内に、0.5mm程度で楕円形の卵3〜20個を、宿主の生活環境内に産み落とします。
乾燥にも高温にも低温にも強い卵は、宿主の生活環境内で2〜12日を経て孵化します。孵化した幼虫は、成虫の排泄物や、動物の垢を食べて成長していきます。最も発育に適した環境は、23〜32℃で60〜80%の湿度です。
幼虫は2回の脱皮を経て繭となり、サナギになり、最終的に羽化して成虫となります。そのままじっとその場を動かずに宿主となる動物を待ち伏せして、近づいた動物に飛び乗って寄生します。
冬のノミの生息環境
ノミの生活環の説明の中で、ノミの幼虫が成長していくのに最も適した環境は、23〜32℃だと書きました。しかし、ノミは13℃以上の気温であれば、繁殖が可能です。つまり、冬でも室内で暮らしているワンちゃんや猫ちゃんに寄生したノミは、卵を生み続けられるのです。
そして、卵がカーペットや畳などに産み落とされた場合、冬でも容易に成長に適した環境を得られてしまうのです。気温が3℃以下の場合、ノミの卵や幼虫は死んでしまいます。しかし、カーペットの下、畳の隙間などは、十分に生き延びられる温度なのです。
もちろんサナギや成虫は、宿主の被毛の中に隠れて寄生し続けられます。真冬でも、平均でワンちゃんの場合は10頭に1頭、猫ちゃんの場合は5頭に1頭の割合でノミの被害があるといわれているのです。
真冬になると、ノミ対策は必要なくなると思われる飼い主様も多いと思いますが、室内飼育の場合は、ぜひ通年での予防をおすすめします。
こんな症状には要注意
ノミに刺されると、ワンちゃんも猫ちゃんも、強烈なかゆみを感じます。また、ノミの唾液にアレルギー反応を起こす子も多いです。さらに、ノミの体内に寄生している瓜実条虫(さなだ虫)に感染してしまい、貧血を起こしてしまう危険もあります。
もちろん、ワンちゃんや猫ちゃんに寄生するノミは、人の血も吸います。ノミを潰してしまうと、飼い主様が瓜実条虫に感染することだってあります。
ワンちゃんや猫ちゃんがノミに感染している場合によくみられる症状は、やはり激しいかゆみです。そこから派生して、下記のような症状が見られる場合は、冬であってもノミの寄生が疑われます。
・身体中を掻きむしったり噛んだりする
・お腹や首などに、小さくて黒っぽい粒がついている
・湿疹のようなものができている
・よく毛が抜ける
ワンちゃんや猫ちゃん、そして飼い主様が健康で快適に暮らしていくためには、ノミなどの寄生虫を100%駆除して、家の中では繁殖させないということが大切です。そして、市販されているお薬は、入手しやすいかもしれませんが、駆除効果が弱く、かつ効果が半減する期間もとても短いため、おすすめできません。
ぜひ、かかりつけの動物病院で、ワンちゃんや猫ちゃんに適したお薬を処方してもらい、年間を通して予防してください。
以前お話したノミや予防薬に関するブログはこちらから読めます。
ポイント
ポイント
・ノミは13℃以上の気温であれば繁殖が可能
・卵から孵化した幼虫はカーペットの下や畳の隙間で生き延びられる
・室内飼育の場合、真冬でもノミの予防は大切
・予防薬は動物病院で処方してもらった薬を利用しましょう