寒くても運動は大切 〜骨関節疾患に気をつけよう〜

犬猫の病気や症状

 

こんにちは、横須賀市にある「つだ動物病院」院長の津田航です。

 

前回のブログで、犬や猫が冬にかかりやすい病気をご紹介しました。今回は、その中の「関節などの疾患」に焦点を当てて、もう少し詳しくお話ししたいと思います。

<https://tsuda-vet.com/犬や猫の上手な冬の過ごし方/>

つだ動物病院 ブログ:犬や猫の上手な冬の過ごし方

 

骨関節系の疾患は特に犬に多くみられるので、今回のお話も犬が中心になりますが、猫も同様の考え方で予防できますので、猫の飼い主様にも是非お読みいただきたいと思います。

 

 

はじめに、なぜ冬になると骨関節系の病気が多くみられるようになるのかについてお話ししましょう。

 

冬になると、気温が下がります。この寒さと共に、冬に伴う気圧の変化などの気象関連の影響も加わり、犬の体が冷えて血行が悪くなります。そうすると、体は痛みに対して敏感になるため、それまで以上に関節の痛みなどの症状が現れやすくなるのです。

 

今まで元気に散歩に出かけていた愛犬が、急に散歩中に座り込んでしまったり、足を痛がって元気がないとか、飼い主様に対しても吠えたり噛みそうになったりするなどの変化がみられる場合は、骨関節系の疾患にかかっている可能性があります。注意して愛犬の様子をよく観察し、動物病院に連れてきてください。

 

 

上の図は、関節の構造を表している図です。四肢の関節は動く構造になっている事が特徴です。上の図を例に、関節の構造を簡単に説明してみましょう。

 

関節とは骨と骨の連結部分で、上の図には描かれていませんが靭帯という伸び縮みできるバンドのような組織で結ばれています。骨の表面は凹凸状になっていて、それが噛み合う事でうまくつながっています。

 

ただし、直接骨同士が接触してしまうと、動くことによる磨耗で接触部分の骨がすり減ってしまい、うまく連結できなくなってしまいます。それを防ぐために、骨の接触面は軟骨で覆われています。軟骨がクッションのような役目をしているわけです。

 

関節は滑膜や繊維膜から成る関節包という柔らかい袋状の組織に包まれていて、その中は滑液という液体で満たされています。滑液は、潤滑油の役割をしています。

 

関節は、こういった構造により一定の方向に対して動きやすい構造をしています。しかし、異なる方向への強い力が加わることで、骨や軟骨に無理な負荷がかかり、損傷してしまいます。これを防ぐための補強や制御を担っているのが、前述の靭帯になるわけです。

 

しかし、あまりにも強い力であらぬ方向への力が加わったり、力の程度が弱くても長期間負荷が加わり続けたりすることで、これらの構造に変化が起きて骨関節系の疾患が発症します。特に、肥満による四肢の関節への長期間に亘る過負荷は、骨関節系疾患の大きな原因となります。寒さによる血行不良と運動量の低下は肥満を招きますので、冬場は普段以上に体重管理への注意が必要です。

 

他にも、以下の点に気をつけて予防に努めてください。

・室内の温度管理に注意し、体を冷やさないようにする

・寒さで血行が悪く筋肉が萎縮している状態での激しい運動を避け、徐々に激しくしていく

・フローリングなどの滑りやすい床には滑り止めの工夫を施す

 

 

犬によくみられる骨関節系の疾患を2つご紹介します。いずれも冬によく発見される事が多いので、症状などを参考にして、愛犬を観察する際の参考にしてください。

 

(1) 変形性関節症

【概要】

関節の構造変化により関節の機能が制限されて痛みを伴う疾患です。

【原因】

肥満、過度な運動、靭帯損傷による関節への負担の増加、加齢による変化などが原因となり、軟骨が磨耗してただれた状態となり、骨棘という棘状のものが形成されて痛みを発します。

【症状】

破行、痛み、運動後にしばらく動かなくなる、散歩中に座り込む、走ったりジャンプしたりすることをしたがらなくなる、関節部分をしきりに舐める、食欲が低下する、歩くときに頭が上下したり腰が左右に振れたりする 等

 

(2) 膝蓋骨脱臼

【概要】

膝のお皿と言われている膝蓋骨(しつがいこつ)が、本来おさまっているべき溝から外れてしまう(脱臼する)疾患です。

【原因】

小型犬に多く、遺伝が関与している場合も少なくありません。遺伝性の場合は、生まれつき大腿骨と脛骨が変形している事が原因です。肥満による膝への負荷は、膝蓋骨脱臼を悪化させる要因になりますので、肥満防止はこの疾患にも重要なポイントになります。

【症状】

グレードⅠ〜Ⅳまでに分類され、最も軽いグレードⅠの場合は、脱臼しても自然に元の位置に戻るため、足を上げてケンケンするように歩いていたのにすぐに普通の歩き方に戻ってしまうという事もあります。グレードⅡ以上で、痛めた足を上げたままにしているといった症状が強く出ている場合は、外科手術を行う場合が多いです。

 

膝蓋骨脱臼の詳細については、診療科目紹介の中の整形外科のページにも詳しく記載していますので、興味のある方はそちらも是非ご一読ください。

< https://tsuda-vet.com/seikei/>

つだ動物病院 診療科目:整形外科

 

 

一見すると、骨関節系の疾患のように見えますが、実は神経系の疾患であるという場合があります。もし、愛犬が足を痛がっている場合、痛がっている足の足先を内側に曲げた状態で愛犬を立たせてみてください。足先を内側に向けたままの状態で1〜2秒経っても犬が自ら足を元に戻そうとしない場合は、神経疾患の可能性があります。いずれにしろ、足を痛がっている様子がみられる場合は、動物病院に連れきてください。検査をして原因を究明し、適切な治療を行います。

 

また、猫は犬と比べればあまり骨関節系疾患の発症は多くありません。しかし、高齢になれば筋肉の衰えだけではなく、犬と同じように変形性関節症を発症し、今まで軽々と飛び乗れていた高さの場所に、上がれなくなります。

 

寒さにより運動量が減り、筋肉も弱りがちになる点も、犬と同じです。筋肉が弱れば関節を支える事ができなくなり、関節を痛めやすくなります。寒さで痛みに敏感になるのも同じです。猫と犬では、発症しやすい疾患に違いはありますが、基本的なケアの考え方は共通している部分が多いです。今回のブログを参考に、猫に対しても冬の寒さ対策や運動不足解消、体重管理等を励行してください。

 

また、骨関節系疾患の発見には、定期的で継続的な健康診断もとても有効です。若い頃は年に1度、高齢になったら年に2回以上の定期的な健康診断の受診をおすすめします。

 

愛犬や愛猫にふさわしい栄養管理、運動管理による適正な体重管理と共に、寒さや乾燥を乗り切って健康かつ快適に冬を越せるようお手伝いいたしますので、お気軽にご相談ください。

カテゴリー