2月は要注意!愛犬や愛猫に危険な行事!

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2月によく行われる行事

福豆とお面

 

こんにちは、横須賀市にある「つだ動物病院」院長の津田航です。

 

2月は、旧暦では1年の始まりとされていました。理由は、春が始まる立春の月だからです。立春とは、1年を24の節気に分けた二十四節気の中の一つで、2024年の立春は2月4日です。この立春の前日を、「季節を分ける日」ということで「節分」と言い、1年の穢れを祓い清めるために、古くから豆撒きをするのが風習です。

 

節分は日本の風習ですが、海外から取り入れられ、今やすっかり定着した行事もあります。バレンタインデーです。バレンタインデーは、270年頃にローマで殉教したウァレンティノス (英語読みがバレンタイン) 司祭の処刑日である2月14日を記念日に定めたものです。日本では、女性が男性にチョコレートを贈るという独自の風習が根付いています。

 

このように、2月には室内に豆を撒いたりチョコレートをメインの素材としたお料理をしたりといった行事があるわけですが、飼い主様に気をつけていただきたいのは、ワンちゃんや猫ちゃんの誤食です。では、節分やバレンタインで気を付けていただきたい食材や、ご家族揃って行事を楽しむための工夫の仕方などについてご紹介していきます。

 

福豆は食べさせないで!

恵方巻きを食べる猫の人形と猫

 

節分の日に「鬼は外!福は内!」という掛け声とともに室内やお庭に撒くのは「福豆」と言い、大豆を炒ったものです。大豆には「トリプシン・インヒビター」というワンちゃんや猫ちゃんの健康には悪い影響を与える成分が含まれています。ただしこの成分は、しっかりと加熱処理をする、または発酵させることで、分解され無毒化されます。

 

そのため、生の大豆や炒っただけの福豆は、ワンちゃんや猫ちゃんに食べさせてはいけない食材だと考えてください。その代わり、長時間しっかり加熱処理をしたもの、または発酵させて作ったものは、大豆製品でもワンちゃんや猫ちゃんに食べさせて問題ありません。

 

大豆そのものには栄養分が豊富に含まれています。また加熱処理や発酵させることで、大豆そのものを消化しやすくします。しかし福豆は表面が非常に硬くて消化しづらく、小型犬や猫ちゃんも飲み込めてしまう大きさなので、喉だけでなく胃や腸に詰まらせてしまうことがあります。また飲み込んだ大量の福豆が水分を吸い、胃や腸の中で膨張してお腹がパンパンに張ってしまうという危険性もあります。

 

くれぐれも、室内に撒いた福豆をそのまま放置してしまわないように注意してください。よろしければ、以前書いた節分に関するブログもお読みください。

<愛犬愛猫と節分を楽しく過ごしましょう!>へのリンク

 

チョコレートもダメ!

チョコレート菓子を作る女の子

 

ワンちゃんや猫ちゃんに食べさせてはいけない食材と言ったら、真っ先に思い浮かぶのが「チョコレート」かもしれません。それくらい、チョコレートの危険性は有名です。

 

チョコレートの主原料であるカカオに含まれるテオブロミンやカフェイン、テオフィリンという「メチルキサンチン誘導体」と呼ばれる化学物質が、体内のホスホジエステラーゼという酵素類の働きを阻害してしまうからです。

 

実は、このメチルキサンチン誘導体の働きは、人間にとっては喘息や狭心症の薬として利用されるなど、有益な面を持っています。しかし、ワンちゃんや猫ちゃんの代謝能力では、メチルキサンチン誘導体に対処しきれないため、中毒症状を引き起こしてしまうのです。

 

チョコレートにもいろいろな種類があり、含まれるカカオの量が異なります。そのため、口にすると危険な量も、チョコレートの種類によって異なります。分かりやすく表現すると、甘いものよりも苦いもの、白いものよりも色の濃いものの方が、ワンちゃんや猫ちゃんにとっての危険度が高くなります。

 

最も安全なチョコレートは、カカオが使われていないホワイトチョコレートです。そしてミルクチョコレート、セミスイートチョコレート、ブラックチョコレート、ハイカカオチョコレート、製菓用無糖チョコレートの順で、危険度が高まっていきます。

 

体重が3kgの小型犬や猫ちゃんの場合、製菓用無糖チョコレートだとたったの4.6g(約0.1枚分)食べただけでも、軽度の中毒症状を起こしてしまうほどです。体重が30kgの大型犬でも、製菓用無糖チョコレートを46g(約0.9枚分)口にすると、軽度の中毒症状が現れる計算になります。

 

ご自宅でバレンタイン用にチョコレート菓子を手作りしようとお考えの場合は、十分な注意が必要です。特に猫ちゃんの場合はテーブルや調理台の上に軽々と飛び乗ってしまいます。チョコレートを調理台やテーブルの上に出しているときには、必ず目を離さないようにしましょう。

 

チョコレート中毒の症状は、頻脈、不整脈といった外見上では分かりづらいものから、落ち着きがなくなる、激しく興奮する、嘔吐、下痢、震える、硬直する、呼吸困難といったわかりやすいものまでさまざまです。ひどい場合はけいれん発作を起こすこともあります。

 

食べてから1〜4時間程度で発症することが多いのですが、場合によっては半日経ってから発症することもありますので、注意が必要です。

 

食べてすぐの場合は、催吐処置や胃洗浄で体外に排出することができますが、少しでも吸収されてしまうとお手上げです。中毒症状を抑える薬がないからです。その場合、動物病院でも代謝排泄を促進させるための点滴や、他の症状に応じた対処療法を行うことしかできないことが多いです。

 

そのため、もしワンちゃんや猫ちゃんがチョコレートを口にしてしまったかもしれないと気付いた場合は、様子を見ずに、急いで動物病院に連れて来てください。詳細については、以前書いたチョコレートに関するブログもお読みください、

<愛犬愛猫にチョコレートを食べさせないで!>へのリンク

 

家族行事は安全に楽しもう

ペット用ボーロで福豆を代用

 

節分やバレンタインなどの行事は、ご家族であるワンちゃんや猫ちゃんも揃って一緒に楽しみたいとお考えの飼い主様が多いと思います。一緒に楽しく季節の行事を過ごすことで、小さなお子様とワンちゃんや猫ちゃんとの絆も深まることでしょう。

 

ただし、楽しい行事が不幸な事故で辛い思い出になることは避けたいものです。そこで、ワンちゃんや猫ちゃんと一緒に楽しく節分やバレンタインを過ごす工夫について、いくつかの例をご紹介したいと思います。

 

◯豆撒きは代用品で!

基本的には、豆を撒く際にはワンちゃんや猫ちゃんを別室やケージなどに隔離しておき、撒いた豆を片付け終えてから開放してあげるという方法が、最も安全です。

 

その際も、福豆を直接撒くのではなく、三角形に小分けされている製品をパッケージごと撒く、殻付きの落花生を撒く、ペット用のボーロを撒くなどの代替え品を利用すると、回収もしやすく、誤飲を防ぎやすいです。

 

マシュマロや金平糖、ラムネ菓子などを小分けにパッキングしたお菓子を上手に利用すれば、見た目もかわいらしく、小さなお子様にも楽しんでもらえるでしょう。

 

◯安全なバレンタインの過ごし方

どうしても手作りのチョコレート菓子を作りたい場合は、製菓用無糖チョコレートを使った本格的なお菓子作りではなく、ホワイトチョコレートをベースとしたレシピを検討してみてください。いずれにしても、調理中はもちろん、その前後もワンちゃんや猫ちゃんから目を離さないようにして、つまみ食いをさせないように気をつけましょう。

 

お子様にも、チョコレートはワンちゃんや猫ちゃんが食べると危険な食べ物だということをきちんと説明してあげましょう。

 

バレンタインにチョコレートを贈るというのは日本独自の風習ですので、チョコレートにこだわらず、ワンちゃんや猫ちゃんには無害なものを贈り物としてセレクトするというのも良いかもしれません。かえって、ご自身のセンスをアピールできるかもしれませんね。

 

また、豆撒きやチョコレート菓子づくりではなく、ワンちゃんや猫ちゃんと一緒にちょっとしたご馳走を味わうというのも、楽しいご家庭行事として良いかもしれません。

 

ポイント

鬼のお面のコスプレをした犬

 

ポイント

・大豆は、しっかり加熱処理をしたものか発酵させたものしか食べさせてはいけません。

・福豆を丸呑みすることで、喉や胃腸に詰まらせる危険性もあります。

・バレンタインで定番のチョコレートも、犬や猫に中毒を引き起こす食材です。

・苦くて色の濃いチョコレートほど、毒性が高くなります。

・撒いた後の福豆や出しっぱなしのチョコレートをつまみ食いさせないようにしましょう。

・福豆やチョコレートの代替え品等を工夫して、安全に楽しく過ごしましょう。

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