犬猫の骨折:予防や術後には飼い主様が重要

犬猫の病気や症状

 

こんにちは、横須賀市にある「つだ動物病院」院長の津田航です。

 

最近は、大型犬も含めて室内飼いのご家庭が増えているため、犬や猫の交通事故が減ってきました。これはとても喜ばしいことです。しかし、室内飼いの犬や猫でも、骨折による来院は相変わらず続いています。

 

骨折は、早期に適切な治療を行う必要があり、かつその後も飼い主様がしっかりとケアをしなければなりません。また、処置を誤ると後遺症が残るリスクも高いです。しかし、骨折は飼い主様の日頃の注意と工夫で、かなりの予防効果が期待できます。今回は、飼い主様に注意していただきたい予防の観点も含めて、犬や猫の骨折についてお伝えします。

 

 

犬や猫も、人と同じ脊椎動物なので、体を支えているのは骨です。その骨が、外部からの力を受けて完全に折れたり、ひびが入ったりした状態のことを骨折と言います。

 

当院では、犬の場合は橈尺骨(とうしゃくこつ)、大腿骨、脛骨、骨盤の骨折が多く、猫は大腿骨骨折が多い傾向がみられます。

※それぞれの骨の位置は前掲の写真を参考にしてください

 

骨折を分類すると3つに分けられます。

(1) 開放骨折

皮膚の外に折れた骨が飛び出している状態の骨折のことで、複雑骨折とも言います。

 

(2) 閉鎖骨折

折れた骨が飛び出さずに皮膚の下に留まり、炎症を起こしている状態の骨折のことです。

 

(3) 粉砕骨折

名前の通り、骨折した部分の骨がバラバラに粉砕されてしまった状態の骨折のことです。

 

 

骨折した部位や骨折の状態によって、症状も治療法も様々ですが、いずれの場合であっても骨折すれば痛いので、犬や猫は次のような症状を示します。飼い主様が見ていて、愛犬や愛猫の様子がおかしいと気付いたら、すぐに動物病院に連れてきてください。

 

<犬や猫の骨折の症状>

・歩くときに骨折した足を地面に着かないように、上げたまま歩く

・骨折した患部が腫れる

・骨折した患部が熱を帯びる(触ると熱い)

・患部に触ると痛がる

・元気がなく動かない

 

前述の通り、骨折は外部からの力に骨が耐えられずに折れたりひび割れたりすることで起こります。以前は、室外で飼育されている犬や、自由に家の中と外を出入りできる環境の猫が多かったので、骨折の原因の多くは交通事故でした。

 

しかし、大型犬も含めて犬や猫の室内飼いが当たり前になってきた今、骨折の原因は、交通事故に変わり下記が多くなってきました。

 

<犬や猫の骨折の原因>

・高い場所(ベッドやソファ等)から飛び降りたことで足に負荷がかかり前肢を骨折する(特に小型犬に多いです。また、毎日何度も高い場所からおり続けることで、疲労骨折を起こすこともあります。)

・無理な姿勢のまま抱き上げたことによる骨折

・ベランダや窓からの落下による骨折(特に猫に多いです)

・愛犬や愛猫の存在に気付かず、ドアなどで挟んでしまう(これも小型犬や猫に多いです)

 

猫は高い所から落ちても、空中で態勢を整えるので怪我をしないと思われている方が多いかもしれませんが、どんな高さでも大丈夫だという訳ではありません。猫の健康状態などにもよりますが、一般的に、猫は6〜7mの高さからであれば、無事に着地できると言われています。マンションの場合は階高が3m程度のことが多いそうなので、この数値で考えると、2階程度からの落下であれば無事に着地できると考えて良いでしょう。

 

ただし、3階から落下した場合の方が、7階から落下した場合よりも重症だったということもあります。猫にとって中途半端な高さから落ちると、より深刻な状態になってしまうようなので、たとえ何階であってもベランダや窓からの落下には注意が必要です。

 

また、最近は肥満傾向の犬や猫が多いためか、骨折ではありませんが関節の疾患が以前よりも増加傾向にあると感じています。犬や猫も、肥満は万病の元ですし、体にかかる負荷も増えてしまいます。飼い主様がしっかりと適正体重になるよう、コントロールしてあげる必要があると考えています。

 

 

 

骨折は、最初の処置で確実に治癒させなければなりません。手術が必要だったのに、骨折に気付かずにそのまま放置してしまった等も含めて最初の処置を間違えると、骨が変形したり関節炎や跛行といった後遺症が残ったりするからです。

 

骨折の部位や症状、骨折した犬や猫の状態や住環境にもよりますが、骨折治療で最も重要なのは骨折部位をしっかりと固定させることです。そのためには、プレートやボルトといったインプラントを使って、手術でしっかりと骨を固定します。部位によっては、ピンで固定する場合もあります。いずれにしても、骨折の状況を画像検査によりしっかりと把握し、高度の手術を必要とする場合が多いです。

 

当院では、院長である私が執刀します。スイスのダボスに本拠地のあるAOVETという外科医・看護師・獣医師が所属する世界有数の学術的組織が、グローバルスタンダードと呼ばれている外傷および骨折の治療法を確立しました。そして、より高度で専門的な外傷治療を目指す獣医師に対して教育しています。私もそのAOVETのAdvances in Small Animal Fracture Managementのコースを修了していますので、安心してお任せください。

 

なお骨折の治療は、犬や猫も人の場合と基本的には同じです。つまり、手術後は安静にして、患部を動かさないようにすることが大切なのです。しかし、それを犬や猫に命じても、できる訳がありません。そのため骨折の手術後は、ご家庭における飼い主様の愛犬・愛猫へのケアが完治の鍵となることを覚えておいてください。

 

本ホームページ内の「整形外科」の紹介のページで、LCPシステムという最新のインプラントを使用して回復固定した犬の橈尺骨骨折や、脛骨骨折、ピンで固定した猫の大腿骨成長板骨折、そしてCTスキャンでの骨折診断について、画像も含めて詳細に説明しましたので、興味のある方はそのページもぜひご参照ください。

<https://tsuda-vet.com/seikei/>

つだ動物病院 診療科目「整形外科への取り組み」

 

 

骨折は不慮の事故による怪我なので、病気と違って予防できないと思っていらっしゃる飼い主様もおられるかもしれません。しかし、飼い主様が普段の生活の中で骨折のリスクとなり得る要素を見つけ、工夫して改善することで、かなり予防できるのです。

 

下記の項目をヒントに、愛犬や愛猫への骨折要因のリスクを軽減できるよう、工夫してみてください。

 

・ソファーやベッドから飛び降りなくても済むように、犬用のステップやスロープを置く

・フローリングの床をクッション性のある床材に変更する(または上に敷く)

・散歩をするときはリードを短めに持ち、飛び出しや外傷による骨折を防ぐよう警戒する

・室内や車のドアの開け閉めの際には愛犬・愛猫の存在を確認し、挟まないように注意する

・猫をベランダに出さない。または、出しても柵を乗り越えたり隙間をすり抜けたりして、転落しないように注意する。

・窓を開けっ放しにして愛犬や愛猫から目を離さない。

・定期的に、画像検査も含めた健康診断を受けさせる。

・肥満は体や骨にかかる負担を必要以上に増やします。適正な体重コントロールも大切な予防の一つです。

 

骨折は、痛みも激しく体の自由も奪うため、愛犬や愛猫にとっても辛い病気の一つです。飼い主様が予防をすることで、骨折をさせないようにするのが最も望ましいことだと考えます。飼い主様が愛犬や愛猫の骨折を予防するために、このブログがお役に立てば幸いです。

 

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